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女装と復讐 -発起編-
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箒を右手に、ちり取りを左手に持ち、通路を掃除していた大家のおばちゃん。僕は慌てて通路に出て、玄関扉をパタンと閉めて小さく頭を下げた。
『ぁ…あの、こんにちは…』
口は半開き…背筋をピンと真っ直ぐに立ったままのおばちゃん…じっと僕の顔を見ている。
どど、ど、どうしよう!!…もしかして、僕が女装してるのがバレたとか!?…ドキドキ…。
『岩塚くんの…お友達?』
…えっ?
『あ、いえ!信吾の…あ、姉です…』
僕に姉なんていない。
おばちゃんの言ったのに合わせて、なにも『そうです。友達です』って返事しても良かったはずなのに、冷静さを失っていた僕は…わざわざそれを否定し、更にややこしくして『姉です』なんて、つい言ってしまった…。
『お姉さん?ええ?…岩塚くんは一人っ子だって本人から聞いてるんだけど…違うの?』
うそ!?…僕、正直におばちゃんに教えてたっけ!?
『ぁ…えぇと…えへへ。ごめんなさい。正しくは姉じゃなくて…い、従姉妹です』
『あら?従姉妹なの?』
『そ…そうなんです。たぶん従姉妹…』
『………え?』
うわぁぁぁー!ちょ…僕は何を言ってんだ!!
超テンパって、余計に怪しい言い方をしてしまったぁぁ…!
突然、僕はおばちゃんの目の行き場が気になった。僕の顔から目線が離れ、少し下をじーっと確かめるような視線…?
僕も確かめるように、ふと下を見た。おばちゃんが見ていたのは、このしわくちゃのワンピースだ。着たまま寝ていたんだから仕方ない。
僕はしわの寄ったワンピースをぐいぐいと引っ張り、手直ししながら恥ずかしそうな作り笑顔で誤魔化そうとした。
『…昨夜は…岩塚くんのお部屋にお泊まりだったの?』
『………….えっ?』
げげーっ!!…このしわくちゃワンピースが原因だろう…更にややこしい誤解を生じてしまったぁぁー!!
考えればそのとおりか…。
例えば昨夜じゃなくて、本当に今朝来たんだとしても…普通の女の子が、こんなくしゃくしゃなワンピースを着て来るだろうか…。
今朝来てから、ワンピースがしわくちゃになりましたぁ…なんて言い訳でも、それはそれで怪しまれるおかしな話だ…。
僕が返答に困っていると、おばちゃんのほうから先に…。
『あの…ごめんなさいね。訊いてはいけないプライベートな事情を訊いてしまって…』
『えぇーっ!?あの…全くの誤解です!!』
おばちゃんが爽快なくらい、明るい笑顔を見せた。
『そんな誤魔化さなくても大丈夫よ。岩塚くんだってお年頃だもの。若いうちは色々あるわよ…ね』
『……。』
…ね♪なんて言われても…。僕になんて返事をしろと…。
ヤバい…。もうどんな言い訳をしようと、おばちゃんには全く通用しなさそうな気がする…。
『ぁ…あの、こんにちは…』
口は半開き…背筋をピンと真っ直ぐに立ったままのおばちゃん…じっと僕の顔を見ている。
どど、ど、どうしよう!!…もしかして、僕が女装してるのがバレたとか!?…ドキドキ…。
『岩塚くんの…お友達?』
…えっ?
『あ、いえ!信吾の…あ、姉です…』
僕に姉なんていない。
おばちゃんの言ったのに合わせて、なにも『そうです。友達です』って返事しても良かったはずなのに、冷静さを失っていた僕は…わざわざそれを否定し、更にややこしくして『姉です』なんて、つい言ってしまった…。
『お姉さん?ええ?…岩塚くんは一人っ子だって本人から聞いてるんだけど…違うの?』
うそ!?…僕、正直におばちゃんに教えてたっけ!?
『ぁ…えぇと…えへへ。ごめんなさい。正しくは姉じゃなくて…い、従姉妹です』
『あら?従姉妹なの?』
『そ…そうなんです。たぶん従姉妹…』
『………え?』
うわぁぁぁー!ちょ…僕は何を言ってんだ!!
超テンパって、余計に怪しい言い方をしてしまったぁぁ…!
突然、僕はおばちゃんの目の行き場が気になった。僕の顔から目線が離れ、少し下をじーっと確かめるような視線…?
僕も確かめるように、ふと下を見た。おばちゃんが見ていたのは、このしわくちゃのワンピースだ。着たまま寝ていたんだから仕方ない。
僕はしわの寄ったワンピースをぐいぐいと引っ張り、手直ししながら恥ずかしそうな作り笑顔で誤魔化そうとした。
『…昨夜は…岩塚くんのお部屋にお泊まりだったの?』
『………….えっ?』
げげーっ!!…このしわくちゃワンピースが原因だろう…更にややこしい誤解を生じてしまったぁぁー!!
考えればそのとおりか…。
例えば昨夜じゃなくて、本当に今朝来たんだとしても…普通の女の子が、こんなくしゃくしゃなワンピースを着て来るだろうか…。
今朝来てから、ワンピースがしわくちゃになりましたぁ…なんて言い訳でも、それはそれで怪しまれるおかしな話だ…。
僕が返答に困っていると、おばちゃんのほうから先に…。
『あの…ごめんなさいね。訊いてはいけないプライベートな事情を訊いてしまって…』
『えぇーっ!?あの…全くの誤解です!!』
おばちゃんが爽快なくらい、明るい笑顔を見せた。
『そんな誤魔化さなくても大丈夫よ。岩塚くんだってお年頃だもの。若いうちは色々あるわよ…ね』
『……。』
…ね♪なんて言われても…。僕になんて返事をしろと…。
ヤバい…。もうどんな言い訳をしようと、おばちゃんには全く通用しなさそうな気がする…。
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