女装と復讐は街の華

女装と復讐 -躍動編-

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僕は今…詩織の優しさや温かさを凄く身に感じてる…。それに比例して、自分の中の激しい後悔と悔しさが…この体をぶち破って、今にも醜く溢れ出そうだった…。


『…もし、あなたの…瀬ヶ池の女の子たちへの《復讐》って気持ちが焦ってたとしても…今は我慢して。さっきは本当に嬉しかったけど…今は私、なんて言われても…サイトに何て書かれても…私は我慢できるから…ね』


僕はもう辛くて…詩織の顔を見てられなくなって…今度は僕のほうが下を向いた。






『…本当にごめん。詩織…僕、そんな詩織の優しさなんか解らずに…詩織にずっと酷いことを言いまくってしまった…』

『お願い…あなたは謝らないで。だって信吾は、私のために言っ…』

『どうしよう…僕は…詩織を…自らの暴言で…傷付けてしまった…』

『大丈夫たがら…信吾。信吾は私を傷付けてなんかないよ。だから…そんなに自分を責めないで』


僕は大きく首を横に振る。



『…信吾』


詩織は僕の体を優しく引き寄せ…ぎゅっと抱きしめた。



『信吾…私、今凄く嬉しいの。あなたの優しさと私の気持ちが、ただすれ違っただけだもの。誰も悪くない』

『僕は今まで…ずっと詩織に助けられてきた…詩織に頼りきりだった。だから…今度は僕が詩織に、恩返しをしたかったんだ…』


僕のその一言を、首を横に振り優しく否定した詩織は、僕の耳元で囁くように諭してくれた…。


『信吾…ありがとうね。だけど…私たちは《パートナー》だもの。私と信吾のあいだに《恩》なんて、そんな大それたものなんて無いの。だから…』

『…うん』


僕は小さく頷いた…。

始めて…僕の《ごめん》と詩織の《ありがとう》が重なって…僕らの絆の深さを確かめ合うことができた瞬間…そんな気がした。









突然だけど…あれからさらに時は過ぎて…今日は２月の第１水曜日。
…本当に突然だ…ごめんなさい。

時刻は…午前６時28分。二度寝するには中途半端な時間だ…うぅ…寒っ。
僕は一旦ベッドから出て石油ファンヒーターの電源を入れ、またベッドに戻った。

僕は今でも…朝目が覚めると、あの日のことを思い出す…。






初めて《おばタク》の岡ちゃんと顔を合わせた日…そして、詩織と初めて本気の口喧嘩をした日…喧嘩？まぁいいや。

…あのあと…詩織のメイクが涙でもうめちゃくちゃだったし、僕の上着のコートもまた、詩織のメイクが付着して、汚れて大変だった…ってことで、岡ちゃんに電話…したんだけど、繋がらなかったからアンナさんに電話。

なぜか… そこからアンナさんがナオさんに電話。そして、ナオさんが迎えに来てくれたんだった…。