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女装と復讐 -発起編-
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特別客室に入る前に聞こえた、あの詩織という女の子の言葉…。
『どうせ、あんなメダカが女装したって、大して可愛いわけないんだから!!』
…アンナさんの左手が扉をパタンと閉めた。
いつもと変わらず、メイクはあっという間に終了。アンナさんも慣れてきたのか、今夜は特別速かった気がする。
今夜でメイクも3度目。ずっとメイクの出来上がりを見てきて思ったことは…どうやら《必要以上に目を強調しない》のが、僕を可愛くメイクする重要ポイントみたい。
『…だって、あなたの目は可愛らしくて十分ぱっちりしてるから、それ以上強調したら《毳毳オバケメイク》になっちゃうもの。だから』
『あ、そう…なんですね』
メイクが済むと、今度は僕の頭に何本かのヘアピンを差し、黒いネットを被せた。
『…アンナさん…?』
『今からウィッグ…つまり《かつら》を頭に被せるの。だから髪の毛でウィッグが浮かないように、ね』
へぇ…。なるほど。
『さて…と。どれにしようかしら…』
床にペタンと座り、抱えて入った鞄の1つを開けて、洗濯物用ネットみたいなのに入ったウィッグを一つ一つ、アンナさんは手に取り確認しはじめた。
…どうやら僕に最適なウィッグを選んだらしく、それを僕の頭に被せて櫛でといて整えた。
『じゃ…最後に衣服ね。脱いで』
『えぇっ!?…いきなり!?』
アンナさんが、なんとも言えない表情を僕に見せる。
『なに?…恥ずかしいの?』
僕も男だ!…恥ずかしくなんて!!
何も逆らわず、さっさと靴を脱ぎ、服もジーパンも全部脱いだ。
…そして僕はトランクス一丁に。
『信吾くんって、見た目どおりやっぱり痩せてて細いのね。《華奢》と言ってもいいかも。んじゃあ…これ。穿けるんじゃない?』
もう1つの鞄からジーパンを取り出し、僕に見えるように両手でバッと広げて見せる。
『どう?穿けそう?』
『いやぁ…それ、めちゃくちゃ細そうですよ…』
…なんてことない。結構余裕で穿けてしまった…。
『あら。普通の女の子よりも脚が細いのね。ブーツカットのスリムジーンズを穿いた信吾くんの脚、凄く綺麗。素敵よ』
こんなに細い、カッコいいジーパンを穿いたのは人生で初めてだし、それを褒められたのも初めてだ。
アンナさんはスッと立ち上がり、その鞄の中に入っていたキラキラした白いベルトを、僕の穿くジーパンに通して巻いた。
『じゃ、最後に…このシルクのラベンダー色のシャツを、素肌の上に直接でいいから、さらっと着て…』
『…はい』
『どうせ、あんなメダカが女装したって、大して可愛いわけないんだから!!』
…アンナさんの左手が扉をパタンと閉めた。
いつもと変わらず、メイクはあっという間に終了。アンナさんも慣れてきたのか、今夜は特別速かった気がする。
今夜でメイクも3度目。ずっとメイクの出来上がりを見てきて思ったことは…どうやら《必要以上に目を強調しない》のが、僕を可愛くメイクする重要ポイントみたい。
『…だって、あなたの目は可愛らしくて十分ぱっちりしてるから、それ以上強調したら《毳毳オバケメイク》になっちゃうもの。だから』
『あ、そう…なんですね』
メイクが済むと、今度は僕の頭に何本かのヘアピンを差し、黒いネットを被せた。
『…アンナさん…?』
『今からウィッグ…つまり《かつら》を頭に被せるの。だから髪の毛でウィッグが浮かないように、ね』
へぇ…。なるほど。
『さて…と。どれにしようかしら…』
床にペタンと座り、抱えて入った鞄の1つを開けて、洗濯物用ネットみたいなのに入ったウィッグを一つ一つ、アンナさんは手に取り確認しはじめた。
…どうやら僕に最適なウィッグを選んだらしく、それを僕の頭に被せて櫛でといて整えた。
『じゃ…最後に衣服ね。脱いで』
『えぇっ!?…いきなり!?』
アンナさんが、なんとも言えない表情を僕に見せる。
『なに?…恥ずかしいの?』
僕も男だ!…恥ずかしくなんて!!
何も逆らわず、さっさと靴を脱ぎ、服もジーパンも全部脱いだ。
…そして僕はトランクス一丁に。
『信吾くんって、見た目どおりやっぱり痩せてて細いのね。《華奢》と言ってもいいかも。んじゃあ…これ。穿けるんじゃない?』
もう1つの鞄からジーパンを取り出し、僕に見えるように両手でバッと広げて見せる。
『どう?穿けそう?』
『いやぁ…それ、めちゃくちゃ細そうですよ…』
…なんてことない。結構余裕で穿けてしまった…。
『あら。普通の女の子よりも脚が細いのね。ブーツカットのスリムジーンズを穿いた信吾くんの脚、凄く綺麗。素敵よ』
こんなに細い、カッコいいジーパンを穿いたのは人生で初めてだし、それを褒められたのも初めてだ。
アンナさんはスッと立ち上がり、その鞄の中に入っていたキラキラした白いベルトを、僕の穿くジーパンに通して巻いた。
『じゃ、最後に…このシルクのラベンダー色のシャツを、素肌の上に直接でいいから、さらっと着て…』
『…はい』
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