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続編 開き直った公爵令息のやらかし
8話 ご奉仕 ※
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「んむっ」
何の前振りも無く、いきなり唇を塞がれたものだから、変な声が出ちゃったよ。
な、なに、どうしたの。
「ふ、んぅ…っ」
サフィルの舌が口の中に入ってきて、くちゅっと音を立てながら、僕の舌を絡め取っていく。
じゅるっと唾液を吸い上げられて、彼の唾液が流し込まれる。
されるがままに飲み込むと、頭の芯からぼぅ~っとなった。
ゆっくりと唇が離れていき、僕は思わずとろんとした目で彼を見つめると。
サフィルは焦燥感を滲ませながら、僕の耳元でそっと囁いて来た。
「お願いします。……いいですか?今日はとことん奉仕したいんです、貴方に。」
べ、ベッドへのお誘いだぁ……。
実家への帰省で、その、ずっとご無沙汰だったから、肌を合わせるのは久しぶりだ。
その事を思い出して、僕はぶわっと頬が朱に染まるのを感じた。
「あ……そ、そうだね。うん、いいよ。けど、久しぶりだから……なんか緊張する…」
上目遣いで乞う彼に、僕はしどろもどろになって。
しかし、了承の意を示した途端、彼ってば、僕の服のボタンを外しにかかるから。
「ちょ、ちょっと待って。」
「……嫌ですか?」
「そうじゃなくて!帰って来たばかりだから、お風呂に入ってからじゃ…駄目かな?」
「いいですよ。」
僕が嫌がっている訳では無いと分かってくれて、彼はホッとしたのかニッコリと微笑んでくれた。
それは、良かったんだけど。
「さ、参りましょう。」
そう言うと、彼は僕の膝裏に腕を入れて、抱え上げたのだ。
いわゆる、お姫様抱っこというヤツで。
「え?わ!ちょっと!」
「長旅から帰られたばかりで、お疲れでしょう?どうぞ私に身を任せて、貴方はゆっくりして下さい。」
いやいやいや!
今から疲れる事するじゃん。
ゆっくりなんて出来るかー!
心の中で叫ぶが、口には出せず、サフィルの首にしがみ付く。
それにしても。
これが乙女なら、このシチュエーションはなかなかに心ときめくものなのだろうが。
僕にとっては心ときめくよりも、地味に怖いんだけど!
そりゃ、サフィルはひ弱な僕などと違って体はガッチリしてる方だし、しっかりと抱きかかえてくれているけれども。
この抱えられ方って、見た目以上に安定しないんだよ!
しっかりしがみ付いてないと、バランスを崩したらサフィルに変に負荷が掛かっちゃうし。
「ねぇ、重いでしょう?降ろして。」
「嫌です。全然重くありませんよ。」
うぐぅ…。
めちゃくちゃ良い笑顔で拒否されたんだけど。
顔を真っ赤にしながら、どうしようかと考えあぐねていると、彼は僕を抱えながら、器用に扉を開け、そしてそっと降ろされた。
「あ。」
浴室は隣の隣の部屋だから、僕がもだもだしている内に直ぐに到着した。
入浴の準備は既にしてくれていて。
浴槽からはまだ、ふわりと湯気が湧きたっている。
やっと床に足を付けられてホッとしたら。
僕の背後から腕を伸ばし、これまた器用にボタンを外しにかかるから。
「サフィルッ!これくらい自分で脱ぐって。」
「したいんです。させて下さい。ね?」
振り返ると、満面の笑みを向けてお願いされてしまって。
駄目だなんて、言えない……。
で、でも、なんか。
妙にゆっくりと外されて、するするとシャツを脱がされて。
緊張してしまっている所為か、肌を滑る布の感覚すら、粟立ってぞわぞわする。
どうすればいいのか分からず、変な声を出したくないから、手で口を押えて耐えていたら。
うなじにキスを落とされる。
「んっ」
またカッと朱の色を濃くして震えていたら。
今度はズボンを脱がす為に、前に手を掛けられ、そして。
サフィルの前を僕のお尻に押し当てられて。
彼はもう前をしっかり屹立させているのが、嫌でも分かってしまった。
ちょっと、これ、なんて羞恥…。
「ふふ。やっぱり生のシリルが一番です…。」
「ふ、さ、サフィルぅ……」
耳元で囁かれる声に、明らかな欲情が入り混じっているのが分かって。
なら、直ぐに脱がせて、さっさと体洗って、ベッドに押し倒せばいいじゃない!
それなのに、なんでそんなゆっくり焦らす様にすんのさ!
いつもは僕を気遣ってくれながら抱きしめる様にして、肌を合わせて眠るのに。
今日のサフィルは、なんだか違った雰囲気で。
奉仕したい、身を委ねてゆっくりして下さい、と言ってくれるけれど。
確かに、言葉の通りに何から何までしてくれているんだけど。
なんで、こんなに追い詰められる様な気分になるの?
「は、恥ずかしいんだけど……んっ」
居た堪れなくなって、我慢できずに抗議しようと振り向いたら。
また唇を奪われて、ズボンを下ろされていた。
「はぁ……シリル。」
いつになく熱を帯びた目で見つめて来られる。
「えっと……サフィルも脱いでさ、ささっと入っちゃおうよ。っで、出たら、その、いっぱいしよっか。ね?」
だから、そんな執拗に前を押し付けないでぇ!
もはや羞恥と恐怖がない交ぜになって、僕は涙目になっていた。
何の前振りも無く、いきなり唇を塞がれたものだから、変な声が出ちゃったよ。
な、なに、どうしたの。
「ふ、んぅ…っ」
サフィルの舌が口の中に入ってきて、くちゅっと音を立てながら、僕の舌を絡め取っていく。
じゅるっと唾液を吸い上げられて、彼の唾液が流し込まれる。
されるがままに飲み込むと、頭の芯からぼぅ~っとなった。
ゆっくりと唇が離れていき、僕は思わずとろんとした目で彼を見つめると。
サフィルは焦燥感を滲ませながら、僕の耳元でそっと囁いて来た。
「お願いします。……いいですか?今日はとことん奉仕したいんです、貴方に。」
べ、ベッドへのお誘いだぁ……。
実家への帰省で、その、ずっとご無沙汰だったから、肌を合わせるのは久しぶりだ。
その事を思い出して、僕はぶわっと頬が朱に染まるのを感じた。
「あ……そ、そうだね。うん、いいよ。けど、久しぶりだから……なんか緊張する…」
上目遣いで乞う彼に、僕はしどろもどろになって。
しかし、了承の意を示した途端、彼ってば、僕の服のボタンを外しにかかるから。
「ちょ、ちょっと待って。」
「……嫌ですか?」
「そうじゃなくて!帰って来たばかりだから、お風呂に入ってからじゃ…駄目かな?」
「いいですよ。」
僕が嫌がっている訳では無いと分かってくれて、彼はホッとしたのかニッコリと微笑んでくれた。
それは、良かったんだけど。
「さ、参りましょう。」
そう言うと、彼は僕の膝裏に腕を入れて、抱え上げたのだ。
いわゆる、お姫様抱っこというヤツで。
「え?わ!ちょっと!」
「長旅から帰られたばかりで、お疲れでしょう?どうぞ私に身を任せて、貴方はゆっくりして下さい。」
いやいやいや!
今から疲れる事するじゃん。
ゆっくりなんて出来るかー!
心の中で叫ぶが、口には出せず、サフィルの首にしがみ付く。
それにしても。
これが乙女なら、このシチュエーションはなかなかに心ときめくものなのだろうが。
僕にとっては心ときめくよりも、地味に怖いんだけど!
そりゃ、サフィルはひ弱な僕などと違って体はガッチリしてる方だし、しっかりと抱きかかえてくれているけれども。
この抱えられ方って、見た目以上に安定しないんだよ!
しっかりしがみ付いてないと、バランスを崩したらサフィルに変に負荷が掛かっちゃうし。
「ねぇ、重いでしょう?降ろして。」
「嫌です。全然重くありませんよ。」
うぐぅ…。
めちゃくちゃ良い笑顔で拒否されたんだけど。
顔を真っ赤にしながら、どうしようかと考えあぐねていると、彼は僕を抱えながら、器用に扉を開け、そしてそっと降ろされた。
「あ。」
浴室は隣の隣の部屋だから、僕がもだもだしている内に直ぐに到着した。
入浴の準備は既にしてくれていて。
浴槽からはまだ、ふわりと湯気が湧きたっている。
やっと床に足を付けられてホッとしたら。
僕の背後から腕を伸ばし、これまた器用にボタンを外しにかかるから。
「サフィルッ!これくらい自分で脱ぐって。」
「したいんです。させて下さい。ね?」
振り返ると、満面の笑みを向けてお願いされてしまって。
駄目だなんて、言えない……。
で、でも、なんか。
妙にゆっくりと外されて、するするとシャツを脱がされて。
緊張してしまっている所為か、肌を滑る布の感覚すら、粟立ってぞわぞわする。
どうすればいいのか分からず、変な声を出したくないから、手で口を押えて耐えていたら。
うなじにキスを落とされる。
「んっ」
またカッと朱の色を濃くして震えていたら。
今度はズボンを脱がす為に、前に手を掛けられ、そして。
サフィルの前を僕のお尻に押し当てられて。
彼はもう前をしっかり屹立させているのが、嫌でも分かってしまった。
ちょっと、これ、なんて羞恥…。
「ふふ。やっぱり生のシリルが一番です…。」
「ふ、さ、サフィルぅ……」
耳元で囁かれる声に、明らかな欲情が入り混じっているのが分かって。
なら、直ぐに脱がせて、さっさと体洗って、ベッドに押し倒せばいいじゃない!
それなのに、なんでそんなゆっくり焦らす様にすんのさ!
いつもは僕を気遣ってくれながら抱きしめる様にして、肌を合わせて眠るのに。
今日のサフィルは、なんだか違った雰囲気で。
奉仕したい、身を委ねてゆっくりして下さい、と言ってくれるけれど。
確かに、言葉の通りに何から何までしてくれているんだけど。
なんで、こんなに追い詰められる様な気分になるの?
「は、恥ずかしいんだけど……んっ」
居た堪れなくなって、我慢できずに抗議しようと振り向いたら。
また唇を奪われて、ズボンを下ろされていた。
「はぁ……シリル。」
いつになく熱を帯びた目で見つめて来られる。
「えっと……サフィルも脱いでさ、ささっと入っちゃおうよ。っで、出たら、その、いっぱいしよっか。ね?」
だから、そんな執拗に前を押し付けないでぇ!
もはや羞恥と恐怖がない交ぜになって、僕は涙目になっていた。
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