上 下
358 / 744

出発前のレトルトカレー!

しおりを挟む
「ヨリ~お昼どうする~?」
「ん~、結局お昼になったかぁ、一回お城戻るって手もあるけど?」
「あ、フェアリーリング作ったんだっけ。」
「そそ、一応中で困った時用にね。」
「このメンバーで困るかな。」
「いや、保険だよ。」
「で、お昼どする?」
「ビェリー達が狩って来た魔物食べる?」
「えぇぇ、食えるの?アレ。」
 ルプ達が狩ったのはトロールと言われる魔物だ。

「アリンさん、アレ食べれるの?」
「食べれない事は無いですが食べませんね、主に素材として出回ります、肉は脂肪が多いので油を取る材料になります、皮は丈夫なので防具に使われますね。」
「だってさ、千春。」
「無理して食べなくても良いよ、アリンさん兵士さん達はどうすんの?お昼。」
「料理人がそろそろ到着すると思いますが。」
「到着?後から来るの?」
「はい、この飛空艇とは別の飛空艇が来ます。」
「んじゃ私達だけ何か作ろうか。」
 千春はそう言うとサフィーナに声を掛け、広く取られたスペースにコンロを並べる。

「チハル何つくんの~?」
「ミオは何食べたい?」
「ん~・・・カレー。」
「カレーね。」
「え?出来るの?」
「出来るよ、レトルトだからお湯に入れるだけだもん。」
「あ、そっちね、一から作るのかと思ったわ。」
「ルプ達も食べる?」
「カレーか?」
「うん。」
「肉が良いな。」
「おっけ、んじゃルプはステーキ焼くわ。」
「チハル!私ステーキカレー!」
「私も!」
「ウチも!」
「はいはい、サフィー肉お願い、私はお湯わかしてカレーあっためるわ。」
「分かりました、ご飯はどうします?」
「ご飯は炊いたの有るから大丈夫だよ。」
 千春はお湯を沸かし、頼子達は肉に塩コショウしサフィーナがそれを焼いていく。

「この肉何?」
「ブラブル。」
「おー!ブラブルステーキ!」
「なんだっけブラブルって。」
「ブラックホーンブルだよ、めっちゃ美味い肉。」
「あー!そういやいっぱい狩ってたね。」
 青空達は初めて来た時に見た魔物の山を思い出しながら呟く。

「私達も手伝うよ。」
「んじゃ肉に塩コショウしてサフィーちゃんとサリナちゃんに渡して焼いてもらって。」
「了解!」
 手分けして皆は料理をする、千春はお湯の中にレトルトカレーを入れると周りを見回す。

「ルクレツィアさん、中はどうでした?」
 階段から出て来たルクレツィアに声をかける千春。

「思った以上に中は広いわね、取り敢えず最初の扉は開いて調査はしているわ。」
「まだ時間掛かりそうです?」
「入るだけならもう大丈夫よ、調査隊は既に部屋を捜索しながら保存と回収の準備をしているわ。」
「そっか、私達が探検出来そうな所ありそうです?」
「奥の方にも繋がっているのを確認したから、楽しめそうよ~♪」
 ワクワクした感じでルクレツィアは答え、千春もそれを聞きニッコリ微笑む。

「やったね、それじゃルクレツィアさんもご飯食べますか?」
「食べるわ、ルプ様は何を食べるの?」
「肉ですね、今ステーキ焼いてますから。」
「私もそれで!」
「は~い、ルプと一緒に待っててください。」
「分かったわ~♪」
 報告してくれる時の凛々しいルクレツィアは消滅し、へにょへにょな笑みになりルプの所へ行くルクレツィア。

「さてと、レトルト出来たけど、何辛にするー?」
「私中辛。」
「ウチ辛口。」
「余ったのでいいよー。」
「甘口がいいー。」
 それぞれ辛さを選ぶと、ご飯を皿に入れ肉を乗せた上からカレーをかける。

「サフィー何辛にする?」
「何が有ります?」
「えっと・・・甘口と激辛が余ってんね。」
「・・・甘口で。」
「レナ、激辛と甘口いくつか余ったよどれがイイ?」
「え~っと、このLLEの20倍で。」
「おーチャレンジャー。」
「辛いの好きだからね~。」
 麗奈はそう言うとカレーを持って行く。

「さて、私も甘口にしよっと。」
 千春もご飯にステーキを乗せカレーをかけてテーブルに行く。

「チハルさーん、これ食べて良いんですか?」
「うん、辛いのと甘いのがあるから好きな方食べて良いよ。」
 千春はモリアンに言うと、サリナとラルカもカレーを見る。

「・・・こっちが甘そうな気がしますね。」
 サリナは絵柄を見て選ぶ、ラルカはカレー無しのステーキ丼で食べるようだ。

「・・・こっちだ!」
 モリアンはレトルトカレーを1つ手に取り肉を乗せたご飯にかける。

「千春、良いの?アレ。」
「ん?ちゃんと言ったもん甘いのと辛いの有るって。」
「・・・うん、聞いてたけどさ、モリーちゃん文字読めないじゃん?」
「あ・・・まぁ、うん、大丈夫っしょ。」
 頼子はしっかり見ていた、モリアンが手に取ったレトルトには20倍と書いていた。

「それじゃいただきまーす!」
「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
「肉うっま!」
「もう肉だけで良かったなコレ。」
「からぁぁぁぁぁぁい!!!!!痛ぁぁい!」
「静かに食べなさい。」
「ふぁぁぃからいですぅぅぅぅ。」
「うん、まぁ辛いね。」
「レナ良く食べれるねそれ、モリーちゃんと同じヤツでしょ?」
「そだよー、辛いの好きだからね。」
 平然と食べる麗奈、それを見ながら涙を流すモリアン。

「汗が噴き出ますぅ。」
 水を飲みながらモリアンが言う。

「モリーちゃん、水飲んだらまた辛くなるよ。」
 麗奈はそう言うとカレーをパクパクと口に入れる。

「そうなんでふかぁ?」
「うん、飲むならヨーグルトとか牛乳の方が良いよ?」
「牛乳ください!サフィーさん牛乳もってますよね?!」
「有るわよ、はい、銀貨1枚ね。」
「くっ・・・。」
「冗談よ、ゆっくり食べなさいね。」
 サフィーナに牛乳を貰いチビチビと飲みつつカレーを頑張って食べるモリアン。

「チハルさん、もう中に入られて大丈夫です。」
「はーいアリンさんありがと、食べたら突撃するよ。」
「やめてください、突撃しないでください、ほんっとお願いします。」
 眉間に皺を寄せ頼み込むアリンハンド。

「アリンさん魔物とか居ました?」
「いえ、探索範囲には居ませんでした、遺跡自体が封鎖されていたので大丈夫ではないかと、罠だけには気を付けてくださいね。」
 心配そうに頼子へ言うアリンハンド、そして食事が終わると千春達は立ち上がる。

「よし!準備おけ?」
「おっけ!」
「いくぜぇぃ!」
「ひゃっはー!」
「楽しみだなー。」
「ね、お宝あったらイイね。」
「行くぞー!」
 皆は声を出し手を上げる。

「よーし!突撃ぃー!」
 千春達は侍女とペットを連れ階段を降りて行った、アリンハンドは顔に手を当て悲しそうに見送った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

処理中です...