女装と復讐は街の華

女装と復讐 -発起編-

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秋良さんが《G.F.》というものを簡単に説明してくれた。


毎月一回発行、早瀬ヶ池周辺の各店舗、または藤浦市内の各店舗にも配布されている《早瀬ヶ池 Girls File》という小冊子…自分で買うなら定価110円…がいるらしい。それが略されて《G.F.》と称されているんだとか。


『…でな、小冊子の中身の前半は、瀬ヶ池を中心に藤浦市内のあちこちの街中まちじゅうで取材撮影された娘らの写真と紹介が載ってて、真ん中あたりは《G.F.デビューした素人モデル》を使った協賛店らの広告ページ。んで後ろのほうには、なんかメイクテクやら、ダイエット情報やら、占いやらの雑談掲載ページがある…ってやつだ』


続けて春華さんも説明してくれた。


『…でね、瀬ヶ池の女の子たちにとって《G.F.》の女の子紹介ページに自分の写真と紹介が載せてもらえるのは、とっても名誉ある嬉しいことなの』


…自分の写真と紹介が載ることが《名誉》って、大げさ過ぎでは…？


『じゃ…その女の子紹介のページに載るための基準とかって、あるんですか？』


その僕の質問に、秋良さんが答えてくれた。


『うーん？つーか…綺麗でも可愛いでもいい。とにかく、あの街ん中でどの娘らよりも一番目立ってれば撮ってもらえるし載れるってことだ！単純で解り易いだろ？』


…確かに。単純明快だ。
秋良さんは続けて言う。


『アンナさんの店にも《G.F.》置いてあるぜ。協賛店だからな』

『そうなんですか！…じゃあ僕も明日、アンナさんのお店で買おうっと』


そこに今度は春華さん。


『アンナさんだったらたぶん《お金は要らないわ》って言うと思う。あの小冊子を置いてある殆どのお店って、常連のお客さんから欲しいって要望あれば、無料であげてるもんだから』

『えっ？無料！？』

『信吾、そりゃそうだろ。元々《G.F.》ってのは、若い娘らをターゲットとした《地域振興目的》と《宣伝広告集合冊子》なんだからよ。ただの広告冊子で金取って組合が儲けたら、普通マズいだろ』


つまり…定価販売対象は《配布する末端のお客さま》ではなくて《地域組合加入の協賛店》ってこと？それとも…ただの謳うたい文句？


『…んで明日詩織は《G.F.》の来年１月から３月発行分の《ヘアスタイルモデル》の撮影日ってことなんだ』


ふと聞くと、ややこしく感じるけど…つまり、そういうことか。

そういえば前に…《詩織はアンナさんの美容院の素人モデル》だって聞いたことあったもんな…なるほど。






……えっ？…撮影…日！？


『だからね、明日は詩織ちゃんの代わりに、私たちと瀬ヶ池デートしましょ！…ってことなの。宜しくねッ♪』


…あぁ…そうなの？