女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -発起編-

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春華さんは、今度は真剣な眼差しで、まだぐりぐりと僕の左の耳たぶを揉みながら、もうひとつ訊いてきた。


『うん。痛くないのね。よしよし。じゃあ…金属アレルギーとかもないよね?』

『はい。ないです』


なぜか…僕の耳たぶを揉む春華さんと僕は…しばらくの間、ジーッと互いを見合ってた。
この時間は…なに?何かの…。

そんなやり取りの最中に、ノックもなく玄関のドアがガチャッ!と開いた…!


『あー!お前らぁ!俺のいないうちにー、いいムードになってんじゃんかよー!!』

『!!』
『♪』


えぇぇーっ!?…秋良さん!!
春華さんも秋良さんの突然の登場に、慌てて揉むのを止めて僕の左の耳たぶを放した。


『おい!どーいうことだよ!春華ぁ!』

『だ、だってぇ…信吾ちゃんがぁ…強引に私を誘ってきたんだもぉん…』

『なに?信吾、テメェ…覚悟は出来てんだろうなァァ!!』


『ちょ、待っ…おゎ……えぇぇぇーっ!!』



あわわわわわ…!!!
急に何を言い出すんだー!!このお姉さんはぁぁー!!


『うわはははー』


……えっ?…えっ、なに…?
突然笑い出した秋良さん…?隣を見ると春華さんも悪戯っぽくケラケラと笑っている…?


『アンナさんから聞いたとおり、ほんとに信吾くんって可愛い。面白ぉーい♪』

『…えっ、ぇ…なんです??』

『信吾、お前って奴は本当に真面目だよなー。わははは』

『……。』


お2人の冗談ドッキリに…まんまと騙されてしまった…。
でも冗談で良かった…た、助かった。


『ねぇ、そろそろおでん、いいんじゃない?食べようよ』


春華さんのその一言で、とりあえずおでんを食べることに。


『よおーっし!食うぞー信吾ー!箸と皿の準備だー!』

『あ…はい』


……はぁーぁ。マジで恐かったぁぁ…。






おでんを3人でつついたあと…ごちそうさま。僕らは雑談を始めていた。


『…信吾、なんだ?あの紙袋』

『あー。あれは明日アンナさんのお店に持ってく、先週着てたワンピースです』


…そこで、急に疑問が頭に浮かんだ。


『アンナさんが、あのワンピースを洗濯するから持ってきて、って言ってくれたんですが、でも明日…金魚の着る衣服がないんですよね…』


秋良さんが右手で、僕の左肩をポンと叩いた。


『安心しろ信吾。あのワンピースと同じデザインの色違いを、もう用意してあっから』

『私も明日が楽しみーぃ♪』


『ほ、本当ですか!…秋良さん、ありがとうございます!!』

『俺じゃねーよ。そのお礼なら啓介に言ってやってくれ』


…なるほど。啓介さんのお気遣いだったのかぁ。今度会ったら絶対お礼を言わないと……ん?

春華さん…今『明日が楽しみ』…って?なんで??
僕は春華さんをチラリと見た…。






『信吾、明日は詩織の撮影日じゃんか、《G.F.》の。だから俺たちが詩織の代わ…』

『あの…秋良さん…』

『…りをしてや……あ?なんだ?』


僕はもの凄く恥ずかしい?質問を秋良さんにした。


『前から気になってたんですけど…その…《じーえふ》ってなんですか…?』


秋良さんの動きが一瞬…蝋人形のように固まった…。


『はぁ!?…おま…マジで言ってんの?』

『…あの…はい…』


秋良さんと春香さんが見合う…春華さんはクスクスと堪えながら笑い出す始末…。


『お前《G.F.》も知らずに瀬ヶ池に出入りしてしてたのか!?』

『えっ…あ、はい』


…ナンパじゃなくて《声掛け》なんですけど…。




















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