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女装と復讐 -躍動編-
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『…ぐすっ…』
その体を力無く壁に持たせ掛け、下を向いて座って黙ってしまっている詩織。
今改めて詩織を見ると…少し痩せてて、本当に華奢で…今はとてもか弱く見える…。
『詩織…ごめん。僕、詩織の言うこと、ちっとも聞こうとしなかった…本当にごめん』
『…ううん…』
詩織は下を向いたまま、黙って小さく首を横に振った。
『………少し落ち着いた?』
黙ったまま、ウンと頷いた詩織。
『信吾…私の話、聞いてくれる?』
『うん。聞くよ』
僕はら詩織の前で、安っぽいタイル張りの路地に両膝を突き、詩織の顔を少し見上げるように屈んだ。
そんな僕の顔を見下ろした詩織…瞳が濡れていて、陽の光を反射しキラキラと輝いて見える…。
『…私ね…私への嫌な書き込みのことを、信吾が怒ってくれて…それで周りの女の子たちにそれを言い始めたとき…凄くびっくりしたの』
『うん』
初めて聞く…涙で掠れた詩織の声…。
『…でも、本当は嬉しかった。本当に《信吾…ありがとう》って思った。本当よ…』
『うん。本当本当って…分かったから』
『だけどね…これじゃダメだって私、思ったの…』
詩織が言う《これじゃダメだって思った》って…これ。
この意味が僕は、今もよく解らない…。
『詩織…さっき《金魚を守りたかったの!》って…言ってたよね?』
『…うん。だから今…それを説明しようと思ってたとこ…』
…あー、ごめん。話を先走った…。
『……っていうか…金魚の怒った顔…可愛いーって言われてたね。えへへっ…』
下を向いたまま、少し戯けたことを言う詩織。
『だから!それはいいから説明!』
『でもね…本当に可愛かったよ。金魚の怒った横顔。なーんか一生懸命だなーって。何だろう…すこしドキドキした。怒った顔まで可愛いだなんて…羨ましいね…』
『……。』
…そんなのを羨ましがられても…。
つまりは《迫力に欠けてた》ってことだし…。
『金魚はこれから、いろんな女の子たちから人気や支持を集めて…憧れられたり…羨ましがられたり…たくさん好かれなきゃならないの…』
僕は静かに…詩織の優し気な瞳を見詰めていた…。
『あなたは…金魚は《瀬ヶ池の嬢傑》って呼ばれる女の子になるの。だから…今は、瀬ヶ池の女の子たちに《嫌われてしまうような》ことを…言っちゃダメ…』
『…!!!』
僕は、それを聞いて急にハッとした…!
そして後頭部をバットのような鈍器で、おもいっきり撲られたかのように…頭がぐらっとした…。
詩織は…本当に金魚を守ってくれてたんだ…!
なのに僕は……!!
うわぁぁ…どうしよう…!!!!
その体を力無く壁に持たせ掛け、下を向いて座って黙ってしまっている詩織。
今改めて詩織を見ると…少し痩せてて、本当に華奢で…今はとてもか弱く見える…。
『詩織…ごめん。僕、詩織の言うこと、ちっとも聞こうとしなかった…本当にごめん』
『…ううん…』
詩織は下を向いたまま、黙って小さく首を横に振った。
『………少し落ち着いた?』
黙ったまま、ウンと頷いた詩織。
『信吾…私の話、聞いてくれる?』
『うん。聞くよ』
僕はら詩織の前で、安っぽいタイル張りの路地に両膝を突き、詩織の顔を少し見上げるように屈んだ。
そんな僕の顔を見下ろした詩織…瞳が濡れていて、陽の光を反射しキラキラと輝いて見える…。
『…私ね…私への嫌な書き込みのことを、信吾が怒ってくれて…それで周りの女の子たちにそれを言い始めたとき…凄くびっくりしたの』
『うん』
初めて聞く…涙で掠れた詩織の声…。
『…でも、本当は嬉しかった。本当に《信吾…ありがとう》って思った。本当よ…』
『うん。本当本当って…分かったから』
『だけどね…これじゃダメだって私、思ったの…』
詩織が言う《これじゃダメだって思った》って…これ。
この意味が僕は、今もよく解らない…。
『詩織…さっき《金魚を守りたかったの!》って…言ってたよね?』
『…うん。だから今…それを説明しようと思ってたとこ…』
…あー、ごめん。話を先走った…。
『……っていうか…金魚の怒った顔…可愛いーって言われてたね。えへへっ…』
下を向いたまま、少し戯けたことを言う詩織。
『だから!それはいいから説明!』
『でもね…本当に可愛かったよ。金魚の怒った横顔。なーんか一生懸命だなーって。何だろう…すこしドキドキした。怒った顔まで可愛いだなんて…羨ましいね…』
『……。』
…そんなのを羨ましがられても…。
つまりは《迫力に欠けてた》ってことだし…。
『金魚はこれから、いろんな女の子たちから人気や支持を集めて…憧れられたり…羨ましがられたり…たくさん好かれなきゃならないの…』
僕は静かに…詩織の優し気な瞳を見詰めていた…。
『あなたは…金魚は《瀬ヶ池の嬢傑》って呼ばれる女の子になるの。だから…今は、瀬ヶ池の女の子たちに《嫌われてしまうような》ことを…言っちゃダメ…』
『…!!!』
僕は、それを聞いて急にハッとした…!
そして後頭部をバットのような鈍器で、おもいっきり撲られたかのように…頭がぐらっとした…。
詩織は…本当に金魚を守ってくれてたんだ…!
なのに僕は……!!
うわぁぁ…どうしよう…!!!!
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