女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -発起編-

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一瞬何が起こったか解らず驚いた僕らが見た先には、デジタルの一眼レフカメラを構えていた雄二さんがいた。
あ!僕ら…カメラのフラッシュに驚いたんだ!…と今更ながら理解。


『おぅ、悪いな。ついついシャッターを押しちまった』


雄二さんがそのカメラを手に、僕らの方へと近づいてきた。そして真ん中に座る春華さんに、カメラをひょいと手渡す。


『どうだ?今撮った写真がそれだ』

『えっ!きれ……ねぇ!ちょっとちょっと!詩織ちゃん!金魚ちゃん!これ見て!凄く素敵じゃない!?』

『春華さん!見せて!』


詩織も僕も、身を乗り出して、カメラの撮影データを覗き込む。


『凄ぉい…この写真好き!…素敵!!』

『あ…これいい写真ですね。僕ら3人ともいい笑顔』

『ありがとう!雄二さん!』


詩織がキラキラした瞳で雄二さんにそう言った。


『なんか…この写真、このまま何かの広告用のポスターとかに使えそうじゃない?ねぇ』

『なんだなんだ?俺にも見せてくれよ』


秋良さんも写真を見に寄ってきた。


『おぉー!さすがプロの撮影!本物のモデル撮影じゃんか!やっぱ雄二さん凄ぇな!』


…と言った秋良さんを、詩織が冷たい視線で見る。


『あの…秋良くん?私は確かに素人だけど、でも一応は《本物のモデル》なんですけど…?』

『あー…だったか。こりゃスマンスマン』


秋良さんが悪びれた様子で詩織に謝った。


『んもぅ!』


ぷうっと膨れっ面だった詩織が、ぱっと気分を一転させて、雄二さんの方を見上げる。


『ねぇ、雄二さん!この写真データ…私のノートパソコンに転送してもいい?お願い!』

『ん?あぁ、別に。構わないが』

『ほんと!?嬉しーい♪』


そこにアンナさんがやって来た。


『それは後にして、詩織。そろそろ時間よ。撮影スタジオに出掛けるわ』

『あ…はぁい』


アンナさんが詩織にそう言うと、詩織もノートパソコンをシャットダウンさせ、それを閉じて立ち上がる。
雄二さんも春華さんからカメラを受け取り…。


『よし…んじゃ行くか』


そして秋良さんも、春華さんと僕を立ち上がらせた。


『春華、信吾。俺らも美容院から出るぞ』


小冊子《早瀬ヶ池 Girls File》の撮影日は、 美容院クローシュ・ドレの不定休業日らしい。




全員が美容院から出たのを確認し、アンナさんは大きな化粧箱を左手に下げて、右手で玄関の扉に鍵を差し込み、ガチャリと錠を掛けた。


『詩織…ノートパソコンを持ってお店から出なくても良かった?』


僕は、それが気になって訊いてみた。すると詩織は…。


『なんで?撮影が済んだら、また美容院ここに戻ってくるのよ?みんな』


あ…そっか。そうだった。




雄二さんの運転する車に乗り込み、街道の向こうへと走り去るアンナさんと詩織を、僕らは見送った。


『それじゃあ、金魚ちゃん。昨夜行ったとおり、今日は《3人デート》楽しもうねッ♪』




















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