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女装と復讐 -街華編-
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…詩織の一言とアンナさんの笑顔の反応で、僕も理解できた。
彩乃が焦り、何より今も一番恐れていること…それは《実姉である鈴ちゃんを、詩織と金魚に奪られてしまうかも…!》っていうこと。
じゃあ、あれは!?…つまり…ってことは…。
深く深く考えていると、なぜ彩乃がわざわざウェディングドレスを着て、ここに来たのか…そして姉の鈴ちゃんを堅守するためだけじゃない、もう1つの彩乃の真の目的…そんな憶測が徐々に頭の中に浮かんできた。
はっきり言って、彩乃はここ…《G.F.》の撮影所に《詩織と金魚に喧嘩を売りに》来たわけだ。
でも、そのまま来ただけでは『彩乃ちゃん、ここに何しに来たの?』ってことになる。だってそもそも、彩乃がここに足を運ばなければならない理由なんて何も無いからだ。
まさか正直に『喧嘩を売りに来ましたー』なんて、間違っても言えないし。
そこで『普段からお世話になっている《G.F.》編集局員さんや専属モデルのみんなに、私のウェディングドレス姿を見せてあげたかったから来たの』っていう明確な理由さえあれば、怪しまれることなくここに容易く侵入できる…って考えたわけだ。
けど、ここに来て彩乃の1つ目の誤算が発生する。
たぶん、彩乃は樋口から『撮影の順番を待ってる女の子たちは、廊下を待合室にして集まってるんだよ』って、聞いていたんだと思う。
だけど…来てみたら、確かに女の子たちは集まってはいるけど、そこに金魚と詩織の姿がない。
僕らと何気なく挨拶を交わし、何気なく自然に姉の鈴ちゃんのことで口論に発展していく段取りだったのが…全て台無しに。
あの短気な彩乃は『なに隠れてんのよ!出てきなさいよ!』と、喧嘩を売りに来たことを、自ら女の子たちの前でバラしてしまい…。
…彩乃のイメージは大幅ダウン。
彩乃の2つ目の誤算。
…それは詩織と僕が、彩乃が思ってたよりも意外と言い争いに強かったってこと。
彩乃は声を荒げ、その威勢だけで僕らを抑えつけようとしたんだけど…全然抑えつけることができず、まんまと失敗しちゃいましたー。
最後に3つ目の誤算。
これだけの数の女の子たちの前で、詩織と金魚を言い負かせて《私がやっぱり瀬ヶ池で一番の女の子ね!》ってことを強くアピールするはずだった。
けれど、いざ実際に言い争ってみた結果が『2人には、そう易々とは勝てませんでした…』『ただ私自身のイメージを悪くしただけでした…』。
『ねぇ金魚、さっきから何をブツブツと独り言してるの?』
……えっ?
ふと我に返ると…詩織はアンナさんに、2度目の髪のセットをしてもらっていた。
彩乃が焦り、何より今も一番恐れていること…それは《実姉である鈴ちゃんを、詩織と金魚に奪られてしまうかも…!》っていうこと。
じゃあ、あれは!?…つまり…ってことは…。
深く深く考えていると、なぜ彩乃がわざわざウェディングドレスを着て、ここに来たのか…そして姉の鈴ちゃんを堅守するためだけじゃない、もう1つの彩乃の真の目的…そんな憶測が徐々に頭の中に浮かんできた。
はっきり言って、彩乃はここ…《G.F.》の撮影所に《詩織と金魚に喧嘩を売りに》来たわけだ。
でも、そのまま来ただけでは『彩乃ちゃん、ここに何しに来たの?』ってことになる。だってそもそも、彩乃がここに足を運ばなければならない理由なんて何も無いからだ。
まさか正直に『喧嘩を売りに来ましたー』なんて、間違っても言えないし。
そこで『普段からお世話になっている《G.F.》編集局員さんや専属モデルのみんなに、私のウェディングドレス姿を見せてあげたかったから来たの』っていう明確な理由さえあれば、怪しまれることなくここに容易く侵入できる…って考えたわけだ。
けど、ここに来て彩乃の1つ目の誤算が発生する。
たぶん、彩乃は樋口から『撮影の順番を待ってる女の子たちは、廊下を待合室にして集まってるんだよ』って、聞いていたんだと思う。
だけど…来てみたら、確かに女の子たちは集まってはいるけど、そこに金魚と詩織の姿がない。
僕らと何気なく挨拶を交わし、何気なく自然に姉の鈴ちゃんのことで口論に発展していく段取りだったのが…全て台無しに。
あの短気な彩乃は『なに隠れてんのよ!出てきなさいよ!』と、喧嘩を売りに来たことを、自ら女の子たちの前でバラしてしまい…。
…彩乃のイメージは大幅ダウン。
彩乃の2つ目の誤算。
…それは詩織と僕が、彩乃が思ってたよりも意外と言い争いに強かったってこと。
彩乃は声を荒げ、その威勢だけで僕らを抑えつけようとしたんだけど…全然抑えつけることができず、まんまと失敗しちゃいましたー。
最後に3つ目の誤算。
これだけの数の女の子たちの前で、詩織と金魚を言い負かせて《私がやっぱり瀬ヶ池で一番の女の子ね!》ってことを強くアピールするはずだった。
けれど、いざ実際に言い争ってみた結果が『2人には、そう易々とは勝てませんでした…』『ただ私自身のイメージを悪くしただけでした…』。
『ねぇ金魚、さっきから何をブツブツと独り言してるの?』
……えっ?
ふと我に返ると…詩織はアンナさんに、2度目の髪のセットをしてもらっていた。
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