上 下
192 / 331
第5章

192話 煽らないでって※

しおりを挟む
「さ、サフィルぅ……も、大丈夫だから…来てっ」

丹念に解され過ぎて、違和感よりも気持ち良さの方が勝ってきて。
こんな所でも快感を感じるなんて。
本当に、知らなかった事だらけだ。

僕の言葉に、中で蠢いていた手が止まり、ぬるりと抜き取られて。
そこはぽっかりと空いたまま、ひくっと震えた。

僕は快感で悶えながらも、彼のズボンに手を掛け、思い切って下ろした。

「あ、ちょっシリル…っ」
「わっ」

僕の動きにサフィルは慌てて制しようとしたが、それよりも先に服の下で苦しそうに張り詰めていた彼の秘所が、勢い良く飛び出て来て。
僕なんかの粗末なそれとは違う、雄々しく大きい剛直だった。

(コレが僕の中に…?)

サフィルがこれでもかという程、僕の後孔をほぐす訳だ。
前世で一度貫かれた時は直接目にしていなかったから、いざまともに見てしまうと、一瞬怯んでしまったが。

「その…すみません。やっぱり、怖いですよね、受け入れるのは。」

なんて、まだ僕を心配して躊躇ってくれるから。
ちょっと……いや、正直かなり、怯えは拭えないけど。
でも、それ以上に。

これって、それだけサフィルも感じてくれているって事だよね?
ずっと僕を気持ちよくしてくれてばかりで、彼を悦ばせてあげられてなかった筈なのに。
僕に触れて、彼も興奮してくれていたって事?

あぁ。
僕だって、もっと彼に悦んで欲しい。
気持ち良くなって欲しい。

愛おしさで溢れる気持ちが止められない。
ほんのちょっとの怖さよりも。
溢れる愛しさを知って欲しくて。

僕は身をかがめ、サフィルのその逞し過ぎる剛直に、軽くキスをした。
サフィルは思いもしなかったのだろう。
ガバッと両肩を掴まれ、強い勢いで身を起こされる。

「シリルッ!何してっ?!」
「サフィルだってさっき、僕が達したのを舐めてたじゃない。」
「それとこれとはっ」

サフィルは心底驚きすぎて、声が裏返っている。
でも、似た様なものじゃない。
酷く焦っているサフィルが可笑しかった。

少しクスクス笑った後、僕は彼の胸に頭を埋めて凭れ掛かった。

「~~~~~!煽らないで下さいって、言ったのにっ」

楽し気に笑う僕とは対照的に、サフィルは怒った様な焦った様な声音でそう言うと、僕をまたベッドに押し倒した。
そして、両膝の裏を抱える様にして掴まれ、彼の肩に掛けられる。

「あ……っ」

抱え上げられて驚く間もなく、彼の剛直が僕の後孔のすぼまりにぴたりと付けられる。

「もう、手加減出来ませんからねっ」

捨て台詞の様にそう言う彼を可笑しく思う。
だって、僕は何度も来てって言ってたんだから。

我慢しなくていい。
今度は、貴方が気持ち良くなって。

そう思って、僕はニッコリ微笑んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

悪役令息の死ぬ前に

ゆるり
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

手切れ金

のらねことすていぬ
BL
貧乏貴族の息子、ジゼルはある日恋人であるアルバートに振られてしまう。手切れ金を渡されて完全に捨てられたと思っていたが、なぜかアルバートは彼のもとを再び訪れてきて……。 貴族×貧乏貴族

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

かつての主人が売られていたので買いました

muku
BL
人間の世界が魔族に滅ぼされてから十数年。 最後まで魔族軍に抵抗して戦ったエデル・フォルハイン辺境伯は、魔人が支配する国で性奴隷となり、彼らに奉仕する日々を送っていた。 そんなある日、一人の魔人の青年が、競売にかけられたエデルを高額で競り落とす。 青年の正体は、かつてエデルの従者であった少年、ユリウスだった。

処理中です...