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妖精喰いを喰う!

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「ふんふんふ~~ん♪」
「千春、こいつら細切れにしてもくっついて固まるんだけどぉ。」
「鍋に入れば良いよ、小さくしたら触手も怖くないし。」
 千春達はジブラロールにある千春の厨房で妖精喰いを調理していた。

「ん~本当に溶けるね、魔法効かないくせに火にかけると溶けるのか。」
「アレじゃん?森で火魔法使ったら山火事になるから。」
「あ、そう言う事?」
 麗奈が答え、千春は頷く。

「千春、ミオがもうすぐ来るってよ。」
「ほいよー。」
「私がこれ見てるから迎えに行って来なよ。」
「りょ~。」
 千春は菜箸を頼子に渡し、日本に戻る、ついでに注文した酒を部屋の中に入れ美桜を待つ。

「やほ~チハルきたよ~ん。」
「いらはーい、ヨリとレナはあっち居るよ。」
「ういっす、あ、これお土産。」
「でっか!スイカじゃん。」
「うん、お母さんがもってけって、あとコレも。」
 袋を覗くの果物が一杯入っている。

「おー、スモモじゃん。」
「そそ、実家から送って来たんだってさ。」
「さんきゅ~。」
 美桜を連れ異世界に入る、美桜はモリアンに連れられ着替えに、千春は厨房へ戻る。

「どう?」
「うん、いい具合に溶けたね。」
「さて、それじゃジャンケンしようか。」
「マジでやんの?」
「だって味見しないと料理出来ないじゃん。」
「う~ん、ここはやっぱりチハルが一番じゃないの?」
「なんで?」
「食べるって最初に言ったから。」
「それはそれこれはこれ!」
 ワイワイと3人が言っていると美桜が厨房に入って来る。

「お、料理中?」
「うん、ミオちょっとおいで。」
 麗奈は鍋からお玉で少し掬うと小皿に入れる。

「ほい味見。」
「お!さんきゅ~・・・・・・ん~~~、んむぅぅぅ、なにこれちょっと酸っぱいけど。」
「美味しい?」
「いや、味無いね、ちょっと酸味が有るだけ、なにこれ。」
 麗奈はテーブルに影から小さいスライムを取り出し見せる。

「コレ、さっき取って来た。」
「ぶふぅおぉ!!!!!!」
「汚っ!!!!!!」
「ちょっと吹かないでよ!!!」
「何食べさせてんのよ!」
「いやいや、食べれるってアイトネが言ってるから大丈夫だって。」
「そうそう、神様のお墨付きよ?」
「そう言う問題じゃねぇ!」
「さて、毒見も終わったし私達も食べてみよう。」
 頼子はそう言うと、同じ様に小皿に入れ味見をする。

「うん、酸味があるけど味無いな。」
「お酢とは違うなぁ、風味の無いレモン?」
「あー、そんな感じだね。」
「・・・あんたら味見してなかったんか。」
 味見をする千春達にジト目で睨む美桜。

「踊り食いも出来るらしいよ、ミオやってみる?」
「ヤダよ!」
「あははは、で、千春どん、これをどう調理するかね。」
「ん~酸味のあるスープって感じじゃないからなぁ、冷やしてみるか。」
「チハル、冷やしましょうか?」
「あ、サフィーお願い。」
 千春はボウルに溶けたスライムを入れテーブルに置く、サフィーナは氷魔法で冷やしていく。

「これくらいですか。」
「どうかな・・・え、固まってる。」
「へぇ、ゼリーみたいだね。」
 千春がスプーンでつつくと、頼子もツンツンと触る、麗奈はスプーンで少し取り口に入れる。

「・・・あ、美味しいかも。」
「マジで?」
 千春も少し口に入れ、もごもごと口を動かす。

「ゼリーじゃん、この酸味も良い感じじゃん?」
「フルーツゼリーにする?」
「寒天とは違って優しい柔らかさがあるねぇ。」
「元はコレだけどな。」
 麗奈はボウルにはいってもにょもにょ動いている小さなスライムをスプーンでぺちぺちしながら言う。

「ミオ、貰ったスモモ使って良い?」
「いいよ~ん。」
 千春が袋からスモモを取り出すとリリが声を上げる。

「ペスコの実ですわぁ!」
「あ、そう言えばそんな実の話してたなぁ食べる?」
「食べますわぁ!」
 麗奈はスモモを1つ取り、半分に割ると種を取り、食べやすいサイズに切り分ける。

「はい、リリ、あ!ユラちゃんとルルも呼んだら?」
「呼んできますわ!」
 そう言うとリリは一瞬で部屋を出て飛んで行った。

「よし、それじゃ味も分かったし色々作るか。」
「色々?スモモゼリーだけじゃないの?」
「うん、色々作れそうじゃん。」
 千春は大きな鍋をコンロに置くと、アイテムボックスから直に妖精喰いをボトボト落とし蓋を閉める。

「それじゃ下ごしらえしますか、あ、サフィーこのスイカ冷やしておいて。」
「はーい。」
 千春はアイテムボックスから果物を色々取り出し、果肉を取っていく。

「ヨリ、器にフルーツ入れてくれる。」
「まかせい!」
「ウチは?」
「私が切ったの一口サイズに小さくしてくれる?」
「りょ~。」
「チハルこっちでも溶かすからスライムちょーだい。」
「あいよ。」
 流れ作業でスライムを溶かし、フルーツを切り分け器に入れて行く。

「・・・あとはこの鍋に~。」
「なにそれ。」
 千春は溶けたスライムを別の鍋に入れ、グラニュー糖を入れる。

「そんで、コレを入れると。」
「え、日本酒?」
「そ、日本酒のゼリーだよ。」
 グラニュー糖が溶け、火を止めると氷魔法で冷やす。

「千春氷魔法使えたのか。」
「凍らせれない氷魔法なー、冷やすのに便利だよね。」
「料理にしか使われてない哀れな氷魔法。」
「塊は凍らないんだよ私の魔法は。」
 粗熱が取れた所で日本酒を入れ軽く混ぜると、器に入れて行く。

「おっけい!あとは冷やすだけ。」
「おっつかれー。」
 そう言っていると、リリとルル、そしてユラ、ポポとイーレン、シュシュとルペタも来た。

「チハルおねえちゃんキター!」
「いらっしゃい、ルペタちゃんも呼んだんだ、そっちに座っててねー。」
「はーい!」
 ユラとイーレン、ルペタは仲良く手を繋ぎソファーに座る、妖精達も3人の頭に乗って楽しそうにしている。

「モリー、ルカ、ユラ達に持って行ってあげて。」
 千春はモリアンとラルカに指示すると、冷えたゼリーを持って行く。

「さて、どうすっかなぁ。」
「どうしたん?千春。」
「いや、コレってスライムじゃん?」
「うん、スライムだね。」
「アイトネ食べると思う?」
『食べるわよ?』
「うわぁ!びっくりしたあ!」
『チハルが作ったんだもの、材料がどうであれ美味しいに決まってるわぁ。』
「あ、そう、それじゃモートさんも・・・。」
「頂くよチハル。」
「うん、居るよね、そっちで座ってまっててくださいねー。」
 二柱にも声を掛け、千春は別の器の方に液を入れて行く。

「よし出来た、サフィーこれも冷やしてもらえる?」
「は~い。」
 サフィーナが別に冷やしたゼリーは色々なお酒を入れたゼリーだ。

「これはルプ達、こっちはロイロの方が好きかも。」
「配りますね。」
 お酒のゼリーをペット達に渡し、千春も応接間に戻る。

「ロイロ、こっちがラム酒でこっち日本酒ね。」
「ほほぉ、頂くぞ。」
「どっぞ~♪」
「リリ、これがスモモのゼリーね。」
「ペスコのゼリーですわぁ!」
「おたべー。」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
 皆は手を合わせ食べ始める。

「うん、材料聞かなきゃマジ美味いわ。」
 麗奈はフルーツゼリーを食べながら呟く。

『美味しいわね、こんな食べ方があるなんてビックリだわ。』
「スライムってどれも食べれるのかな。」
『食べれるスライムも居るけれど、あまりお勧めしないわよ。』
「え?なんで?」
『スライムはお掃除屋さんなの、何を食べたか分からない物は食べたくないでしょう?』
「このスライムは良いの?」
『このスライムは魔力を食べる特殊なスライムなのよ、あとは植物を食べるスライムなんかは食べれるわね。』
「ふむふむ、まぁ無理して食べたいとは思わないかな。」
 スライムゼリーを食べながら千春は呟く、そしてペット達に大好評なお酒ゼリーはあっという間になくなり、ロイロ達が自分達で追加を作り出す程の大人気だった。






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