異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔

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20話

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 堅かったりしょっぱかったり、いろいろだったけど。それでもやっぱりパンが食べられたことは嬉しかった。
 肉は狩りをすれば手に入る。野菜も種類は少ないが収穫可能。
 
「ただ野菜は……スーモの力で高速収穫が可能だけど、スーモの負担がなぁ」

 ふぅっと空を見上げてため息を吐く。
 あぁ、やっぱ空見ながらの風呂・・はいいなぁ。温泉じゃないけど、露天風呂気分が味わえる。

「スーモだけじゃないの。ツリーハウスも頑張ってくれてるの」
「あぁ、そうだな。ツリーハウスも頑張ってくれてるんだよな」
「そうなの。と、時々なら頑張れるの。毎日だとツリーハウスが死んじゃうから」
「え、死ぬって、つまり枯れるってこ……え?」

 夜空を見上げていた俺は、慌てて視線を横に向けた。
 スーモと目が合う。
 スーモが頬を染める。

「なんでここにいる?」
「カケルに呼ばれたからなの」
「いや、呼んでない。独り言の話題に上っただけだから」
「あうぅ」

 もじもじしながら、だけど立ち去ろうとしないスーモ。

「カケル、あのね。ツリーハウスはもっともっと大きく育つの。だ、だけどカケルが今の形を望んだから、ツリーハウスはこれ以上大きく育たないの」
「え、もし途中で俺が大きくなって欲しいって望んだら?」
「その時は大きくなるのっ」

 それを聞いて少し安心した。
 確かにこのツリーハウスは、他のものよりかなり小さい。高さは半分以下だし、幹の太さも三割減ぐらいか。

「ツリーハウスが、大きく育たない代わりに、元気を土に分けてあげられるの」
「だから作物が早く育つのか?」
「そうなの。この前はスーモも力を上げたからすぐだったけど、本当はもっと時間かかるの」
「だいたいどのくらいで育つ?」
「んー……カケルが持って来た不思議な野菜なら、太陽が二十回出るぐらいなの」

 俺が持って来た不思議な野菜?
 俺に言わせればこの世界の小麦の方が不思議だけど──いや待てよ。

「スーモはこの世界の野菜も知っているのか?」

 浴槽にピッタリ体をくっつけ、スーモから中身を見られないよう対策をしてっと。

「知ってるの」
「……出せたりするのか?」
「この森にあるものなら出せるの」

 つまり、野菜の栽培のために苗を探しに行く手間が省ける?
 まぁそれでも手に入らない野菜の苗もあるだろうし、やっぱり他の種族──特にヒューマンの町にはいかなきゃだめだよなぁ。
 が、まずはドワーフだな。





 十分な数のクリスタルが集まって、俺たちはドワーフの里へとやってきた。
 ドワーフの里まで七日かけてたどり着くと、さっそくこちらの──エルフ側の事情を説明した。

「はぁー。エルフが自給自足に目覚めたのか」
「こりゃあ天変地異かぁ?」
「槍でも降ってこなきゃいいがなぁ」

 さんざんな言われようだな。
 
「で、これと同じ物を作れってことか。どうやって使うものなんだ?」

 ひとりのドワーフがホットサンドメーカーに興味を示す。
 口で説明するより実演するほうがいいだろうな。

「ここに取り出したのは、なんのへんてつもないパンです!」

 リュックの中では時間の経過はない。それを利用してエルフの里からドワーフの里までのパンを、あらかじめ焼いて持って来ていた。これを使う。
 野鳥の肉を薄切りにして、焼肉のタレで焼いたものをパンに乗せる。
 エルフの里産チーズも一緒に挟んで──焼く!

「お、この窯借りますね?」
「それ、鉄を焼くためのもんなんだが……まぁいいか」

 両面を焼いてっと。最近じゃあ焼き目を確認しなくても、だいたいの感覚で分かるようになってきた。

「こう使うんだ」

 焼き上がったところでパカっと開いてホットサンドをお披露目。

「おおぉ」
「焼いたパンをまた焼くのか!?」
「しかし、これがいい匂いじゃ」

 出来上がったホットサンドもご馳走。

「んーっ!」
「な、なんちゅー香ばしさっ」
「このパリっとした食感、いいの、いいのぉ」
「なるほど。両面で挟み込むことで熱を逃がさず、故に短時間で香ばしく焼けるのか」
「ほぉほぉ。このフックで上下が開かぬようするのだな」

 わらわらとドワーフが集まって来て、たった一つのホットサンドメーカーの作りを調べ始める。

「ホットサンドメーカーはこれだけある。一つぐらいなら分解して調べて貰ってもいいよ」
「お、そうか。なら──」

 うん。あっという間に分解された。
 で、また組み立て始める。

「ちょっと借りてもいいかの?」
「金型を作るのに、一つ譲ってほしいんじゃがどうだ?」
「あぁ、いいですよ。あと実は──」

 ホットサンドメーカーを人間の間で流行らせられたら、良い稼ぎになると思うんだけどな。
 その話にもドワーフたちは食いついた。

「パンだけじゃなく、純粋に肉や野菜を焼くのにも使えるんだ」
「ふむふむ。コンパクトじゃし、確かに便利だの」
「冒険者が重宝するじゃろう」
「いや、この食感の良さは金持ちどもも唸らせられるだろ」

 ここで交渉だ。

「エルフの里に、竈を作って欲しいんだ。それに鍋や包丁も。まぁ要は料理を作るのに必要な物全部だな」
「このほっとさんどめーかーとやらの製造技術を、我らに教える代わりにか」
「エルフの里の長老は、特に金が要るという訳ではないらしいんでね」
「そりゃあそうだろう。エルフとはそういう種族だ。よし、いいだろう。何人かをエルフの里に行かせよう」
「ただし一月ばかし待ってくれ。実は今、立て込んでてな」

 ドワーフたちの都合のいい時期でいいと返事をする。
 ホットサンドメーカーが流行するようなら、その後のメンテナンスなんかもタダで引き受けてやると約束してくれた。
 もちろん口約束だが、そこはドワーフをいう種族を信用しているから問題ないとネフィが言った。

 さて、次は人間の町へレッツ・ゴーだ!
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