星の堕ちた世界で~終末世界のエルフ~

黒幸

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26 いざ、諏訪湖へ

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 次の行き先は唐突に決まった。
 暫くはお仕事しなくてもいいかなぁと思っていたんだけど、気が変わるような丁度、いい案件が出てきたからだ。

 何でもエビを倒すレイドだという。
 エビだけど、陸なのは気になるけど、場所がN県のS湖なのは捨てがたい。
 有名な観光地だ。
 観光がてらに行くのも悪くないと思った。

 早速、声を掛けてみるとユーくんは二つ返事で引き受けてくれた。
 要項によれば、現地のプレイヤーも参加するらしい。

「お待たせ! って、まだ時間じゃないよね?」
「あぁ? うん、気にしないで。三十分前には着いてないとわたしが不安になるだけだから」
「そ、そうなんだ?」
「うん。それがね……」

 わたしとて、元からここまできっちりとした性格だった訳じゃない。
 確かに遅刻するのは嫌いだった。
 遅刻するのなら、休む。
 極端だけど、そんな風に考えてしまう傾向はあった。
 母もやっぱり、そうだから。
 多分、その影響もあると思う。

 でも、もっと決定的なことがあって、傾向が強まった。
 大学の頃、やった入試の手伝いのバイトが原因だ。
 結構、朝早くから出ないと間に合わないのにその日、やらかしてしまった。
 微妙とはいえ、集合時間に遅刻した。
 さすがにまずいと思ったけど、思った以上にきつかったのが懇々と説教されたことだ。
 これは効いた。
 それ以来、待ち合わせ時間の一時間前に到着がわたしの目安となっている。

「なるほど」
「まぁ、君よりも長く生きているからね」
「たかだが十年じゃんかー」

 いやいや、されど十年だよ?
 声を大にして言いたいけど、ここは敢えて言わない。
 言うと余計に自分が惨めに思えるかもしれないし。
 年齢の差を気にしているのは自分だけみたいで……。

「まぁまぁ。それは置いといて。今日のレイドは現地の人との共同なんだし」
「へえ。誰?」
「ラバさんっていうプレイヤーさんよ。現地ではかなり、有名な人らしくって……」
「もしかして、あの人?」
「え?」

 ユーくんの指差した先にいた人物はちょっと珍妙な恰好をしていた。
 珍妙と言うのは失礼かもしれない。
 場違いな恰好?
 コスプレ?
 ウィンプルとワンピースドレスぽい組み合わせはまさにシスターそのもの。
 ただ、シスターにしては色合いが派手なのだ。
 尼僧のドレスは普通、シックな黒系統か、あっても濃紺くらいだと思う。
 真っ赤。
 目の覚めるようなネオンスカーレットのシスターって、一体?

 こちらに気付いたのか、音が出そうな勢いでぶんぶんと手を振っている。
 ちょっと頭痛がしてきた……。
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