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踏み躙られてこそ花は香る
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しおりを挟むちょっと待てや。
1学期の終業式終わって、直後飛行機乗ってきたって、アンタもう、半月はお世話になってるって事じゃね?
「すみません。我が姪ながら図々しく」
「いやあねぇ。図々しいのはウチの駆郎よ。いきなり連れて来て、希更ちゃんにもほとんど説明してないし、なのに、希更ちゃん連れ回してるし」
駆郎君?
希更の事、大好き過ぎないかな?
「流石にねぇ。遠出に複数とか、移動が多い仕事は可哀想だから、止めてはいるんだけど、近場での打ち合わせとかだと、あの子、普通に連れて行っちゃうのよ。希更ちゃんにも断りなさいって言ってるのに、駆郎に言われると断れないみたいで」
「私、嫌じゃないよ? 駆郎君がお仕事してる時に宿題してると、周りの人達一杯褒めてくれて、お菓子とか飲み物くれるの。駆郎君の真剣にお話してるのも、カッコいいし」
希更もまあ、駆郎君大好きだからね。
ある意味此奴らは、問答無用でイチャイチャカップルなので、突っ込みたくない。
「家にいる時だって、ギター弾いてる駆郎にくっついてるだけで、全然楽しくないでしょ?」
ここでも、なの?
お家だよね?
えっと、もう、嫁入り案件に迄話が進んでいたら、私、笑うしかないんだけど?
「駆郎君の指、本当に器用で綺麗なの。ギター引いてる時の駆郎君大好き。一番カッコイイ。でも、パソコンで何かしてたり、キーボードで音出して唸ってる駆郎君も。可愛い」
まあ、お母様に似て、駆郎君顔立ちは可愛い方だよね。
希更絡まないと、無表情だけど。
いや、清牙達絡むと不機嫌になるので、仲間内絡まないと、基本無表情の塩対応に、なるのか。
「顰め面の無表情な音楽馬鹿といて、何が楽しいのか、オバサンには、ちょっと分からないわ」
「そうかな? 凄くない? 駆郎君がちょっと触っただけで、音が、音楽になるの。カッコ良かったり可愛かったり、キラキラしてたり、色んな音が混ざって、楽器があって、音楽になっていくのって、本当に凄いよ。駆郎君カッコイイ!」
「そう、なの、かしらね」
本当にな。
まあ、一から、何もない所から形作るって、本当に凄い事だとは思う。
けど、その過程をカッコいいって言うのはまあ、関係者でも極一部にしか、見られない状況な訳で。
ピアニカぷーすかやりながら歩き回ってる奴よりは、ギターとかパソコン弄りながらの駆郎君の方が、音楽家っぽくてカッコイイのは、間違いなさそうだけど。
駆郎君、お酒入ると泣くからね?
良く分からん事で、暗黒面降臨するからね?
「つまり、1人仕事の時は、希更を連れ回し、それ以外ではお母様に預けて、希更を独占して舞い上がってるんですね」
「そうなのよね。でも、今のところ、間違いはないから」
その心配は、お母様にもあった模様。
最初の頃は笑い半分に、舞人君も言っていた。
ロリだなんだで、間違い起こったら大変だから、駆郎君隔離しろだのなんだの。
だけど、最近では誰も心配していないの上に、出来上がったイチャイチャ感が強いこのカップルの在り様は、謎でありスルーである。
分かっているのは、希更は清牙とも仲良しなので、駆郎君が独り占めする為には、清牙にもその存在を知られない様に隔離して独占するのが、一番なのだ。
清牙がいるとなんだかんだと、希更は過剰反応して、強気横柄傲慢な、唯我独尊猪清牙に取られる傾向にある。
2人が仲良くしていても、基本、微笑ましい。
何よりも、希更が清牙や駆郎君とわちゃわちゃやっていると、二人の期限が大変宜しく、扱い易くなる。
だからこそ、周りは希更を好き勝手にさせている訳なのだが…。
まあ、それがあるから、駆郎君は誰にも内緒で希更を連れ出し、独占中。
普通、そこまでする?
駆郎君、それで良いのか、突っ込まれる案件である。
「希更、清牙と連絡とった?」
「ううん。セイちゃん、カエちゃんにも相手されてなくて機嫌悪いから、放っておいた方が良いって」
駆郎君、よっぽど、清牙に希更取られたくなかったんだね。
多分今現在、駆郎君こそが、不機嫌な清牙の相手に疲れて苛立って、その癒しを只管希更に求めているのだろう。
自分の癒しを更に、元凶に取られるのも全力で拒否している…と。
気持ちも、良く分かるんですが…。
「そう言えば、ミーがなんか、やっぱりカエちゃんに勝てないとか言って、この間泣いてたけど?」
えっと、なんで泣いてたんでしょうね?
誘拐騒ぎでは泣くより、大興奮で役にのめり込んでいたし、その後も問題はなさそうで。
壮太に聞いた感じでは、役と自分との切り替えが自分の意志で全く出来なくて、コロコロなってるのが面白いとか言って遊ばれてたのは、何となしに分かったんだけど…。
「私、ミーと勝負はしてないんだけどなぁ」
役の事なのか、壮太の事なのか、ちょっと分からない。
最近は撮影でくらいしか会わないし、役でしか、話さないしな。
役の前に、泣きそうになったり急にご機嫌になったりで、御園さんも筧さんも大変そうだけど、私に敵意みたいなのは…まあ、奪い殺し合う関係な訳だから、多少なりともあるんだろうけど、分からん。
直接的な対応が無いし。
「私にも、ちょっと分かんない。ただ、通話中に急に泣き出したり笑うのは怖いし、気持ち悪いって言っといたから」
相当、不安定なんですね。
「この間、一緒にご飯食べた時、壮太さんの手と声が好きって、言ってたよ」
えっと、壮太関連で舞い上がって、勝負してる気になってるのか?
いや、もしかして、ミーに迄すっぱ抜かれた話行ったとか?
「本当にねぇ。にぎやかなお嬢さんだったわね」
「ミー、いつもはもっと、大人しいよ? あの時、ちょっと変だったから」
「美人さんが頬染めて、好きな人の事喋ってるから、周りに沢山見られていたのよね」
「お店ではしゃぎ過ぎだと思うし、筧さんが回収したから多分大丈夫」
つまり、ごく最近、駆郎君のお母様も込みでお食事に?
どんだけ家族付き合い?
いや、半月もお世話になっていたら、馴染むよね。
「本当に、姪が2人でご迷惑をおかけしまして」
「あらやだ。楽しいから任せておいて。女の子は良いわよね。お喋りしてくれるもの。男の子なんて、ちっとも喋ってくれないし、お買い物だって付き合ってくれないし。着せ替えし甲斐がないのよ」
ミーは見た目、着せ替え人形にしたら楽しそうだけど、そこまでの自由時間はない筈で、恐らくは、希更の事なんだろう。
今日のふわふわワンピースなんかは絶対に、今までの希更なら着てない服だし。
希更も気を遣ってんのかねと見れば、なぜか、希更の頬がピンクに。
「だからぁ、似合わないし、ヤだって言ったのにぃ」
「いや、似合わないんじゃなく、珍しい格好だなと思って」
その手の服を着たミーは何度も見たけど、その手の御下がりを嫌がる希更も結構見てきたのでな。
「これねぇ、駆郎が押し付けてるのよ」
お前か?
お前なのか!?
等々、子供服…いや、サイズ的には大人服なんだけど、そこまでやっているのか?!
え?
自分で買って来てんの?
いや、流石に、メグさんに頼んで…?
もしかして、メグさん、グルだったりする?
「この間、すんごい短いスカート履かされた」
希更が着るんだから、S下手したらXSサイズ。
それを買い歩く、有名ミュージシャン。
無いわぁ。
駆郎君?
君、なにやってんの?
せめて、通販であることを祈ってる。
「買ってきたから、着ないと勿体無いって言われたけど、もう着ない」
何があった?
まあ、駆郎君と希更だけに、エロ事ではないんだろうけど。
「カエちゃん、駆郎君に、水着だけは嫌だって言って」
「私が言っても、買ってくるのは止められないし、駆郎君お金あるから、プール貸し切りぐらいはしちゃうんじゃね?」
希更が恥ずかしい嫌だと言っても、それを何とかしてしまえる財力が普通にあるのが怖い。
そこに男女間はなく、普通に家族的な…友愛的な何かが、暴走してるだけ、っぽく、見えるのがまた…。
「うううっ、ヤだって言ってるもん!!」
「そうね。これだけ希更ちゃんが嫌だって言ってるんだから、止めなさいとは言ってるんだけどね。あの子、私の言う事、聞いたことないし」
本人に嫌がられようと、親が諫めようと、やる時はやる。
だって駆郎君だし。
大人しそうに見えて、無意識に腹黒で、そして短気。
あの清牙と互角に渡り合っているくらいなので、頑固で、我が強く、行動力も無駄にある。
音楽、曲に関するこちなら、絶対のラインでは、駆郎君の方が強いらしいし。
結構な案件?
健吾君に報告まではなくても…。
「清牙に連絡…は、不味い」
今日の行動の意味が、一切、なくなる。
「ん? セイちゃんとまだ喧嘩してるの?」
「いや、喧嘩じゃないですよ」
連絡おざなりにして、直接会わないように画策しているだけで。
まあ、間違いなく、会えば、喧嘩と云うか、清牙の野生が荒ぶるんだろうなと思って、徹底的に避け捲くっているのだけど。
「希更ちゃん。ちょっとお願いしたい事があります」
「カエちゃん、ダメなことはダメです」
ですよねぇ。
ですが、悪い事をするんではありません。
「ちょっと、このまま私に誘拐されて、駆郎君おびき出す、餌になってくれねぇ?」
「普通に駆郎君呼び出しなよ」
ですよねぇ。
正しく正論。
希更は大真面目な良い子ちゃんなので、ダメな事をさせるのは、結構難しい。
分かってるから、私も真剣勝負である。
「実は、今、ミーも参加している、私のドラマ、『三部作』ね、SPHYの曲使わないの」
「カエちゃんもミーも出るのに? セイちゃんそれ知ってるの?」
驚きのまま即答の希更の言葉。
ですよねぇ。
周辺関係者だけが皆思う、突込みである。
関係者枠にギリギリである希更に迄、当然の様になされる突込み。
当然、今現在、戦々恐々?
私にも、全容、掴めてないからね。
「知らない。って言うか、まだ、自分に来るんだと思っているのか、そろそろ、おかしいなって気が付いてる感じ?」
「なんで言わないの? だから、セイちゃん機嫌悪いんでしょ? 駆郎君も舞人君も大変なんだよ! カエちゃんだって分かっているんだから、セイちゃん仲間外れにしたら。可哀想でしょ!!」
真っ当だ。
真っ当な意見の筈なのに、なんだろう?
この、3歳児の子供の気持ちを分かってあげなさい的に、叱られる、小学生になった気分は。
「清牙を仲間外れにしたいんじゃなくて、今回は、清牙を入れる訳にはいかない、大人の事情って奴がね」
「それならそう言って、セイちゃんに説明するのが、先でしょ」
その通り、なのかもしれないんだけどね…。
「清牙の理解が絶対に得られない話なんだよね」
「セイちゃんが嫌がることするの、ダメでしょ。セイちゃんまた、怒って暴れるよ? セイちゃん直ぐ暴力に走ったり、全力で人様に迷惑かける事に、何の疑問も持たずにやっちゃう、色々アレな所があるの、カエちゃんだって分かっているよね? セイちゃん優しいけど、優しいのはカエちゃんとか、私とかミーぐらいにだけ、でしょ。それ以外、仲間の駆郎君達の事も思ってはいるけど、優しいのとは違うし。本当に、それ以外の人、男だからとか訳の分からない理由で、投げやりだし。お仕事のお仲間でもないと、どうでもイイとか思っているぐらい、自分勝手でどうしようもないとこあるの、分かってるよね? それ、ジャイゴとか舞人君とか、周りの人が頑張ってフォローしてるけど、限界あるし。セイちゃん幾ら言っても、それ治そうとしないって言うか、もう、周りがそれでいいと思っちゃってる部分もあって、良くないのに、もう、どうしようもないって言うか。カエちゃんこそ、セイちゃん説得出来ないなら、セイちゃんの嫌がる事しちゃダメなんじゃない? セイちゃんが一番怒るの、カエちゃんの事だよ。そしてその仕返しが激しく来るのも、カエちゃんに、だよね?」
その通りです。
正しくその通り過ぎて、言い訳出来ないと云うか、お子様希更に、ここ迄断言される清牙の人間性って?
まあ、突っ込みどころ満載なんだけど、ですね。
「ぶっちゃけます。今回、清牙が大変嫌がっている肌色成分がかなり高く、ミーも私も、結構肌色です」
下着とか、ミーに至っては後ろ姿の上半身とか、ケツギリギリで有りますね。
私には全面どころか360度下着とか際どいとか、まだ、これから、出てきそう、なんですが。
「え? 裸?」
「下着、くらい迄かな」
今のところ。
「ちゅーもあります」
「ダメじゃん」
希更に迄断言された。
それも、物凄く嫌そうに即行で。
「話的にね、それはもう、仕方ないのよ?」
「セイちゃんは、知ってるの?」
「台本までは読んでないんで、はっきりとは? でも、それに近いのを薄々感じ取っては、いたんでないかと」
「それでカエちゃんが、直接会うの避け捲くっていたんなら、今、セイちゃん、それ以上だと、分かっているんじゃないの?」
「その通りです」
「あっ!」
そして娘さんは、何かに気が付いたらしい。
「この前の電話で、ミーが気持ち悪いって話でも、また、機嫌悪くなってるよね?」
なってますね。
それも、口説くどうのじゃなくて、役の為に仕掛けてる話大前提だから、手出されるのは許せんけど、明らかに弄んで嬲るのが更に許せん的に、壮太への悪意が高まっている。
そこに加えて、だ。
「私、すっぱ抜かれたんで、来週ネットニュースに、ちょろっと出ます」
「すぱ、抜かれる??」
希更の健全な頭にはない単語だった模様。
大丈夫。
私程度の役者だと、テレビでは、見向きもしないから。
当然自粛延長戦際の壮太も、そこまで大騒ぎはされない。
つーか、大騒ぎするよう内容でもないし。
「居酒屋でのベロちゅー写真がネットに出ます」
「カエちゃん!!!」
あ、やっぱ怒られた。
「な、なな……!!!」
真赤になっちゃって可愛い。
「言い訳させて貰うと、ちょっと、その日の撮影失敗しちゃった上でのダメ出しの戯れの行き過ぎであって、何ら深い意味はありません。が、ちゅーは間違いなくされました。胸も揉まれました。が、お付き合いなんぞは欠片もありません」
「ダメでしょ!!!!」
ですよねぇ。
お付き合いもないのに、そういう事をしているのが、世間一般的にアウトですよね。
そもそも、私だって、芝居で脱ぐ気はなかったんだけど、私の今回の演技がダメ過ぎたのよ。
肌色出さないと、まとまりつかなかったと云うか?
それでも、ちょろっと下着でちゅーするくらいで、それ以上ないし。
相手は壮太で勝手知ったると云うか、まあ、拒否感なくて、その後も拗れそうにはなかったので、まあいいかなぁと。
役が出来なさ過ぎて追い詰められた頭で、行くしかないで、行っちゃった訳で。
「その状況で、清牙に、歌うな、曲だけ作れと言って、お仕事してくれると思う?」
「ないよ! 絶対にないよ!! もぉぉぉっ、馬鹿なの!?」
そうですよね。
そうなりますよね。
「なんで、ちゅ…うわあああ!!」
純真無垢な娘さんには、身内の下着とちゅーは、刺激が強すぎた模様。
「因みにPG12なので、希更ちゃんでも、一応は見れる内容」
「なんかヤダ!!!」
ですよねぇ。
実の姉と叔母のそういうシーンを見たいとは、普通は思わない。
「その曲を、駆郎が作るの? あの子に出来るの?」
そこまでただただ見守ってくれていたお母様の突込み。
「他が思い当たらないと云うか、曲はエロくなくて良いんですよ」
SPHYの曲大概エロだから、そっちに繋げる気持ちは分かるけど。
SPHYのエロが薄いのは大概、駆郎君作曲である。
清牙が詩つけて歌うと、結局どエロくなるんだけど。
「歌うの、この間のチャレンジバトルに出てた、最下位だから」
「うん? あの、綺麗な声の人?」
希更が、涙目からちょっと浮上。
「私の友達で、SPHY曲縛りじゃなきゃ、もっとすげぇよ。あれだけハイトーンで上手いの、日本ではそういないと思うし」
「その人も、友達なの?」
「なんかねぇ、あの時は清牙がいきなり無茶振るから、近場で出すしかなかったんだよ」
いきなりでミーに、今、曲押し付けられそうな、鬼気迫る状況だった。
清牙は言い出したら聞かんし。
いや、駆郎君も舞人君も、あんまり人の話聞かないけどね。
健吾君だって。
「今、2歳? いや、3歳になるんだっけか? 息子を女手一人で育てつつ、歌も歌っている、生活も色々頑張ってるんだよ」
アレがそう見えにくいから、周りには色々誤解を受けがちだが、あれはあれで、それなりに、真面目に生きているのだ。
ちょっとばっかし、下半身緩めではあるが。
「色々あっての、今回、結構大きなチャンス、なんだよね。チャレンジで惨敗しちゃってるし」
まあ、自業自得な感が満載ではあるが、歌では勝てても、人間性でファンからアンチ煽って負けたのだから、負けは負けである。
「勿論、駆郎君が断ったら、それはそれ、なんだけどさぁ」
「その人、歌えなくなっちゃうの?」
「作詞作曲までは出来んからね」
希更ちゃんが真剣にお悩み中。
ごめん。
希更の優しさに付け込んでます。
駆郎君がダメなら…の案も、あるにはあるのだけど、交換条件がねぇ。
実際、駆郎君で有れば、バレても駆郎君が清牙の相手をしてくれるので、問題はほぼない。
放送さえしてしまえば、こっちのモン。
だが、強引に行き過ぎても…ねぇ?
そういう取引、普通にやったんじゃ、駆郎君絶対乗ってくれないし。
だからって、善良な、その他の作詞作曲家様を清牙に対抗させるのも、ちょっと…。
それに、駆郎君の作詞作曲なら、大枠でSPHYの曲と言い切れる。
それ以外となると…。
さらに清牙に油注いでしまう結果になりかねないので、二の足踏んでます。
私が色々危機なのだ。
今でも結構な綱渡り感があるのにっ。
総合すると、頼むのは、一番、駆郎君が無難。
そんな私が見守る中、希更が不安そうに私をウルウル見て来る。
「私が、誘拐されたって、駆郎君に連絡するの?」
よっしゃ、落ちた!!
「そんなことは頼まないって。ただ、おばさんである私に、ついて来てほしいかなぁと」
「どこに?」
「駆郎君は、明日呼び出すから、取り敢えずはホテル。タテ、その友達も、その息子もいるよ」
「小っちゃい子…」
希更はねぇ、小っちゃい生き物好きだからねぇ。
だけど、色々虚弱で、アレルギー反応が怖いから、動物の接触は基本全面禁止だし、小っちゃい子も周りにいないから、アレなんだよね。
勿論それを組み込んでの、今回のタテ親子招集ですが何か?
大人は汚いものなのである。
「明日、放映会社の会議室に呼び出します」
明日はフェス打ち合わせなので、駆郎君がいなくても何とかなると思いたい。
それぐらい、奴らのスケジュール詰まってて、駆郎君1人呼び出すのが難しかったのだ。
まあ、夜中なら呼び出せたが。
だが夜中、SPHYのスケジュールが空いていると、呼んでもいない清牙に舞人君迄ついてくるので、それは出来なかったのが真相なのだけど。
清牙の身体が空いてしまうと、希更を使っても、1人だけ呼び出すのは難しい。
いや、何かを察知して押しかけられる可能性が大?
舞人君の場合、途中気が付いても、楽しそうに、邪魔する方に乗っかってきそうだし。
彼、何気に煽るので、今回も、大人しくして頂きたいのだよ。
「ちょっと、裏工作せんと不味いかな?」
「それ、私が手伝いましょうか?」
え?
思わず駆郎君のお母様を見つめてしまう。
「ほら、私が、駆郎に…連絡すると、清牙君に相談しちゃいそうね。あの子、他に友達いないし」
スパンと、ぼっち言われてるよ?
言い切られてるよ、駆郎君?
そしてなぜか、お母様ノリノリである。
「私が、清牙君呼び出しましょうか? ほら、希更ちゃん預かってる上の相談とかで」
「いや、明日打ち合わせあるんで、呼び出しは止めてあげて下さい」
関係者が泣きます。
間違いなく、希更の案件でとかお母様が言い出したら、なんか言って仕事抜け出しかねない。
打ち合わせなら健吾君と舞人君でイイだろ的に。
歌う以外の仕事、本当に嫌いだからね、奴ら。
「そこに押しかけちゃいましょうか。希更ちゃんの相談って事で」
「ん? 私、そんなに相談しなきゃいけない程、駆郎君に迷惑かけてる?」
「そうじゃないのよ。駆郎が、希更ちゃんに迷惑掛け過ぎているのね」
「かかってないよ? 駆郎君と一緒にいるの好き。私がもっと体力あれば、駆郎君ともっと一緒にいられるんだけど」
「それよ、ね。うん。希更ちゃんは、もっと楽しい事しましょうね。おばさんともお出掛けしましょうね」
「ご飯も食べに行ったし、遊園地も楽しかったよ?」
「でも、駆郎が拗ねてたんでしょ?」
「次は、駆郎君も一緒なんだって」
「それ、絶対に違うわよ」
ですよね。
駆郎君と希更の2人でって、話だよね。
駆郎君も、お母さんと希更の3人では、遊園地には行かない。
絵面的にも、行って欲しくありません。
だからって、希更と駆郎君2人で遊園地、良いのか?
「そう言うのも含めて、他の男の子の話を聞いてみたいって思いが、おばさんにあるのね。希更ちゃんは良い子で、おばさんも一緒にいて楽しいし、お手伝いもちゃんとしてくれるし、言わなくても宿題終わらせちゃうし、ホント…女の子って、イイわ!」
駆郎君のお母さん、確かに、大変そうだよね。
ギター握って離さない動かない、頑固我が儘、無駄…尖った拘りが突き抜けて?
その上今は、未成年少女に夢中な芸能人。
字面にすると、間違いなく事案である。
「出来れば、駆郎の慌てふためく映像とか欲しいわ」
お母様ノリノリである。
そこまで言われては、私の言える事は一つである。
「是非、御協力お願いします」
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