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女装と復讐 -発起編-
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僕と詩織の目の前のテーブルにカクテルグラスが2つ、トンと置かれた。グラスの中にはココア色のカクテル。
『?』
『?』
置いたのは秋良さんだ。
『おーし…お前ら。俺からの祝い酒だ。今夜は遠慮なく飲みまくれー!ほら!』
秋良さんが『俺の奢りだから心配すんな』って言ってくれるのは嬉しいんだけど、それ以前に…。
『秋良くん…私たちまだ未成年なんだけど…』
『んな固いこと言うなって。お前ら19だろ?』
僕と詩織は互いの顔を見て確認した。
『20と19なんて、そんなもん大して変わんねーよ。だから俺が飲酒を許可する』
『…なにそれ』
秋良さんからの祝い酒…。
僕は秋良さんと詩織のやり取りを横目に、意を決して両手でグラスを持ち、唇を湿らすように、ほんの少しだけ味わってみた………あ!これチョコレートみたいな味がする…甘い。思ったより飲みやすいかも…!
『ちょっと…金魚!』
僕は意を決してそのココア色のカクテルを一気に半分飲んだ。
(※飲酒は20歳になるまで本当はダメです。未成年者はそれまで我慢しようね。)
『おぉ!さすがだなぁ信吾!』
『秋良くん!金魚が酔い潰れちゃったらどーするの!!』
…なんだか、急に…頭が凄く重く……なにこれ…?
『大丈夫だよ。ちゃんと俺が家まで送ってやるから』
『…いくら女装とはいえ…秋良くんがこんなに可愛い金魚を家まで送るってこと自体が、危険だってのに…』
『あ??詩織、何って?何か言ったか?』
『いーえ。何も言ってませーん』
…なんか…詩織と…秋良さんが………言い合いしてる…?
『ばか野郎!詩織!本当は聞こえてたぞ!金魚がいくら可愛いってもなぁ、そこまで見境な……』
『えっ?ちょっ待っ…金魚…金魚!…きん…』
『…………。』
…ふと目が覚めると…あれ?見慣れた天井が見える…。
あ…ここ、間違いなく僕の部屋だ。
まずベッドの上で上体を起こした。そして部屋の壁掛け時計を見る…もうすぐお昼近くの11時か。
どうやら…僕はあのお酒の一口で酔っ払ってしまったらしい。それで誰かがアパートまで送ってくれたみたい。
アンナさんかな?それとも…秋良さん?記憶が何もない…。
『…あっ!!』
ベッドから立ち上がったとき…僕はそれに気付いた。
僕は女装のワンピース姿のまま寝てた…。振り返ると枕の上にロングヘアーのウィッグ。そして、枕元に僕の学生証。
うわぁぁ…ヤバい!
アンナさんの美容院に、僕の衣服も伊達眼鏡も置いてきたままだ!これじゃ明日、大学に着ていく《まともな服》も無いぞこりゃ…。
気が動転して、一旦は慌ててバタバタと洗面所へ向かうけど…そういや、顔も洗えない…。
今の状況では、もうこの女装姿のままで衣服を取りに行くしかない。顔なんて洗ったら…メイク…どうする…。
僕はもう一度ベッドに行き、ウィッグをバッと手に取って洗面所へとまた戻った。
洗面台の鑑を覗く…良かった。メイクは崩れてない。そのままだ。
僕は無造作にウィッグを被り、下手なりにもなんとかウィッグを整える。
…よし。取りに行こう。
いや待て。この格好でも歯磨きぐらいはできる。
僕は気合を込めて、歯ブラシと歯磨き粉を手に持ち、鏡に映る金魚に向かってウンと頷いた。
準備万端。僕はブーツを履き、恐る恐る玄関から通路に顔を出すと…?
『あら?…んまぁ!!』
『!!!!』
アパートの大家のおばちゃんと目が合ってしまった…!!
『?』
『?』
置いたのは秋良さんだ。
『おーし…お前ら。俺からの祝い酒だ。今夜は遠慮なく飲みまくれー!ほら!』
秋良さんが『俺の奢りだから心配すんな』って言ってくれるのは嬉しいんだけど、それ以前に…。
『秋良くん…私たちまだ未成年なんだけど…』
『んな固いこと言うなって。お前ら19だろ?』
僕と詩織は互いの顔を見て確認した。
『20と19なんて、そんなもん大して変わんねーよ。だから俺が飲酒を許可する』
『…なにそれ』
秋良さんからの祝い酒…。
僕は秋良さんと詩織のやり取りを横目に、意を決して両手でグラスを持ち、唇を湿らすように、ほんの少しだけ味わってみた………あ!これチョコレートみたいな味がする…甘い。思ったより飲みやすいかも…!
『ちょっと…金魚!』
僕は意を決してそのココア色のカクテルを一気に半分飲んだ。
(※飲酒は20歳になるまで本当はダメです。未成年者はそれまで我慢しようね。)
『おぉ!さすがだなぁ信吾!』
『秋良くん!金魚が酔い潰れちゃったらどーするの!!』
…なんだか、急に…頭が凄く重く……なにこれ…?
『大丈夫だよ。ちゃんと俺が家まで送ってやるから』
『…いくら女装とはいえ…秋良くんがこんなに可愛い金魚を家まで送るってこと自体が、危険だってのに…』
『あ??詩織、何って?何か言ったか?』
『いーえ。何も言ってませーん』
…なんか…詩織と…秋良さんが………言い合いしてる…?
『ばか野郎!詩織!本当は聞こえてたぞ!金魚がいくら可愛いってもなぁ、そこまで見境な……』
『えっ?ちょっ待っ…金魚…金魚!…きん…』
『…………。』
…ふと目が覚めると…あれ?見慣れた天井が見える…。
あ…ここ、間違いなく僕の部屋だ。
まずベッドの上で上体を起こした。そして部屋の壁掛け時計を見る…もうすぐお昼近くの11時か。
どうやら…僕はあのお酒の一口で酔っ払ってしまったらしい。それで誰かがアパートまで送ってくれたみたい。
アンナさんかな?それとも…秋良さん?記憶が何もない…。
『…あっ!!』
ベッドから立ち上がったとき…僕はそれに気付いた。
僕は女装のワンピース姿のまま寝てた…。振り返ると枕の上にロングヘアーのウィッグ。そして、枕元に僕の学生証。
うわぁぁ…ヤバい!
アンナさんの美容院に、僕の衣服も伊達眼鏡も置いてきたままだ!これじゃ明日、大学に着ていく《まともな服》も無いぞこりゃ…。
気が動転して、一旦は慌ててバタバタと洗面所へ向かうけど…そういや、顔も洗えない…。
今の状況では、もうこの女装姿のままで衣服を取りに行くしかない。顔なんて洗ったら…メイク…どうする…。
僕はもう一度ベッドに行き、ウィッグをバッと手に取って洗面所へとまた戻った。
洗面台の鑑を覗く…良かった。メイクは崩れてない。そのままだ。
僕は無造作にウィッグを被り、下手なりにもなんとかウィッグを整える。
…よし。取りに行こう。
いや待て。この格好でも歯磨きぐらいはできる。
僕は気合を込めて、歯ブラシと歯磨き粉を手に持ち、鏡に映る金魚に向かってウンと頷いた。
準備万端。僕はブーツを履き、恐る恐る玄関から通路に顔を出すと…?
『あら?…んまぁ!!』
『!!!!』
アパートの大家のおばちゃんと目が合ってしまった…!!
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