女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -完結編-

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結局…25分もの《ちょっとだけ》になってしまった…。

けど美容院クローシュ・ドレへとかえりを急ぐ車内では、全員が『楽しかったねー』『またこの5人で揃って歩きたいね』って、煩いってほどに笑って、大盛り上がりだった。

次から次へとわるわる僕らの元へ来て、歓喜に満ちた声援を、僕らの心の奥底に預けてくれた。

本当に、早瀬ヶ池という街が…ハイカラ通りの全てが…僕ら5人を歓迎し包んでくれてた…。

まるでちょっとした映画スターにでもなった気分だった…。






…午後4時8分。
予定よりも30分ほども遅れて、僕らはやっとアンナさんの美容院に到着。

お店の玄関までの階段を静かに上がって…5人が揃ったらところで、春華さんがそっと玄関扉を開けた…。


『ただ今、詩織ちゃん達を連れて戻りましたー…』
『ちょっと寄り道をして…帰りが遅れてしまいましたー…』
『ごめんなさい…』

『許し…あーっ!!』


詩織が声を上げて叫んだ。

店内では、アンナさんと秋良さんと啓介さん…それと大基さんがロングソファーに座って、真っ白な《濃厚ミルクとバニラのソフトクリーム》を、それはそれはもの凄く美味しそうにぺろぺろと舐めていた。


『あっ秋良くん!…私たちのソフトクリームは!?あるよね!?もちろん!』

『あぁ?もちろん。ある…わけねーだろ詩織。帰りが遅かったお前らが悪…』

『えーっ!?…外、おもいっきり暑かったんだよー!!』


秋良さんが勝ち誇ったような《したり顔》で、ニヤリと涼し気な微笑みを見せつけながら…ソフトクリームをペロッ。そして僕らに指示をする。


『ほらほら。俺達ここを退いてやっから。はやくお前らここに座って、さっさと会議始めっぞー』

『そんなの酷いよー!!』

『…んもぅいい!秋良くんの舐めかけでもいいから、そのソフトクリームをこっちに寄越よこしなさいっ!』


春華さんがソフトクリームを強奪しようと、秋良さんがロングソファーから立ち上がろうとした瞬間に合わせて、覆い被さるように襲い掛かった。


『うわっ!!春華!!ちょっ…お前!めろっ!ソフクリ落ちるー!!』

『だったら!ひとペロでいいから!大人しく舐めさせてよー!こんのぉ…秋良くんのケチん坊が悪いんだからッ!!』

『はーい。春華ちゃん。もうそれぐらいにしてあげて』


アンナさんが2人を止めに入っ…あ!


『ソフトクリームじゃないけど…チーズケーキ味のイタリアンジェラート。みんなのために買っておいたから。これで許して』






…んふふふ。これ、冷たくて…めちゃくちゃ美味しいや。

イタリアンジェラートのおかげで、春華さんも詩織も…全員の機嫌がすっかり直っていた。

《会議》だなんて大それたものじゃないけど…アンナさんの『鈴ちゃんと鮎美ちゃんが、正式に仲間入りよ』と『それに対して異議申し立てや反対意見のある人は…居ないわね?』の一言で、それはあっという間に終わった。






















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