370 / 490
女装と復讐 -街華編-
page.359
しおりを挟む
鈴ちゃんから僕へ、鈴ちゃんのiPhoneが手渡された。
そしてその画面に表示された、彩乃に送信したその長文のPCメールを拝見させてもらっている。
詩織も『私にも見せてー』と、僕の肩に自分の肩をぐいぐいと押し付けるようにして、僕の横でその本文を一緒に見て読んでいる…。
《金魚ちゃん達は人を非難したり、否定なんてしない…》
《その裏表のない、ごく自然なスタイルが…》
《こんな私でも、金魚ちゃん達に憧れてる一人…》
《誰も否定できない、本物の瀬ヶ池で一番の女の子…》
《彩も金魚ちゃん達のように輝いて…》
…うーわぁ。
あの…鈴ちゃん?ちょ、ちょっと金魚のことを、過大評価し過ぎじゃありませんか…?
僕はゴクリと生唾を飲み込み、なぜか体中に緊張を駆け巡らせながら、詩織の横顔を見た…。
詩織もすぐにそれに気付いて、僕のほうを見る。
『ねぇ、この鈴ちゃんのメール…彩乃ちゃんのことを想う鈴ちゃんの優しい言葉が詰まってて、それが伝わってくる凄くいいメールよね』
『えっ?あ…そ、そうだよね…』
『特にこの…本当は心配なのに、大好きな妹の甘やかされてきた精神面の成長のために《しばらく離れよう》って決心した…ってところなんか』
…僕と詩織の、このメールの最も重要な部分の捉え方とか、観点とか…全然違った…。
うっ…読みが浅く安直過ぎた自分自身が…ものっ凄く恥ずかしい…。
『それにしても金魚…鈴ちゃんに、こんなにも褒めまくられてるとか…凄いねー♪』
…ねー。本当に。あはは…。
お、お恥ずかしながら…。
『あの…もういいかな?』
『あー!ごめんなさい!』
僕はiPhoneを鈴ちゃんに返した。
『またお二人には、恥ずかしくて言いにくい話なんだけどね…このメールのあとの、彩からの返信メールの内容がね…』
『えっ?うん…何って返ってきたの?』
詩織が心配そうに鈴ちゃんを見た。
『…教えることはできても、そのメールを直接見せることはできないから…口頭で話すね…』
僕も詩織も頷いた。
鈴ちゃんが話してくれた、彩乃からの返信メールの大まかな内容とは…。
【お姉ちゃん!!なんで私から離れるなんて悲しいこと言い出すの!?
なんで私があの金魚たちを見習うようなことをしなきゃいけないの!?
ねぇ、お姉ちゃんったら!!ちゃんと目を覚まして!!
子どもの頃のような、あの優しいお姉ちゃんに戻ってよ!!
お姉ちゃん!!ねぇお願いだから!!】
…はぁ。
結局…鈴ちゃんの彩乃を心配するその想いは、彩乃には伝わらなかった…らしい。
それ以来、彩乃からのLINEもPCメールも電話も、何もかも一切拒否。今は戻る気はないという…。
そしてその画面に表示された、彩乃に送信したその長文のPCメールを拝見させてもらっている。
詩織も『私にも見せてー』と、僕の肩に自分の肩をぐいぐいと押し付けるようにして、僕の横でその本文を一緒に見て読んでいる…。
《金魚ちゃん達は人を非難したり、否定なんてしない…》
《その裏表のない、ごく自然なスタイルが…》
《こんな私でも、金魚ちゃん達に憧れてる一人…》
《誰も否定できない、本物の瀬ヶ池で一番の女の子…》
《彩も金魚ちゃん達のように輝いて…》
…うーわぁ。
あの…鈴ちゃん?ちょ、ちょっと金魚のことを、過大評価し過ぎじゃありませんか…?
僕はゴクリと生唾を飲み込み、なぜか体中に緊張を駆け巡らせながら、詩織の横顔を見た…。
詩織もすぐにそれに気付いて、僕のほうを見る。
『ねぇ、この鈴ちゃんのメール…彩乃ちゃんのことを想う鈴ちゃんの優しい言葉が詰まってて、それが伝わってくる凄くいいメールよね』
『えっ?あ…そ、そうだよね…』
『特にこの…本当は心配なのに、大好きな妹の甘やかされてきた精神面の成長のために《しばらく離れよう》って決心した…ってところなんか』
…僕と詩織の、このメールの最も重要な部分の捉え方とか、観点とか…全然違った…。
うっ…読みが浅く安直過ぎた自分自身が…ものっ凄く恥ずかしい…。
『それにしても金魚…鈴ちゃんに、こんなにも褒めまくられてるとか…凄いねー♪』
…ねー。本当に。あはは…。
お、お恥ずかしながら…。
『あの…もういいかな?』
『あー!ごめんなさい!』
僕はiPhoneを鈴ちゃんに返した。
『またお二人には、恥ずかしくて言いにくい話なんだけどね…このメールのあとの、彩からの返信メールの内容がね…』
『えっ?うん…何って返ってきたの?』
詩織が心配そうに鈴ちゃんを見た。
『…教えることはできても、そのメールを直接見せることはできないから…口頭で話すね…』
僕も詩織も頷いた。
鈴ちゃんが話してくれた、彩乃からの返信メールの大まかな内容とは…。
【お姉ちゃん!!なんで私から離れるなんて悲しいこと言い出すの!?
なんで私があの金魚たちを見習うようなことをしなきゃいけないの!?
ねぇ、お姉ちゃんったら!!ちゃんと目を覚まして!!
子どもの頃のような、あの優しいお姉ちゃんに戻ってよ!!
お姉ちゃん!!ねぇお願いだから!!】
…はぁ。
結局…鈴ちゃんの彩乃を心配するその想いは、彩乃には伝わらなかった…らしい。
それ以来、彩乃からのLINEもPCメールも電話も、何もかも一切拒否。今は戻る気はないという…。
1
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる