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第134話
しおりを挟む夜遅く、背後に気をつけながら第6王子の寝間を訪ねた恭介は、ビターンッ!!と、いきなり平手打ちを喰らった。あまりにも唐突に顔面を殴打された恭介は、状況を理解できず、まばたきをくり返した。
「……ジ、ジルヴァン?」
虚を突かれた恭介だが、こんどはガバッとしがみつかれた。足許がふらつき、ドンッと、背中が扉にぶつかる。
(な、なんでビンタされたんだ? オレは、なにかヘマをやったのか……!?)
サァッと青ざめる恭介をよそに、ジルヴァンは耳まで真っ赤になっている。わなわなと肩を慄わせてから離れると、ふらふらと寝台まで移動した。
「ジルヴァ……、」
「うるさい! なにも云うでない! キョースケはべつに悪くないのだ!!」
「じゃあ、なんでそんなに……、」
怒ってるんだ、と訊ねようとしてやめた。おかしな雰囲気にも拘わらず、下半身が反応している。むくむくと硬くなり、今にも勃ちそうだった。
(お、落ちつけ!! まだ早い!!)
どういうわけかジルヴァンは立腹していたが、自ら衣服を脱いで半裸になった。
「いつまで突っ立っておるのだ。こっちへ来ぬか。絹衣の帯を解いてやる!」
共寝をする気合いは十分なようすで、第6王子の声はいくらかうわずっている。
(……ジルヴァンと性交渉してもいいンだよな? び、びっくりした。嫌われたのかと思ったぜ……)
叩かれた頬はかなり痛むが、ぼんやりと薄暗い室内を歩き、ジルヴァンの隣に腰をおろした。薄い胸板に、桃色の突起が並んで見えている。すぐにでも触れたい恭介だが、まずは予定どおり告白した。
「ジルヴァン、云うのが遅くなってごめんな。オレは、キミのことが好きだ。」
それは本心から出た言葉である。腰紐を解くジルヴァンの手が、ピタリと停止した。うつ向いているため表情は読み取れない。しばらくの間どちらも沈黙を保ち、室内は、しーんっと、静まり返った。
(……うん? なんかヤバかったか? この微妙な空気はなんだろう……)
他の言葉を選ぶべきだったかと悩んでいると、顔をあげたジルヴァンと至近距離で目が合った。左右で異なるふしぎな虹彩に見とれていると、ジルヴァンが瞼をとじた。恭介は暗黙の了解で口づける。
「……キョースケ、キョースケぇ、」
軽くキスをしただけで、ジルヴァンは降伏モードになってしまう。うっとりとした涙目で「はぁ、はぁ」と、早くも呼吸が乱れた。恭介はまだ絹衣を着ていたが、互いにもつれるように寝台へ倒れ込み、深い口づけを交わした。
「……っあ、んん、んっ、……キ、キョースケぇ、」
「ジルヴァン、好きだ。……触るよ。」
「あっ? なにをするのだ!」
直に男根を握られたジルヴァンは、すぐさま恭介の指に煽られて、しっとりと濡れた。
「ひゃっ、……キョースケ、や、やめよ! もう、がまんならん!!」
「出せよ。がまんする必要がどこにあるンだ?」
「……うっ、あぁぁっ!!」
ジルヴァンは早漏につき、あっさり恭介の手の中で散る。枕に頭部を沈め、肩で息をする余裕のない表情は超絶にかわいすぎて、恭介の興奮も煽られた。だが、男役専門とはいえ自己満足を優先せず、受け身に対する気づかいは不可欠である。
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