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女装と復讐 -発起編-
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アンナさんは詩織と、何かを確かめ合ったかのように小さく笑い合うと、2人は今度は僕を見た。
『詩織の言うように、彼には性別を問わず、人の心を惹き付ける…特に視覚に訴え掛けてくる不思議な魅力があるわ。それを単純に言葉にするのなら《普通の女の子の誰よりも女の子らしく可愛い》って感じかしら…』
アンナさんのその一言一言に、みんなも小さく頷いている。
『だから詩織ちゃん、今日一日金魚を見てて、何度も何度も感情を揺さぶられてたっていう素直な告白も、全然恥ずかしいことじゃないよ』
続いて詩織にそう優しく言葉を掛けた啓介さん。詩織は秋良さんにはいつも冗談ぽく返すのに、対して啓介さんには凄く素直だ…ってのも何となく理解できる。
『それと俺だってそうなんだ。初めて信吾の女装した姿を見たとき、俺は一瞬で納得したんだ。だから信吾になら作った衣装を無料投資したっていいだけの価値が間違いなくある…って』
そして、啓介さんも自身の心の内を告白した。
『…俺は、金魚の《仲間》である以上に、金魚の《ファン》なんだ。それを自分自身が認めても、全く何も恥ずかしいなんて思わない』
淡々と、はっきりとそう断言した啓介さん。やっぱり…いつ見ても啓介さんってカッコいいな。
『おいおい…待てよ啓介。まるでお前だけがファンみたいじゃねーか』
…えっ?
僕は秋良さんのほうも見た。
『俺もだよ。金魚のファンの1人』
…えーっ!?
大基さんまで!?…自身を金魚のファンだとか言うし…。
僕は一人一人の顔を確かめるように見た。みんな僕に特別な笑顔を見せてくれている。そんなみんなの優しさが、僕は凄く嬉しかった。
『ちょっとちょっと!あなたたち!なによ勝手に盛り上がって。私のこと忘れてない?』
ここで突然、菊江のおっさんが一言。
『そういう凄いお兄ちゃんを見つけてきたのが、私だってことを忘れないでちょうだい!私だって凄いでしょが!』
その菊江のおっさんの発言に一同が大笑い…場が和んだ。
秋良さんも『うははー。そのとおりだわ』と楽しそう。
僕は、そんなみんなの姿を眺めてて突然…目に涙が溢れてきた。
『おい!どうした!?信吾…なんで泣いてんだよ』
『…菊江さん』
僕は涙を手で拭い、鼻をすすりながら菊江のおっさんのほうを見た。
『…菊江さん…ごめんなさい…』
『なになに!?どうしたの?お兄ちゃん』
僕の声は泣きはじめたせいで、小さくかすれていた…。
『…今まで…会う機会がなくて…ずっとずっと…感謝のお礼が言えませんでした…』
『詩織の言うように、彼には性別を問わず、人の心を惹き付ける…特に視覚に訴え掛けてくる不思議な魅力があるわ。それを単純に言葉にするのなら《普通の女の子の誰よりも女の子らしく可愛い》って感じかしら…』
アンナさんのその一言一言に、みんなも小さく頷いている。
『だから詩織ちゃん、今日一日金魚を見てて、何度も何度も感情を揺さぶられてたっていう素直な告白も、全然恥ずかしいことじゃないよ』
続いて詩織にそう優しく言葉を掛けた啓介さん。詩織は秋良さんにはいつも冗談ぽく返すのに、対して啓介さんには凄く素直だ…ってのも何となく理解できる。
『それと俺だってそうなんだ。初めて信吾の女装した姿を見たとき、俺は一瞬で納得したんだ。だから信吾になら作った衣装を無料投資したっていいだけの価値が間違いなくある…って』
そして、啓介さんも自身の心の内を告白した。
『…俺は、金魚の《仲間》である以上に、金魚の《ファン》なんだ。それを自分自身が認めても、全く何も恥ずかしいなんて思わない』
淡々と、はっきりとそう断言した啓介さん。やっぱり…いつ見ても啓介さんってカッコいいな。
『おいおい…待てよ啓介。まるでお前だけがファンみたいじゃねーか』
…えっ?
僕は秋良さんのほうも見た。
『俺もだよ。金魚のファンの1人』
…えーっ!?
大基さんまで!?…自身を金魚のファンだとか言うし…。
僕は一人一人の顔を確かめるように見た。みんな僕に特別な笑顔を見せてくれている。そんなみんなの優しさが、僕は凄く嬉しかった。
『ちょっとちょっと!あなたたち!なによ勝手に盛り上がって。私のこと忘れてない?』
ここで突然、菊江のおっさんが一言。
『そういう凄いお兄ちゃんを見つけてきたのが、私だってことを忘れないでちょうだい!私だって凄いでしょが!』
その菊江のおっさんの発言に一同が大笑い…場が和んだ。
秋良さんも『うははー。そのとおりだわ』と楽しそう。
僕は、そんなみんなの姿を眺めてて突然…目に涙が溢れてきた。
『おい!どうした!?信吾…なんで泣いてんだよ』
『…菊江さん』
僕は涙を手で拭い、鼻をすすりながら菊江のおっさんのほうを見た。
『…菊江さん…ごめんなさい…』
『なになに!?どうしたの?お兄ちゃん』
僕の声は泣きはじめたせいで、小さくかすれていた…。
『…今まで…会う機会がなくて…ずっとずっと…感謝のお礼が言えませんでした…』
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