上 下
396 / 748

閑話:三匹でダンジョンのお散歩!

しおりを挟む
「風斬!」
 ルプは目の前のゴーレムを風の刃で切り裂くと、てくてくと歩いて行く。

「今何階層だ?」
「35やね。」
「あと5階層ですか?」
 ルプが聞くとビェリーとコンが答える。

「しかし、40階層ってのも昔の話だろ?」
「増えとるかもしれんねぇ。」
「誤差じゃないですか?」
 ルプ、ビェリー、コンのペット組はジブラロールに近いエイクラーダンジョンを進んでいく。

「しかし手ごたえ無いダンジョンだなぁ。」
「そうですねぇ、クルメール国のダンジョンはもっと手ごたえありましたよね。」
「ドラゴン達が無双しとったけんねぇ。」
「こりゃぁダンジョンマスターもたいした事なさそうだなぁ。」
 サクサクと魔物を倒しながら進む3匹。

「次僕やりまーす。」
 コンが先頭を歩く、まだ魔物は見えないが皆気配を感じながら進んでいた。

「・・・あれ?敵意無いですよ?」
「無いな、数も多い気がするが、ビェリーどう思う?」
「熱感知しとーけん、生物やね、魔物っぽいんやけど。」
 そして進んでいくと道が分かれている。

「こっちに居ますね。」
 コンが右の通路を指す。

「取り敢えず行ってみるか、魔物なら適当に狩れば良いだろ。」
「そやねー。」
「それじゃ行きましょー!」
 コンは狐の姿でピョンピョンとスキップするように歩く。

「あ、見えました、毛むくじゃらの魔物?」
「いや、魔物じゃねぇな。」
「なんやろ、こっち特有の種族かいな?」
「ダンジョンにか?」
 コンはテコテコと歩き、毛むくじゃらの生物に声を掛ける。

「こんにちわ!」
「ぶぅふぉぉ!?なんじゃらぁ!?」
「あ、話出来るんですね、魔物さんですか?」
「ちがうだらぁ!おまいら何者だらぁ!?」
「えーっと、コンです。」
「おー、話出来るんだな、俺はルプだ。」
「ビェリーばーい。」
「魔物ぉぉぉぉ!?」
「いやいや、お前が魔物って驚くのかよ。」
 呆れるように呟くルプ、毛むくじゃらの生物は腰を抜かし後ずさりする。

「ダメだ、なんでダンジョンにこんなビビりが居るんだよ。」
「奥にもっと居るみたいですけどね。」
「どげんする?ほっといて先進むのもいっちゃない?」
 蛇の姿でケラケラ笑うビェリー、すると奥から数匹の毛むくじゃらが現れる。

「なんじゃぁおまいらなんじゃぁ。」
「お、驚かないヤツが出て来たな。」
「僕たちは冒険者です!」
「冒険者なん?」
「冒険者だろ?」
 冒険者プレートを首に付けたルプは答える、ルプ達は冒険者ギルドでしっかり人型で登録をしていた。

「ぼ・・・ぼうけんしゃだぁとぉ?人じゃないじゃないかいぁ。」
「で、お前らは何なんだ?」
「わしらはグノーム族だぁ。」
「あー!土鬼ですよ!」
「あぁアレかぁ、初めて見たな。」
「わっちも初めてばい。」
「お、お前らはなんなんだぁ!?」
「あー、女神の眷属 (予定)だ。」
「わっちは・・・なんやろ。」
「土地神で良いんじゃないです?」
 ルプが言うと、グノーム族の毛むくじゃらは驚く。

「女神様ぁ!アイトネ様でございますかぁぃ!」
「お、アイトネ知ってるぞコイツ。」
「土鬼は精霊の分類ですからね。」
「あー、確か地球の精霊でノームとか言うところあったんやない?」
「翻訳魔道具じゃグノームなのか?」
「呼び方色々あるんやろ。」
「アイトネ様の眷属様が何用でござぁぃますかぁぃ?」
「いや、ちょっとダンジョンマスターを狩りに行く途中だが、お前らここで何やってんだ?」
 さらっと恐ろしい事を言うルプに狼狽える毛むくじゃらグノーム。

「ダンジョンマスタァは強いぞぉぅ!?」
「そりゃ弱い奴はマスターなんぞ出来ねぇだろ。」
「マスタァ狩ってどうするんだぁ?」
「いや、ちょっと別のダンジョンでマスターやってるネエちゃんがな?ココのマスターは何だろうって話してたんでな、気になったから狩りに来た。」
「・・・・・はぁぁあ!??!?!?!?!?!?!?!??」
 軽く答えるルプに大きな声で驚く毛むくじゃら、コンは耳を塞ぎビェリーもブルブルと体が揺れる。

「うっせえ!ちったぁ声押さえろ!!!!!」
「うぉぅすまんだぁ。」
「で、なんだお前らここに住んでんのかよ。」
「わしらはぁ土の精霊だぁ、ダンジョンは魔力が豊富だぁからなぁ。」
「へぇ、ダンジョンも行き来出来るのか。」
「出来るだぁ。」
「それじゃダンジョンマスターの所まで行けるか?」
「・・・それは・・・だめだぁ。」
「ふぅん、何か問題があるっぽいな、まぁあと5階くらいだろパパっと行くか。」
「そりゃぁいつの話だぁ?今はもっとふかいぞぉぅ!?」
「・・・マジか、何階層あんだよ。」
「今は68階層だぁ。」
「・・・おい、まだ半分だってよ。」
 ルプはコンとビェリーに呟く。

「マ?」
「マ?」
「お前ら、女子高生の真似すんな。」
「えー、あと半分あるんですかぁ。」
「・・・めんどくさくなったばい。」
「おい、毛むくじゃらのお前、ちょっとダンジョンマスターの一番近い所まで連れていけ、行ける所までで良いぞ。」
 何気に面倒になったルプは投げやりに命令口調で言うと、毛むくじゃらノームが怖がりながら断る。

「だめだぁ!それやるとわしらの居場所がこわされるぅぅぅ。」
「誰にだ?」
「ダンジョンマスタァだぁ。」
「そのダンジョンマスター倒すんだから壊されないだろ。」
「・・・本当にたおせるのかぁ!?」
「倒せるんじゃねぇか?因みにダンジョンマスターって何がやってんだ?」
「ルプさん、それ聞いたら行く意味無いんじゃないです?」
「聞いたら早いやん?」
 3匹は毛むくじゃらを見る。

「で?何なんだ?」
「マ族だぁ。」
「・・・魔族?」
「こっち魔族おるん?」
「へぇ、居るんですねぇ魔族。」
「おどろかないのかぃぁぁ!?」
 飄々と言う3匹に毛むくじゃらが吠える

「いや、驚いてるぞ?」
「ビックリです、魔族が居るって聞いてなかったですから。」
「へぇ~そりゃ会ってみたいばい。」
「で、送るのか送らないのか?」
「・・・送れない。」
 頭を下げながら言う毛むくじゃら。

「ふむ、まぁ無理強いは出来ねぇな、それじゃ行くか。」
「そやね、まだ半分って聞いてだるかったばってん、魔族は興味あるばい。」
「思ったんですけど、ヴァンパイアのアルデアさんも魔族なんじゃないです?」
「あー、あ~~~~あり得るなぁ。」
 コンの話を聞きルプが呟く。

「それ言うならキュクロープスのテールカちゃんもそれっぽいやん?」
「あ、そうですねぇ。」
「まぁ行ってみりゃわかんだろ。」
 踵を返しルプは歩き出す、毛むくじゃらのグノームは3匹を黙って見送る、そしてルプ達はダンジョン攻略を再開した。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

聖なる歌姫は喉を潰され、人間をやめてしまいました。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ロレーナに資格はない!」 「歌の下手なロレーナ!」 「怠け者ロレーナ!」 教会の定めた歌姫ロレーナは、王家の歌姫との勝負に負けてしまった。それもそのはず、聖なる歌姫の歌は精霊に捧げるもので、権力者を喜ばせるものではない。

うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?

プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。 小説家になろうでも公開している短編集です。

処理中です...