14 / 102
14.シロドロンド騎士団が、ナンパ!?
しおりを挟む
店に現れたのは、銀糸のゴージャスな刺繍をした黒の燕尾服の一団だった。
朱墨ちゃんに説教されていた人たちだ。
「しどろもどろ騎士団?」
安菜! 言い方!
私は「シロドロンド騎士団……」と、ささやき声で伝えた。
それにしてもあの騎士団、さっきよりも表情が曇って見えるよ。
何をしにきたかは知らないけど、ああいう表情を見ると、いつもこっちまで暗くなる。
ハンターキラーになると、ああいう思いつめた表情をよく向けられるんだもの。
「やあ。ファントム・ショットゲーマー」
朱墨ちゃんをヒーロー名で呼んだ。
ん?
着ている服が、さっきより黒く見える。
あれは、ぬれてる?
汗だろうけど、きっとテントからここまで歩いただけじゃない。
朱墨ちゃんにとっても気の毒だね。きっと恐怖からでる汗だよ。
「このお代を払ってもいいかな? 」
なんとか表情は、笑顔だとわかる。
引きつってる顔で、私たちのテーブルを指差した。
一方の朱墨ちゃんは、私を見てる。
ダイジョウブ。
さっき私が言ったことを覚えてるはずだね。
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
「世界が代われば、ルールも違う。
それがほんのわずかな雰囲気の違いでも、相手の世界では「話を聞く価値なし」とされちゃうかもしれないよ」
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
表情は今にも、あのドスの効いたキンキン声で怒鳴りそうだけど。
「では、お願いします。できれば、この2人の分も」
覚えていてくれた!
「ハイ。じゃあ、何かおごるよ。
一番高いやつでもいいよ」
アレ?
シロドロンド騎士団は、下手なナンパをしている?
あちらの世界のやり方じゃムリだと思って、方法を変えてきた?
りりしい目、細身で引き締まった体。
普段なら綺麗でかっこいい、と好かれていそうな、おじさまが!?
その手がテーブルの上にあるメニューに伸びた。
バッ!
ひえ~。先に朱墨ちゃんがそのメニューをひったくった!
勝手に決められたくないって怨みが、オーラとなって全身からにじみ出てるよ。
その直後、朱墨ちゃんの顔が青ざめた。
凍りついたように、私を見る。
わ、私にもわかんないよ!
大丈夫。私は信じてる!
「そ、そこまでは、いりません」
朱墨ちゃんは、ようやくやっと、という雰囲気でメニューを戻したの。
おじさまは、手をテーブルに伸ばした姿のまま、固まっていた。
(……どうしよう)
ムダかもしれないけど、すがる思いでおじさまの部下たちを見た。
一緒に朱墨ちゃんに怒鳴られた2人だよ。
20から30代の男女で……それだけ。
おじさまと同じ服、同じ表情で、なす術もなく直立不動。
……アレ?
2人の後ろに、もう1人いる。
背はだいぶ小さくて、朱墨ちゃんと同じくらい。
10歳かな。
男の子らしい。
そしてこの子も、本当に暗い表情。
その時、スマホによばれたの。
LINEのメッセージ。
ハンターキラー仲間から送られてきた。
でもその内容は……え、こんなこと起こるの?
朱墨ちゃんに説教されていた人たちだ。
「しどろもどろ騎士団?」
安菜! 言い方!
私は「シロドロンド騎士団……」と、ささやき声で伝えた。
それにしてもあの騎士団、さっきよりも表情が曇って見えるよ。
何をしにきたかは知らないけど、ああいう表情を見ると、いつもこっちまで暗くなる。
ハンターキラーになると、ああいう思いつめた表情をよく向けられるんだもの。
「やあ。ファントム・ショットゲーマー」
朱墨ちゃんをヒーロー名で呼んだ。
ん?
着ている服が、さっきより黒く見える。
あれは、ぬれてる?
汗だろうけど、きっとテントからここまで歩いただけじゃない。
朱墨ちゃんにとっても気の毒だね。きっと恐怖からでる汗だよ。
「このお代を払ってもいいかな? 」
なんとか表情は、笑顔だとわかる。
引きつってる顔で、私たちのテーブルを指差した。
一方の朱墨ちゃんは、私を見てる。
ダイジョウブ。
さっき私が言ったことを覚えてるはずだね。
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
「世界が代われば、ルールも違う。
それがほんのわずかな雰囲気の違いでも、相手の世界では「話を聞く価値なし」とされちゃうかもしれないよ」
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
表情は今にも、あのドスの効いたキンキン声で怒鳴りそうだけど。
「では、お願いします。できれば、この2人の分も」
覚えていてくれた!
「ハイ。じゃあ、何かおごるよ。
一番高いやつでもいいよ」
アレ?
シロドロンド騎士団は、下手なナンパをしている?
あちらの世界のやり方じゃムリだと思って、方法を変えてきた?
りりしい目、細身で引き締まった体。
普段なら綺麗でかっこいい、と好かれていそうな、おじさまが!?
その手がテーブルの上にあるメニューに伸びた。
バッ!
ひえ~。先に朱墨ちゃんがそのメニューをひったくった!
勝手に決められたくないって怨みが、オーラとなって全身からにじみ出てるよ。
その直後、朱墨ちゃんの顔が青ざめた。
凍りついたように、私を見る。
わ、私にもわかんないよ!
大丈夫。私は信じてる!
「そ、そこまでは、いりません」
朱墨ちゃんは、ようやくやっと、という雰囲気でメニューを戻したの。
おじさまは、手をテーブルに伸ばした姿のまま、固まっていた。
(……どうしよう)
ムダかもしれないけど、すがる思いでおじさまの部下たちを見た。
一緒に朱墨ちゃんに怒鳴られた2人だよ。
20から30代の男女で……それだけ。
おじさまと同じ服、同じ表情で、なす術もなく直立不動。
……アレ?
2人の後ろに、もう1人いる。
背はだいぶ小さくて、朱墨ちゃんと同じくらい。
10歳かな。
男の子らしい。
そしてこの子も、本当に暗い表情。
その時、スマホによばれたの。
LINEのメッセージ。
ハンターキラー仲間から送られてきた。
でもその内容は……え、こんなこと起こるの?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる