女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

page.187

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僕らは、アンナさんからは買ってきたケーキを勧められ、ナオさんからは紅茶を振る舞われた…美味しい。






『ケーキ3個完食ぅ♪』


…えっ!?
僕は今、やっとケーキ2個目を食べはじめたばかりなのに…詩織早っ!


『…ところで、アンナさんはどうして、ナオさんのお店にいるの?…サボってるとかの冗談は抜きにして』


アンナさんは詩織に優しく微笑んだ。その微笑みを不思議そうにチラリと見ながら、詩織は紅茶を一口…。


『アンナはね、このお店で《フェイシャル・エステ》をしてあげるために、ここに呼んだの。私が』

『えっ?ナオさんが?…って、このお店の中にフェイシャル・エステやってる部屋なんてありました?』

『うん。ここ何年か前からね、始めたの。この上…2階の一室で』


へぇ…と、少し驚いた表情の詩織。


『でも《私が呼んだの》…って?』

『うん。今、来月…つまり4月から働いてもらうエステの新人の子が研修にきてるの。その研修のお客様役に、アン…』

『その研修って、まだやってるの!?ナオさん、研修だったらお安くエステ、やってもらえるんですか!?』


凄い勢いで、ナオさんにそう訊く詩織。


『詩織ちゃんも研修のお客様役…やってく?お安いどころか《無料》だし』

『うん!やるやる♪やりまーす♪』


ふふふっ…と笑ってるナオさん。


『今日、ほんっとに嫌なことばっかだったし…少しだけでも癒されたい…』


ナオさんと詩織は椅子から立ち上がった。


『金魚は、ここでケーキを!』


…ケーキを見張ってて…って…。


『アンナはもう帰る?美容院に』


アンナさんは少し困ったような表情で、ナオさんにゆっくりと答えて返した。


『…って思ったけど…金魚を独りきりにして、詩織を待たせてるってのも気の毒だし…もう少しだけここに居るわ』


アンナさんって本当に優しい。だけど、少し心配も…。


『あの…いいんですか?美容院のほうとか…?』

『うん。お店の女の子たちにも《もう少し送れます》って、すぐに連絡しておくわ』






アンナさんの、携帯からの連絡も済み、ナオさんと詩織は店内の階段で2階へと上がっていった。


…残った僕とアンナさん…2人。そして…14秒の沈黙の時間…なにか話さないと…。


『あの…ぁ、アンナさん』

『うん。なに?』


僕は一瞬…何を話そうか戸惑っだけど…。


『えっと…あの…せっかくナオさんの化粧品のお店に来てるので、その…お店の中を歩きながら、えっと…化粧品の説明書とか知識とか…教えてもらえませんか…?』

『?』
























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