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78.奇跡が合わせた仲間と敵

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「どうして、はーちゃんが?! 」
 えっ、安菜にもわからないの?
「再起動してない!
 ああっ。転がったときに手がついたけど、でもそれだけで複雑なパスワード入力できるわけないし」
 そしたら、はーちゃんが勝手に?
「起動したばかりなので、その点はわかりかねます。
 もしかしたら、MCO自身の意思なのかもしれません」
 ・・・・・・それはあるかも。
 MCOは、Mechanical Civilization Oath(メカニカル・シビリゼイション・オウス)。
 "物質文明から生まれた誓い"
 誓いって言うからには、そんなこともできるかもしれない。

 ドン! と、明らかに危険な音がした。
「そんなことより! 敵が! 」
 そうだよ!
 黒い炎が襲ってくる!
 しかも、これまでより大きい!
 回転する燃えさかる線となって打ち上がる!
「チャフ散布!」
 安菜がまた、オレンジの光たちと煙で私たちを包んだ。
 それに紛れるひまはない!
 急いで逃げた。
 燃える線が、チャフを切り裂いて飛びさる。

 それだけで、機体がドン! と押し退けられた!
 音速を越える速さから生まれた空気のハンマー、衝撃波?
 あまりの熱で気流が乱された?
 とにかく、振り向いたら見えたの。
 円形に押し退けられた雨とチャフが。
 あれか!
 黒い巨人が、こん棒にしたもの。
 それは、私からうばった火器コンテナだった。
 つかんだ手から、炎がコンテナ全体に広がっていく。
 待てよ、あのコンテナの向き・・・・・・。
「はーちゃん、私の120ミリ砲がまっすぐあいつを向いたら、教えて」
「承知しました」
 こん棒エンジェルスは、コンテナを勢いつけて、後ろに大きくふった。
 一瞬あとには、ふり戻されたコンテナから魔法日が振り抜かれてこっちに来る!
「今です!」
「信じた!」  
 私はそう言って、トリガーを引く!
 コンテナから2つの砲火が飛んだ。
 今度は、レーザーもつける!
 レーザーは高温の光の槍。
 雨が最悪のジャマ者になる。
 雨を蒸発させると湯気になる。
 その湯気がレーザーをバラバラにしてしまうから。
 今まで使う気がなかったけど、あの距離なら!

 こん棒エンジェルスの半身が、炎に包まれた。
 コンテナが落ちる。
 恐ろしい悲鳴が、辺りをゆらした。
「スゴいや。
 こんなこともあろうかと、ってやつ?」
 安菜がかいかぶってきた。
「ただのWi-Fi」
 電波で作る予備の回線だよ。
 敵巨人が痛々しくよろめいた。
 それでも、丸窓のような目で私たちを見据える。
 黒い炎と一体化した牙を開いて、吠える。
 でも、なんでだろう?
 敵の動きを見て、というより、やっと今気づいた、って感じがする。
 
「もう一回キックする?」 
「いいえ、その前にすることがある!
 メガ・エニシング・キュア・キャプチャーを使う」
「OK!」
 後ろの席で、ポケットからペンダントをとりだす音がする。
 昴先輩からもらった、魔法炎。
 安菜の前にあるモニター裏には、隠された専用コンセントがある。
 そこにペンダントを入れる。
 本当は、異能力者をのせた時に、能力をいれてもらう装置なんだ。
 ウイークエンダーたちは、鉄のかたまりにペンキを塗った、ただのロボットじゃない!
 長官からもらった、生体部品の結晶なんだから!
 胸の動力源、無限炉心からのエネルギーがわき上がる。
 そのエネルギーは、私の意思にしたがって、物理法則を書きかえてくれる。
 重量を変えるとか、素材の強度を高めるとか。
 今日は、そんなケチなものじゃない!
 わき上がったエネルギーは、コックピットで魔法炎と混じり会う。
 そして、頭部に導かれる。
 ひたいにつけられた、砲口。
 ブロッサムの胸ほどの大きさじゃないけど、作りは同じもの。
 そこに、黒い光が宿る。
 
 この光景を見ても、敵巨人はひるまなかった。
 足を踏みしめ、腕に力をこめて、胸を張った。
 真正面から受けるつもりだ。

 そんな勝負に乗るつもりはなかった。
 私たちがするのは。
「音声コード入力!」
 声をそろえて。
「「メガ・エニシング・キュア・キャプチャー!! 」」
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