30 / 37
30 成長するカエル
しおりを挟む
「おりゃー!」
あら、お見事。
ラバーさんのパンチが!
キックが!
鋼鉄のようとも言われるシー・マンティスの外殻を難なく、破壊していた。
ラバーさんはサポートしなくても一人で余裕だったとは思うのよね。
何しろ、シー・マンティスの動きを完全に見切っているのか、完璧に避けているんだから。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
これを的確に再現しているとしか思えないきれいな戦い方だった。
シー・マンティスの繰り出すパンチを躱し、それ以上のパンチをお見舞いする。
華麗ではないかもしれない圧倒的な差というものを見せられた気がする。
そこにサポートが加わった。
身体能力が上積みされるのだから、余裕そのものになるのよね。
だから、一匹は割とすんなりと片付けられた。
問題はユーくんと戦っているもう一匹の方だ。
彼は苦戦とまではいかないけど、手こずっているのが分かる。
あまり慣れていない片手剣と盾での戦いだから、思うようにはいかないんだろう。
それでも手に入れたばかりの剣とわたしのかけたサポートが効果的に働いてるようだ。
慣れない手つきながらも徐々に自分のペースを取り戻しつつあるように見えた。
「もうちょいかな?」
『そうですね。彼はいいセンスをしているようです』
「そうなんだ?」
『はい。ミレイユと違って、運動神経がいいのでしょう』
はいはい。
どうせ、わたしは運動神経が切れてますよ。
それが分かっているから、邪魔にならないところから、サポートすることに徹しているんだけど。
相手がせめて、もう少し大型のモンスターだったら、援護射撃をしていた。
ユーくんが戦いやすいように狙撃して、障害を取り除くことができたと思うし……。
でも、シー・マンティスはせいぜい人間の大人と同じ程度の大きさだ。
これで味方に当てないように狙い撃つのは至難の業になる。
少なくともわたしがどの状態でも狙えるかと言えば、答えはノー。
万全の状態ならば、いけるかもしれないけど厳しい。
まず、無理と思った方がいいだろう。
だから、サポートに徹する。
幸いなことにユーくんはこの戦いでかなり、成長したと思う。
序盤はもろにパンチを盾で受けていて、見ているだけでも痛々しかった。
心配なので癒しの矢を慌てて、撃ったけど……。
正直なところ、単なる応急処置に近いものがあるのだ。
何しろ、本格的に癒しの術を身に付けている訳じゃない。
見よう見まね。
イメージだけでやっているから、応急処置にしかならない。
「誰でもあんなにできるもんなの?」
『だから、彼はセンスがいいのです』
「そっか」
彼は盾で相手の力をうまく受け流すコツを覚えたらしい。
戦っている中で身に付けるのは天賦の才みたいなもんだろうか。
盾で受け流して、体勢を崩したところで効果的な一撃を与えてさえいる。
今やペースは完全にユーくんが握っていると言っても過言じゃない。
「じゃあ、あの邪魔になりそうなのを排除しておこうかな?」
『それはいいアイデアです』
「何が効果的なの?」
『ピカッゴロゴロでしょうか』
「あぁ、なるほど。そういうのね」
素直に雷って教えてくれないところがバルディエルらしいというか。
それを個性として、普通に受け入れたわたしが変なのかもしれないけど、中々どうして憎めない子なのだ。
馬鹿な子ほどかわいい?
そんなことを言ったら、特大の爆弾を放り投げてきそうなので言わない。
そっか、雷ね。
まずはあのピカッと光っている稲妻みたいなのをイメージしよう。
そして、硬い物を貫通して、破砕するのをイメージするのだ。
うん。
何か、思い浮かんだ。
青白く発光する魔法の矢を『アーバレスト』に装填して、まだ視認もできない距離にいる三匹目の頭を撃ち抜いた。
正直、何で貫通するイメージだけにしておかなかったのかと後悔している。
破砕するイメージを付け加えたせいでエビっぽいものの頭がパーンとなる見たくもないグロ映像を見る羽目になったんだから……。
まぁ、いいのよ。
わたしの乙女な心という尊い犠牲でさらなる危険を避けられるんだから、こんなに嬉しいことはない。
そう思っておかないと辛いし!
あら、お見事。
ラバーさんのパンチが!
キックが!
鋼鉄のようとも言われるシー・マンティスの外殻を難なく、破壊していた。
ラバーさんはサポートしなくても一人で余裕だったとは思うのよね。
何しろ、シー・マンティスの動きを完全に見切っているのか、完璧に避けているんだから。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
これを的確に再現しているとしか思えないきれいな戦い方だった。
シー・マンティスの繰り出すパンチを躱し、それ以上のパンチをお見舞いする。
華麗ではないかもしれない圧倒的な差というものを見せられた気がする。
そこにサポートが加わった。
身体能力が上積みされるのだから、余裕そのものになるのよね。
だから、一匹は割とすんなりと片付けられた。
問題はユーくんと戦っているもう一匹の方だ。
彼は苦戦とまではいかないけど、手こずっているのが分かる。
あまり慣れていない片手剣と盾での戦いだから、思うようにはいかないんだろう。
それでも手に入れたばかりの剣とわたしのかけたサポートが効果的に働いてるようだ。
慣れない手つきながらも徐々に自分のペースを取り戻しつつあるように見えた。
「もうちょいかな?」
『そうですね。彼はいいセンスをしているようです』
「そうなんだ?」
『はい。ミレイユと違って、運動神経がいいのでしょう』
はいはい。
どうせ、わたしは運動神経が切れてますよ。
それが分かっているから、邪魔にならないところから、サポートすることに徹しているんだけど。
相手がせめて、もう少し大型のモンスターだったら、援護射撃をしていた。
ユーくんが戦いやすいように狙撃して、障害を取り除くことができたと思うし……。
でも、シー・マンティスはせいぜい人間の大人と同じ程度の大きさだ。
これで味方に当てないように狙い撃つのは至難の業になる。
少なくともわたしがどの状態でも狙えるかと言えば、答えはノー。
万全の状態ならば、いけるかもしれないけど厳しい。
まず、無理と思った方がいいだろう。
だから、サポートに徹する。
幸いなことにユーくんはこの戦いでかなり、成長したと思う。
序盤はもろにパンチを盾で受けていて、見ているだけでも痛々しかった。
心配なので癒しの矢を慌てて、撃ったけど……。
正直なところ、単なる応急処置に近いものがあるのだ。
何しろ、本格的に癒しの術を身に付けている訳じゃない。
見よう見まね。
イメージだけでやっているから、応急処置にしかならない。
「誰でもあんなにできるもんなの?」
『だから、彼はセンスがいいのです』
「そっか」
彼は盾で相手の力をうまく受け流すコツを覚えたらしい。
戦っている中で身に付けるのは天賦の才みたいなもんだろうか。
盾で受け流して、体勢を崩したところで効果的な一撃を与えてさえいる。
今やペースは完全にユーくんが握っていると言っても過言じゃない。
「じゃあ、あの邪魔になりそうなのを排除しておこうかな?」
『それはいいアイデアです』
「何が効果的なの?」
『ピカッゴロゴロでしょうか』
「あぁ、なるほど。そういうのね」
素直に雷って教えてくれないところがバルディエルらしいというか。
それを個性として、普通に受け入れたわたしが変なのかもしれないけど、中々どうして憎めない子なのだ。
馬鹿な子ほどかわいい?
そんなことを言ったら、特大の爆弾を放り投げてきそうなので言わない。
そっか、雷ね。
まずはあのピカッと光っている稲妻みたいなのをイメージしよう。
そして、硬い物を貫通して、破砕するのをイメージするのだ。
うん。
何か、思い浮かんだ。
青白く発光する魔法の矢を『アーバレスト』に装填して、まだ視認もできない距離にいる三匹目の頭を撃ち抜いた。
正直、何で貫通するイメージだけにしておかなかったのかと後悔している。
破砕するイメージを付け加えたせいでエビっぽいものの頭がパーンとなる見たくもないグロ映像を見る羽目になったんだから……。
まぁ、いいのよ。
わたしの乙女な心という尊い犠牲でさらなる危険を避けられるんだから、こんなに嬉しいことはない。
そう思っておかないと辛いし!
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる