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俺は冒険者として生きている
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しおりを挟む「あぁもうそんな……はぁ…。」
『コハクの背中どう~?気持ちいい~?』
「大変乗り心地は良いです…いやそうじゃなくて…。」
目の前で起きる暴走に大きなため息を零す俺である。ユニコーンの姿になったコハクにひょいと乗せられてからの動きは早かった。
我先にとハクアが駆け出し、続くようにコクヨウがズンズンと魔獣の群れに飛び込んで行った。止める余裕なんてなかった…俺が手を伸ばして止めようとする前にハクアの風魔法が炸裂して巨大な竜巻を生んだ。
竜巻から逃れた魔獣をコクヨウの土魔法で串刺しにされ呆気なく狼型の魔獣の群れは殲滅されていた。ほんの一瞬のことだ。
ハクアは同じ狼型の魔獣に対して心痛まないのか?なんて思ったが、種族が違うし神の眷属と魔獣を同等に扱ってはいけないよな、なんて思い考えるのをやめた。
「どうだ、我は凄いであろう。こんなもの、ひと捻りで終わってしまうなぁ。」
「この程度の魔獣、手を出すまでもなく指一つで終わってしまったな。まだ残党はいるが、残りは他がやるだろ。さっ、帰るぞアル。」
「駄目だってば!まだダンジョンから魔獣出てくるから!明日の朝まではここにいるんだからな!大人しくしてろよ!」
『ダンジョンか~、魔力水晶の変異種が作った亜空間だよね~。面白そうだから~、コハク見に行っちゃおうかな~。』
「コハクは俺と一緒にいなさい!駄目よ俺から離れたら!」
『あはっ!なに~?コハクと離れちゃうの寂し~の?可愛いねアル様!』
「違う!そうじゃない!」
話が通じないなぁ!!あっちこっち行くなって伝えたいだけなのに上機嫌で嘶くコハク。既に他の冒険者達に見られてしまっているから、出来ればこれ以上目立つのは避けたいだけなのに!
まだ暴れ足りないのかハクアは人型の時は隠しているはずの獣の耳をピンッと立てて辺りを見回しているし、状況を理解していないのかコクヨウに至っては早く帰して俺を寝かしつけようとしてくる。だから赤ちゃんじゃないんだってば!
あっちこっちでやりたい放題をしようとしてくるこいつらを止める術など持ち合わせているわけもなく……そもそも俺なんかが敵う相手じゃないのよ…。さて、奴らをさてどうしたものか…。
「むぅ、仕方がないな。夜は俺が見張りをしてやるからアルは寝るとよい。寝食をしっかりせねば大きく育たぬぞ?」
「いやもう人間としては十二分に大きくそだったのよ俺…。それに、俺だって久しぶりだから体動かしたい。」
「ワハハハ!ではアルディウスはコクヨウに任せ、我とコハクでダンジョンとやらを見てやろうではないか。」
『あっ、いいね~、それ~!こんだけ魔獣が湧いてくるってことはそこそこ大きいだろうし~。暇つぶしには丁度いいかも~。』
「お前らはさっきから人の話を聞かないなぁ!目立つなって言ってるでしょうが!」
「問題ない、問題ないとも。ひっそりと行ってくるからの。土産に期待するとよいぞ。」
『ハクア様早く行こ~!』
「こら、待て!お願いだから待って!待ってってば!ねぇーーーっ!!」
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