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続編2 手放してしまった公爵令息はもう一度恋をする

27話 殺し文句 ※

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「前世での事、未だに引きずってしまっているんなら、僕も正直に言うよ。……あの時ね。貴方に初めて触れられて、僕も衝撃を受けたんだ。将来どころか生きる希望も失ったあの暗闇の中で、僕は自分の家族以外の誰かを愛する事なんて、想像すら出来なかった。それなのに、あんな愛おしむ様に触れられて、恥ずかしくて仕方なかったけど、全身で貴方に好きだと訴えかけられている様で、泣きたくなった。身も心も堕とされるって、こんな感じなのかと身をもって知って。でも、そんな貴方に応えられなかった僕は……」
「シリル…」
「手のひらを返した様に手荒くされて……暴かれたよね。そんな中で思ったんだよ。『あぁ、完全に失望させてしまったんだ…』って。貴方に告白した時にも言ったでしょう?受けた行為より、貴方を失望させてしまった事の方が辛かったと。だから、『もういっそ、壊してくれたらいいのに。』とすら思った。貴方自身の手で好きに殺して、そうして残った亡骸さえも好きにしてくれればいいって。そんな事しか出来ないのだと……」
「シリル!何言って……っ」

ギュッと抱きしめて来る彼の腕は燃え滾る様に熱く、それでも、優しく愛おしんでくれる。

「貴方は僕に『恨んでも、殺してくれても構わない。』と言ったけれど。それは僕も同じなんだ。確かに思った。貴方になら、殺されても構わない。それくらい、僕の心を揺さぶらせ、貴方を欲する気持ちをくれた。ただの比喩とかなんかじゃない。本当の本当に、全身全霊で応えたいんだ。貴方にとっては無茶に見えても、僕にとっては必要な事なんだよ。……だから。」

“貴方が浅ましいと嘆く衝動も、その全てが愛おしいよ。”

煽るなといつも叱られるけど。
殺し文句だって分かっていても、言わずにはいられなかった。
彼のその耳元で、囁く様に口にして。

貴方の心の奥底にある、昏く渦巻く欲望を。
醜いものだと抑え込まないであげて。
要らないものなんかじゃない。
だって、それもまた、僕を愛おしいと求めてくれるが故の欲じゃないか。

僕は死に戻って、再び貴方と出逢って。
何を想ったと思う?
貴方が欲しいと気付いてしまって。
心が得られないのなら、体だけでもいいと望み。
そんな浅ましい自分に絶望した。
でも、そんな自分すら、今なら愛おしいと思えるよ。

あの気持ちが、衝動がなければ、今こうして、二人で此処には居られなかったから。
あの時感じた、絶望も浅ましいと思った自分も。
その全てが報われたんだ。
体だけでなく、心だけでもなく。
全て僕にくれてから。
僕も全てをあげたいんだ。

その気持ちを態度で示すべく、僕は涙を零した彼の目尻にキスを贈り。
そして、その頬を掴み、僕の方から唇にキスをした。

そうしたら、もう後は。

「ふ。んぅぅ……は、はぁ。」
「ん。……シリル、貴方……なんて事を思って…」

舌を絡めた濃厚なキスをして。
再び僕を見つめるサフィルは。
熱に浮かされながらも、また泣きそうな顔で見つめて来る。

「ありがとう、正直に話してくれて。嬉しい。そんなサフィルが好き。大好き。……あぁ、好きなんて言葉じゃ足りないくらい、愛おしくて。嬉しくて。」

また彼に腕を伸ばし、今度はギュッと抱き付いた。
嬉しくて、心が震える。
もう、どうなってもいいとすら思えた。

「はぁ…。嬉しい……私も。こんなにも想ってもらえて。未だに、夢みたい。」
「夢なんかじゃないって。」
「本当に?本当に、好きにしていいの?」
「うん。」

頷く僕に、もうサフィルは聞き返してくる事は無く。
僕の首筋に再び喰らい付いて、今度は甘く吸い上げられる。
また胸に沢山の痕を刻まれて。

「あ。サフィル…ッあぁっ!」

改めて彼に解された後孔には、いつになく滾った剛直が宛がわれ、貫かれて。
苦しいと思ったのは最初だけで、後はただただ善かった。

「あ“っ!ひ…っあぁっ!好き、サフィルぅ!」
「は。あ、シリル!シリルッ!」

気持ちイイ。
快感の波に呑まれたまま、ただ愛しい彼に掴まって、一つになる。

好き。
大好き。

滅茶苦茶に突き上げられるのに、それが嬉しくて仕方がない。
奥の奥まで貫かれていく。

「あぁっ……ふかいっ…ふがい“ぃっ……あぅっ…いっでるっ…いっで……ひぃっ…いぐのぉっおわんないぃ~~~~んぁぁっ」
「あぁ、中が絡みついてっ……もう完全に私の形、覚えてしまったね。はっ……気持ちイイ?シリル…」
「あひっ……うん…うんっ…!気持ちイイ、からっ!!」

ドロドロに溶かされていく。
心も体も。
結合部からはひっきりなしにぐちゅぐちゅと卑猥な音がする。
もう気持ちイイしか考えられない。

馬鹿になった頭で視線を下ろすと、今になって、ソレに気付いた。

「は…あっ、わ。すごっ……ここ、サフィルの入って、お腹ぽこってなってるぅ!」

彼に最奥を貫かれて、腹の表面から見ても分かるくらい、彼の剛直が中から突き上げて出っ張っているのが分かって。
自分の中に彼のモノが確かな質量を持って、そこに存在しているのが目に見えて確認出来る。
それが嬉しくなって、外から膨れた腹を撫で付けたら。

「ま、またそうやって煽って!あーもう、なんて可愛いんです。シリル、好き!愛してるっ……—…———…——…」

もう、半分意識が飛んでしまっているサフィルは、媚薬による興奮と愛し過ぎる相手の痴態に煽られてか、うわ言の様に口にして。

熱に浮かされているのは分かっていた。
ただでさえ歯止めが効かない状態の彼を煽ってしまって、正気を失わせてしまっていたのも、理解していた。

しかし。
それでも、その言葉を耳にした僕は。

「……っ!!…そ、それは……あぁっ!」

最高潮に昂り、浮上しきった心地から、底の無い奈落へと。
悪意のないまま、彼の意図しないまま。
僕の心は、どん底に突き落とされたのだった————…。
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