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アイトネのお礼!
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「皆様ありがとう御座いました。」
「困った時はお互い様ですわよ、妖精達にはお世話になってるもの。」
ドライアドとマルグリットは笑みを浮かべながら話す。
「はーい妖精ちゃん達お疲れ様ー!お菓子あるよー!」
千春がスーパーのお菓子を取り出し、頼子と麗奈も開けるのを手伝いテーブルに並べる、しかし妖精達はいつもの様にお菓子へ特攻をしない。
「あれ?」
「どうしたのかな?」
「リリ、どうしたの?」
3人はいつもと違う妖精に戸惑いながら問いかける。
「皆んな集まってー。」
リリの声を聞いた妖精が集まり話し出す、そしてリリが石を千春に渡す。
「はい、チハル、私達からのお礼よぉ。」
「げ。」
「おうっ、やばいヤツ。」
「コレか、どうすんのコレ。」
千春の手のひらに置かれたソレは国宝級の宝石、精霊の涙だ。
「千春、メグ様にあげたら?」
「ナイスヨリ、そうしよう。」
千春はドライアドと話をしているマルグリットを声を掛ける。
「お母様。」
「チハルお疲れ様、どうしたの?」
「はいコレ、妖精達からのお礼です。」
有無を言わさず手に乗せる千春。
「はーい妖精ちゃん達お菓子食べるよー!」
「ちょっと!?チハル!?」
「「「「わぁぁぃ!」」」」
「「「「お菓子食べるー!」」」」
マルグリットの声は妖精達にかき消される、千春もお菓子をつまみ口に入れる、妖精達のオヤツタイムは暫く続いた。
-----------------
『あら、賑やかねぇ。』
「アイさん、おかえりなさい。」
『メグちゃんありがとう、コレ管理者案件だったのよ。』
「モートさんにお聞きしました、そちらは終わったのですか?」
『えぇ、問題無いわ、犠牲者の魂も輪廻に戻せたし終了ね。』
笑みを浮かべ答えるアイトネ。
「それは良かったわ。」
『それで、お礼をしたいのだけれど。』
「要らないわ、コレ貰っちゃったもの。」
手のひらに乗せた精霊の涙を見せながら呟くマルグリット。
『チハル、ヨリ、レナ、お礼何が良い?』
「いらなーい。」
「んー、家内安全?」
「初詣の祈願か。」
「だって神様にお願いってそんなんじゃん?」
「んじゃ私は今年一年健康であります様に。」
お礼を考える気の無い3人はケラケラと笑いながら話す。
「そうだ、お礼ならドワーフの王様にしたら良いんじゃない?」
『そうねぇ、それじゃ行きましょうか。』
「・・・ん?私達も?」
『えぇ、メグちゃんも行くでしょ?』
「そうね、ゲルダムにお願いしたのは私だし、カラーシャとも話がしたから行くわ。」
『それじゃ送るわね。』
再度ドライアドにお礼を言われ、手を振りドワーフ国に移動する千春達。
「うおぉ!急に現れるとビックリするだろうが!」
城の中に転移され、急に現れた千春達にゲルダムが声を上げる。
「ゲルダムありがとう、すべて解決したわ。」
「気にするな、良い運動にもなったからな。」
『私からもお礼を言うわ、今回は手伝ってくれてありがとう。』
「女神よ、この世界を守る者よ、友の願いを聞いただけだ気にしないでくれ。」
ゲルダムは平然とした態度でアイトネに言う、アイトネは微笑み話をする。
『何かお礼をしたいのだけれど、何かあるかしら?』
「神に願い事か?」
『えぇ、何か有るかしら?』
「フンッ、神に願いなど、必要無いな。」
「ゲルダム、失礼な言い方するのはやめなさいよ。」
「ドワーフの生き方の1つだ、願いは自分の手で掴むもの、与えられた物なんぞ自分の糧にならんし手に余る物だ。」
『国の事でも良いわよ?』
「尚更だな、神に頼らなければならない国なんぞ滅ぶしかあるまい、自分達の手で作り上げ、育ててこその国だからな。」
ドワーフの矜持に反するのか、不満げに言うゲルダム。
『・・・まったく、チハルといいメグといい、欲の無い子ばかりねぇ。』
「あら、欲まみれの人もそこらにいっぱい居るわよ?」
『メグちゃんの周りの人がって事よ、でも何かしらお礼はしたいのだけれど。』
困り顔のアイトネに千春が声を掛ける。
「アイトネ、お酒とか出せないの?」
『お酒?出せるわよ?』
酒と聞きゲルダムの目が変わる。
「酒だと?神の酒が有ると?」
『神の酒ではないわ、私に送られた供物のお酒ね、沢山あるわよ。』
「ほほう、それは興味がある、お礼と言うなら酒にしてくれ。」
先ほどとは打って変わり、酒を要求するゲルダム。
『良かったわ、それじゃぁお酒を出すわね、何処に出しましょうか。』
「ココで良くない?」
千春はゲルダムの職務室と思われる部屋を指し言う。
『・・・入りきらないわよ?』
「どんだけ出すつもりなの!?」
『今日手伝った兵士たちも飲むんでしょ?沢山出すわよ。』
「女神よ、隣の部屋で構わんか?そこなら広い。」
ゲルダムが言うと扉を開け、隣の部屋に行く、応接間の様になっているが、飾り気も少なく、会議室の様な感じだ。
『それじゃ出していくわね。』
アイトネは千春と同じ様な空間を開き、お酒を次々と出していく。
「うわぁ、樽だ。」
「これ陶器で出来てる。」
「すっご、コレ何年前のお酒なの?」
『それ?え~っと多分3千年前のもう滅びちゃった国のお酒ね。』
「3000年!?そんな酒が!?」
『時の止まった空間に入れてるから劣化はしてないわよ。』
「ふむ、配る前に一度調べた方が良いな、これは掘り出し物もありそうだ。」
『これ全部あげるから好きなようにしてちょうだい、本当にお酒だけで良いの?』
「勿論だ!また何か有ったらすぐに手伝おう!」
大量の酒を目の前にし、興奮気味に答えるゲルダム、アイトネとマルグリットはクスクスと笑う。
「はーい!アイトネー。」
『はい!チハル!』
手を上げる千春にアイトネが指を差す。
「ボックスに入っている妖精喰いはどうしたらいい?」
『好きなようにして良いわよ、食べても良いし、魔術の材料にしても良いわ。』
「・・・え゛?これ食べれるの?」
『食べれるわよ、食べてる人間見た事有るもの。』
「食べられてる人間じゃなく?」
『えぇ、あと、魔術の材料にもなるわ、何に使うかは魔導士なら知ってるんじゃないかしら?』
「・・・ヨリの影に入ってるのはアリンさん行きだね。」
「そんじゃ千春のは食事用?」
「えぇぇぇ、食べるのぉ?コレ。」
2人は嫌そうな顔をしながら話す。
「あのー私も結構入れてんだけど。」
麗奈はそっと手を上げながら言う。
「食べて良いよ。」
「食べなよ。」
「嫌だよ!!!どうやって食べんのよコレ!!!!」
「「さぁ?」」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ千春達。
「アイトネこれどうやって食べんの?」
『鍋に入れて火をかけると溶けるからスープにして飲める・・・みたいね。』
空間をぼーっと見ながら答えるアイトネ。
「何見てんの?」
『記憶庫にある映像よ、うん、鍋に細かく切って火をかけて・・・溶かしてるわねぇ。』
「記憶庫って便利だね。」
『えぇ。』
「何か調味料入れてる?」
『・・・塩ねコレは。』
「塩かぁぁ・・・こっちの味付け塩ばっかりなんだよなぁ。」
千春はアイテムボックスから凍った小さめの妖精食いを取り出す。
「鑑定・・・チッ!弾きやがったコイツ!」
『まだ生きてるもの、魔法抵抗が高いからチハルには鑑定出来ないわよ。』
「アイトネ鑑定してー。」
『えっと・・・・・・・・・。』
「どうしたの?」
『生で踊り食い出来るそうよ。』
「うそぉん、腹食い破られるでしょ!こんなの!」
『これ見える?この小さな丸い粒』
「うん、スライムの中のだよね、結構あるね。」
『これが核なの、これを全部取れば良いのよ。』
妖精食いの中には大豆の様な粒が沢山入っている。
「・・・めんどくさっやっぱり細かく切って溶かす方が早いな。」
『そうね、味付けは?』
「ん~色々やってみないと分かんないね。」
千春とアイトネが話をしているのを皆は黙って見ている、そして頼子がポツリと話しかける。
「千春。」
「なに?」
「食べるの?」
「・・・食べてみたくない?」
千春は悪戯を思いついたように、ニヤリと笑うと頼子と麗奈を見た。
「困った時はお互い様ですわよ、妖精達にはお世話になってるもの。」
ドライアドとマルグリットは笑みを浮かべながら話す。
「はーい妖精ちゃん達お疲れ様ー!お菓子あるよー!」
千春がスーパーのお菓子を取り出し、頼子と麗奈も開けるのを手伝いテーブルに並べる、しかし妖精達はいつもの様にお菓子へ特攻をしない。
「あれ?」
「どうしたのかな?」
「リリ、どうしたの?」
3人はいつもと違う妖精に戸惑いながら問いかける。
「皆んな集まってー。」
リリの声を聞いた妖精が集まり話し出す、そしてリリが石を千春に渡す。
「はい、チハル、私達からのお礼よぉ。」
「げ。」
「おうっ、やばいヤツ。」
「コレか、どうすんのコレ。」
千春の手のひらに置かれたソレは国宝級の宝石、精霊の涙だ。
「千春、メグ様にあげたら?」
「ナイスヨリ、そうしよう。」
千春はドライアドと話をしているマルグリットを声を掛ける。
「お母様。」
「チハルお疲れ様、どうしたの?」
「はいコレ、妖精達からのお礼です。」
有無を言わさず手に乗せる千春。
「はーい妖精ちゃん達お菓子食べるよー!」
「ちょっと!?チハル!?」
「「「「わぁぁぃ!」」」」
「「「「お菓子食べるー!」」」」
マルグリットの声は妖精達にかき消される、千春もお菓子をつまみ口に入れる、妖精達のオヤツタイムは暫く続いた。
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『あら、賑やかねぇ。』
「アイさん、おかえりなさい。」
『メグちゃんありがとう、コレ管理者案件だったのよ。』
「モートさんにお聞きしました、そちらは終わったのですか?」
『えぇ、問題無いわ、犠牲者の魂も輪廻に戻せたし終了ね。』
笑みを浮かべ答えるアイトネ。
「それは良かったわ。」
『それで、お礼をしたいのだけれど。』
「要らないわ、コレ貰っちゃったもの。」
手のひらに乗せた精霊の涙を見せながら呟くマルグリット。
『チハル、ヨリ、レナ、お礼何が良い?』
「いらなーい。」
「んー、家内安全?」
「初詣の祈願か。」
「だって神様にお願いってそんなんじゃん?」
「んじゃ私は今年一年健康であります様に。」
お礼を考える気の無い3人はケラケラと笑いながら話す。
「そうだ、お礼ならドワーフの王様にしたら良いんじゃない?」
『そうねぇ、それじゃ行きましょうか。』
「・・・ん?私達も?」
『えぇ、メグちゃんも行くでしょ?』
「そうね、ゲルダムにお願いしたのは私だし、カラーシャとも話がしたから行くわ。」
『それじゃ送るわね。』
再度ドライアドにお礼を言われ、手を振りドワーフ国に移動する千春達。
「うおぉ!急に現れるとビックリするだろうが!」
城の中に転移され、急に現れた千春達にゲルダムが声を上げる。
「ゲルダムありがとう、すべて解決したわ。」
「気にするな、良い運動にもなったからな。」
『私からもお礼を言うわ、今回は手伝ってくれてありがとう。』
「女神よ、この世界を守る者よ、友の願いを聞いただけだ気にしないでくれ。」
ゲルダムは平然とした態度でアイトネに言う、アイトネは微笑み話をする。
『何かお礼をしたいのだけれど、何かあるかしら?』
「神に願い事か?」
『えぇ、何か有るかしら?』
「フンッ、神に願いなど、必要無いな。」
「ゲルダム、失礼な言い方するのはやめなさいよ。」
「ドワーフの生き方の1つだ、願いは自分の手で掴むもの、与えられた物なんぞ自分の糧にならんし手に余る物だ。」
『国の事でも良いわよ?』
「尚更だな、神に頼らなければならない国なんぞ滅ぶしかあるまい、自分達の手で作り上げ、育ててこその国だからな。」
ドワーフの矜持に反するのか、不満げに言うゲルダム。
『・・・まったく、チハルといいメグといい、欲の無い子ばかりねぇ。』
「あら、欲まみれの人もそこらにいっぱい居るわよ?」
『メグちゃんの周りの人がって事よ、でも何かしらお礼はしたいのだけれど。』
困り顔のアイトネに千春が声を掛ける。
「アイトネ、お酒とか出せないの?」
『お酒?出せるわよ?』
酒と聞きゲルダムの目が変わる。
「酒だと?神の酒が有ると?」
『神の酒ではないわ、私に送られた供物のお酒ね、沢山あるわよ。』
「ほほう、それは興味がある、お礼と言うなら酒にしてくれ。」
先ほどとは打って変わり、酒を要求するゲルダム。
『良かったわ、それじゃぁお酒を出すわね、何処に出しましょうか。』
「ココで良くない?」
千春はゲルダムの職務室と思われる部屋を指し言う。
『・・・入りきらないわよ?』
「どんだけ出すつもりなの!?」
『今日手伝った兵士たちも飲むんでしょ?沢山出すわよ。』
「女神よ、隣の部屋で構わんか?そこなら広い。」
ゲルダムが言うと扉を開け、隣の部屋に行く、応接間の様になっているが、飾り気も少なく、会議室の様な感じだ。
『それじゃ出していくわね。』
アイトネは千春と同じ様な空間を開き、お酒を次々と出していく。
「うわぁ、樽だ。」
「これ陶器で出来てる。」
「すっご、コレ何年前のお酒なの?」
『それ?え~っと多分3千年前のもう滅びちゃった国のお酒ね。』
「3000年!?そんな酒が!?」
『時の止まった空間に入れてるから劣化はしてないわよ。』
「ふむ、配る前に一度調べた方が良いな、これは掘り出し物もありそうだ。」
『これ全部あげるから好きなようにしてちょうだい、本当にお酒だけで良いの?』
「勿論だ!また何か有ったらすぐに手伝おう!」
大量の酒を目の前にし、興奮気味に答えるゲルダム、アイトネとマルグリットはクスクスと笑う。
「はーい!アイトネー。」
『はい!チハル!』
手を上げる千春にアイトネが指を差す。
「ボックスに入っている妖精喰いはどうしたらいい?」
『好きなようにして良いわよ、食べても良いし、魔術の材料にしても良いわ。』
「・・・え゛?これ食べれるの?」
『食べれるわよ、食べてる人間見た事有るもの。』
「食べられてる人間じゃなく?」
『えぇ、あと、魔術の材料にもなるわ、何に使うかは魔導士なら知ってるんじゃないかしら?』
「・・・ヨリの影に入ってるのはアリンさん行きだね。」
「そんじゃ千春のは食事用?」
「えぇぇぇ、食べるのぉ?コレ。」
2人は嫌そうな顔をしながら話す。
「あのー私も結構入れてんだけど。」
麗奈はそっと手を上げながら言う。
「食べて良いよ。」
「食べなよ。」
「嫌だよ!!!どうやって食べんのよコレ!!!!」
「「さぁ?」」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ千春達。
「アイトネこれどうやって食べんの?」
『鍋に入れて火をかけると溶けるからスープにして飲める・・・みたいね。』
空間をぼーっと見ながら答えるアイトネ。
「何見てんの?」
『記憶庫にある映像よ、うん、鍋に細かく切って火をかけて・・・溶かしてるわねぇ。』
「記憶庫って便利だね。」
『えぇ。』
「何か調味料入れてる?」
『・・・塩ねコレは。』
「塩かぁぁ・・・こっちの味付け塩ばっかりなんだよなぁ。」
千春はアイテムボックスから凍った小さめの妖精食いを取り出す。
「鑑定・・・チッ!弾きやがったコイツ!」
『まだ生きてるもの、魔法抵抗が高いからチハルには鑑定出来ないわよ。』
「アイトネ鑑定してー。」
『えっと・・・・・・・・・。』
「どうしたの?」
『生で踊り食い出来るそうよ。』
「うそぉん、腹食い破られるでしょ!こんなの!」
『これ見える?この小さな丸い粒』
「うん、スライムの中のだよね、結構あるね。」
『これが核なの、これを全部取れば良いのよ。』
妖精食いの中には大豆の様な粒が沢山入っている。
「・・・めんどくさっやっぱり細かく切って溶かす方が早いな。」
『そうね、味付けは?』
「ん~色々やってみないと分かんないね。」
千春とアイトネが話をしているのを皆は黙って見ている、そして頼子がポツリと話しかける。
「千春。」
「なに?」
「食べるの?」
「・・・食べてみたくない?」
千春は悪戯を思いついたように、ニヤリと笑うと頼子と麗奈を見た。
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