全てを諦めた公爵令息の開き直り

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続編 開き直った公爵令息のやらかし

9話 お風呂場にてご奉仕 ※

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……それからは、完全にしてやられた。

体を洗うタオルはどこかと、キョロキョロしていたら。
彼は僕の後ろに座り、その大きな手にボディーソープを垂らすと、両手に馴染ませて、それで。

「あっ……ひゃうっ」

僕の首筋から鎖骨、そして胸へとゆっくりとその手を滑らせていく。
胸の先端は、特に念入りに塗りたくられて、捏ね回される。
下腹部は脇腹を掠められるとくすぐったくて仕方ないが、陰部をわざと無視され、太ももの内側を執拗に滑らされて。

「~~~んんっ」

もどかしい快感ばかり与えられる。
そうかと思えば、指で軽く陰茎を擦られて、つい快感を追おうとしたら、パッと離された。

「ふ、んぁ…っ」

またするすると下肢の方に手は滑り降りていき、足の先まで丹念に塗り込められた。
全身にボディーソープを塗りたくられて、ぬらぬらと照り光っているのがいやらしい。

くすぐったくて、何より恥ずかしい。
今まで散々、肌を重ね合って来た仲ではあるが。
こんな行為は初めてで。

今までは無知で拙い僕の為に、彼は色々我慢していたのかも。
いつも僕を気遣ってくれたし、無理強いもされた事はない。
行為の後、疲れてぐったりする僕の額にキスをくれて、いつだって控えめに微笑んでくれる。
体力無くてごめんね、我慢しないでいいんだよ、って言うけれど。
いいえ、充分満足です。って、言って笑ってくれて。

でも、こんなに執着しながら執拗に触れて来られるのは、初めてだった。
少し離れていた間に、そんなにも我慢を強いてしまっていたのだろうか。

「う、さ、サフィル……っ」

僕はもう本当にどうすればいいのか分からなくて、助けを求めるつもりで、彼の名を呼んだのに。
彼は何か勘違いしたのか、僕の頬に軽く口づけを落とすと。

「ちょっとその浴槽に手を付いて頂けますか?」
「?」

羞恥と緩い快感で頭がぼーっとしてしまっていた僕は、言われた通りに浴槽の縁を掴んで後ろを振り向いたら。
彼が上から覆い被さって来て。
深くキスをされた。
絡められた舌をなんとか絡め返して答えていると。

「んうぅっ!」

臀部を突き出す格好になってしまった僕は、彼にその尻を揉みしだかれて、後孔にボディーソープをたっぷり絡めた指を入れられた。
思わず腰を引きかけたが、反対の手でがっちりと腰を掴まれてしまい。
後孔のある一点を掠めた途端、ビリビリと一際強い快感が身の内を駆け巡った。

「んあっ!ひぃっ!あぁ…っ」

コリコリとそこを苛める様に擦られて、僕は膝から崩れ落ちたが、彼の腕に抱きとめられる。

「あ、あひっ……」

僕の前もすっかり勃ち上がり、その先からは透明の先走りが滴り落ちていた。
肩を上下に動かして息をしていると、サフィルがまた額にキスをしてくれたが。

「あうっ…サフィルぅ……」

も、もう、本当に……勘弁して。
ここまで焦らされるのは初めてで、中途半端な快感に留め置かれて、膝が笑ってがくがくになっているのですが。
これ以上、僕はどうすればいいんですか?
本当にもう、どうすればいいのか教えてよぉ!

涙を滲ませながら睨んでしまったら、サフィルは怯むどころか頬を朱に染めて。

「……いい。」
「なにがっ?!」
「…ぁ……お背中流しますね。」

そう言うと、サッと体にお湯をかけてくれて、そのまま湯船へと促される。
中でまた体を密着でもさせて、また前後不覚になるまで触られるんだろうか、と少し身を固くしたが。
僕一人湯船につからせて、浴槽の縁に頭を乗せて上を向くと、彼が上から覗き込んで来た。

「次は頭を洗いますね。シリルはそのままゆっくりつかっていて下さい。」

って言って、彼は手を洗い流した後、今度はシャンプーを手に取って、僕の髪を洗ってくれる。
さっきと違って程よい強さでしっかり頭を洗ってくれるから、僕はその心地良さにすっかり体の力が抜けていた。

うとうとしそうになった頃、洗い終わって泡を流してくれた。
僕は、湯船の中から彼を見やって。

「次はサフィルを洗ってあげようか?」

そう、提案してみたが。

「冷えるといけないのでシリルは入っていて下さい。」

と言われて、やんわり断られた。
そして、僕にはあんなにゆっくり焦らして焦らして、手で直接洗っていたのに。
自分はどこからかさっとタオルを取り出して、さっさと洗い終えてしまった。

タオルあったんじゃないか!

もう何度目になるか分からないツッコミを心の中で叫んで。
サフィルが湯船に入って来た時に、僕はじとぉ~っとした目で睨み見てやりたいところだったが。
それよりも眠気で瞼が重くなってきていたのだった。
おかげで、彼はすぐに僕を抱え上げると、早々に入浴は終了させ、僕の体をタオルで拭いてくれる。

「い、いいよ。自分で拭くって。」
「いいんです。やらせて下さい。」

奉仕したいって言ってたけど、そんな侍女みたいな事したかったの?
よく分からないけど、彼にしたいと言われれば、嫌だと断る理由も無い。
なんだか申し訳なく思いながらも、彼の言う通り、されるがままになっていた。

そして、ベッドへと運ばれて。
その頃には、もうお姫様抱っこをされても、僕は文句を言う気力も抜け落ちていた。
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