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27 エビではなく、シャコ
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「まぁ、実物を見てもらう方が早いと思うんだけどさぁ……じゃなくて、思うんでございますのよ」
「ですよね。わたしもそう思います」
「うん」
ラバーさんは見た目がぶっ飛んでいるけれど、コスプレではなかった。
どうやら本職のシスターらしい。
湖畔に建っている教会が自分の家であって、本当の名前が彼方だから、フランス語で彼方を意味するラバをプレイヤーネームにしたそうだ。
ラバではなく、ラバーと伸ばした方が本人としては嬉しいとも教えてくれた。
そんなことまで初対面のわたし達にペラペラと喋ってくれる。
聞いているこちらが恐縮しちゃうが、本人は全く、気にしていない。
「あたしのおばあちゃんのおばあちゃんがフランス人だからか、髪もこんなじゃん?」とウィンプルから、栗色のストレートヘアを出して見せてくれた。
それでフランス語なのかな? とも思ったけど、どこまでが彼女の本気なのか、いまいちよく分からない。
確かに日本人にしては奥目だし、整った顔立ちはしているようだけど……。
何しろ、世界は変わってしまったから、純日本人であるはずのわたしがエルフでのっぺりとした顔なのに髪色はアレなんだし。
「それでね。あいつら、繁殖力が強くて、めっちゃ増えるのよぉ。だから、地元の漁協も困ってるって訳」
「はぁ。それでレイドになったんですかね」
「多分、そういうことだろうねぇ」
通称エビと言われているモノを知らないけど、地元の生活にまで悪影響を及ぼすのだから、相当に困っているのは間違いないんだろう。
正直、今回のレイドはそれほど、稼げるものじゃない。
むしろ、労力に似合うものかは怪しいくらいだ。
だから、放置されていたんだと思う。
わたしとユーくんは観光がてらと物見遊山でこのレイドを受けた。
ある意味、物好きな部類に入るんだろう。
「もしかしてだけど、アレかな?」
カエルの視力がそんなに高いとは思えないんだけど、ユーくんの目はかなりいい。
おまけに動体視力が優れているから……これはカエルぽいのかもしれない。
早速、何かを見つけたようだ。
「何、アレ……」
「だから、アレがエビだよぉ」
「へ、へえ」
唖然とするしかなかった。
それ、エビじゃないよ。
シャコだよ。
いや、違う。
そうじゃない……。
見た目はシャコそのものだった。
それも南方の海にいそうな鮮やかなグリーンをしていて……。
ただし、大きさがおかしい。
軽く、小学生の高学年を超える体高がある。
それも上半身だけで!
下半身には歩脚がたくさん生えていて、それで体を支えているようだった。
特徴的な形をしているのは捕脚かな?
ぱっと見ではボクサーがグローブをはめているようにさえ見える。
でも、一番おかしいのはそれが陸上でさも平然と活動していることだ。
水棲生物じゃないの?
「シャコだよね?」
「あぁ、うん。エビっていうより、シャコぽいねぇ。まぁ、そこはいいんじゃないかなぁ。あはははは」
ウィンプルを脱ぎ捨てたラバーさんは両拳にグローブをはめた。
グローブというにはちょっと、ごつい気もする。
それで殴られたら、確実に痛いではすまないと思う……。
指をぽきぽきと鳴らして、首をごきごきと回すラバーさんを見るとシスターっていうより、ストリートファイター?
「ですよね。わたしもそう思います」
「うん」
ラバーさんは見た目がぶっ飛んでいるけれど、コスプレではなかった。
どうやら本職のシスターらしい。
湖畔に建っている教会が自分の家であって、本当の名前が彼方だから、フランス語で彼方を意味するラバをプレイヤーネームにしたそうだ。
ラバではなく、ラバーと伸ばした方が本人としては嬉しいとも教えてくれた。
そんなことまで初対面のわたし達にペラペラと喋ってくれる。
聞いているこちらが恐縮しちゃうが、本人は全く、気にしていない。
「あたしのおばあちゃんのおばあちゃんがフランス人だからか、髪もこんなじゃん?」とウィンプルから、栗色のストレートヘアを出して見せてくれた。
それでフランス語なのかな? とも思ったけど、どこまでが彼女の本気なのか、いまいちよく分からない。
確かに日本人にしては奥目だし、整った顔立ちはしているようだけど……。
何しろ、世界は変わってしまったから、純日本人であるはずのわたしがエルフでのっぺりとした顔なのに髪色はアレなんだし。
「それでね。あいつら、繁殖力が強くて、めっちゃ増えるのよぉ。だから、地元の漁協も困ってるって訳」
「はぁ。それでレイドになったんですかね」
「多分、そういうことだろうねぇ」
通称エビと言われているモノを知らないけど、地元の生活にまで悪影響を及ぼすのだから、相当に困っているのは間違いないんだろう。
正直、今回のレイドはそれほど、稼げるものじゃない。
むしろ、労力に似合うものかは怪しいくらいだ。
だから、放置されていたんだと思う。
わたしとユーくんは観光がてらと物見遊山でこのレイドを受けた。
ある意味、物好きな部類に入るんだろう。
「もしかしてだけど、アレかな?」
カエルの視力がそんなに高いとは思えないんだけど、ユーくんの目はかなりいい。
おまけに動体視力が優れているから……これはカエルぽいのかもしれない。
早速、何かを見つけたようだ。
「何、アレ……」
「だから、アレがエビだよぉ」
「へ、へえ」
唖然とするしかなかった。
それ、エビじゃないよ。
シャコだよ。
いや、違う。
そうじゃない……。
見た目はシャコそのものだった。
それも南方の海にいそうな鮮やかなグリーンをしていて……。
ただし、大きさがおかしい。
軽く、小学生の高学年を超える体高がある。
それも上半身だけで!
下半身には歩脚がたくさん生えていて、それで体を支えているようだった。
特徴的な形をしているのは捕脚かな?
ぱっと見ではボクサーがグローブをはめているようにさえ見える。
でも、一番おかしいのはそれが陸上でさも平然と活動していることだ。
水棲生物じゃないの?
「シャコだよね?」
「あぁ、うん。エビっていうより、シャコぽいねぇ。まぁ、そこはいいんじゃないかなぁ。あはははは」
ウィンプルを脱ぎ捨てたラバーさんは両拳にグローブをはめた。
グローブというにはちょっと、ごつい気もする。
それで殴られたら、確実に痛いではすまないと思う……。
指をぽきぽきと鳴らして、首をごきごきと回すラバーさんを見るとシスターっていうより、ストリートファイター?
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