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15.初めてのデモ
しおりを挟むドン!
びっくりした!
後ろから、いきなり叩かれる音!
「うさぎ。なんだアレ」
安菜は、こんな時でもゴウタンだね。
私の後ろを指さしてる。
アレ、景色そのものが暗い?
私が向いているのは入り口側で、壁とステージがあるの。
後ろには海が見える全面の窓がある。
ベランダがあって、道があって、その向こうには漁港が見える。
でも、海は見えなかった。
「あら、何かしら」
「ドッキリ?」
「フラッシュモブっていうやつだ」
お客さんも口々に騒ぎだす。
窓の外は、一面の人だかりになっていた!
みんな、ハンターキラーだ!
しかもその視線は、私たちを。
いえ多分、シロドロンド騎士団を見てる。
「きっと、このLINEの件だよ」
朱墨ちゃんにもメッセージ来たんだ。
「私のロボルケーナが仕様書どうりに作られなかったことに対する、抗議デモをする。だって」
とまどいながらも、誇らしげでもある声だ。
窓の向こうから突き刺さる、怒りに燃える無数の視線。
その中で、好奇心から笑っているお姉さんがいる。
手にしたタブレットのカメラを向けてる。
「ああ、宇潮 心晴さん」
朱墨ちゃんが歓迎する様子でいった。
「ウチのアナライズ担当です」
その活発そうな女性が、後ろに向かって手まねきをはじめた。
呼ばれたのは、お兄さんで、ホクシン・フォクシスで。
「コラー!」
いきなりドナってきた!
その手には、書きたての{装備は仕様書どうりに! 作れ!}
ねえ、彼もたしか……。
「茂 しゅうじさん、ウチの新入りです」
その時、騎士団の息を飲むのが聞こえた。
心配になるよ。
でもアレ?
なんだか、とまどいより、怒りが先にでてるみたい。
相手とどうやってなだめようか、より、追っ払いたいのにそれができない。
そのことに怒っているような……。
「ええっと……」
どうして良いのかわからない。
自分が反対デモにあうことはたくさんあった。
味方がしているデモにあったことなんかない。
そもそもハンターキラーが、これだけ集まるなんて、めったにないもん。
「さがしたよ」
入り口から声がした。
それは、見事な太さのドラ声だった。
安心をくれる声。
赤いモフモフ神を信じる獣、ボルケーナ先輩だ。
眠け覚ましかな。
先輩のワニそっくりの顔には、おでこから鼻の先まで冷却シートが貼られている。
ああ、それで顔だけ毛がないんだ。
「シロドロンド騎士団のみなさん。お話があります」
話すたびに、フランスパンぐらいの硬さでプワンプワンとゆれるはずの口が、今はエクレア並みになって垂れ下がってるよ。
「イチゴ味エクレア……」
ああっ。自然と口から出てしまう。
自分の食い意地が嫌になる……。
「それとも、もう君たちが話したかな?」
MCOパートナーにはあった装備が必要だ、と言うことなら、朱墨ちゃんが……。
1話で言い忘れたけど、先輩には大きなネコ耳があるの。
その耳が垂れさがっている。フキゲンのしるしだよ。
「そうかー。じゃあ、これからについて話したいから」
ごぼごぼ
……アレ?
まるで溺れるような泡だつ音が、先輩の声に交じってる?
「私たちのブースへきてください」
ゴボゴボ
これって、さっきも見た。
会議での舞台の上で。
もしかして、先輩の体が維持できなくなってるってこと!?
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
私は恐ろしい想像をした。
先輩は全身が赤い毛でおおわれて、白い羽が生えてる。
それらが、溶けてる。
まるで、あげる前の天ぷらみたい。
そうだ、もともと先輩は液体なんだ。
自分でこうなるところを何度も見てきた。
でも、これから大事な話をするのに、こんなオフザケをしたっけ……?
ベチャ
顔が床に落ちた。
「アレ?」
先輩のその言葉と、見上げる緑色の目には、強いとまどいがあって……。
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
「ボルケーナ先輩。あなたが行くのはブースじゃありません。ベットです!」
私は一声叫ぶと、おじさまの手を引いた。
怒りとともに!
「あなたたちも来なさい!
今すぐ!」
3人の連れにも声をかけた。
レストランを飛びだす。
この人たちには、見てもらわなければならないことがあるんだ。
絶対に!!
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