異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒

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第3部

第54話

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※森の追憶④


(ますます、むずかしい話になってきたよ……。えっと、リヒトは、人間と精霊の子どもじゃなくて、初期の半獣属と精霊の赤ちゃん、ってことになるのかな……?)


 丸太小屋へ向かって前に進む亮介は、足もとに注意して歩きながら、これまでの展開を整理した。殺しあうばかりの日々をどうにかするため、動物は知能を手に入れようとして人間と交わり、最初に誕生した生命体は、じぶんの像をもって、動物たちに有用な世界観をく。

 
 陰鬱な血のにおいは
 不幸を呼ぶ
 
 風はささやく
 緑なす大地こそ
 甘美な香りを放つ

 
 人間として生きるのではなく、森に身を置き、精霊や半獣たちに彼は語りつづけた。太陽と月が純粋な空気を運ぶとき、樹々の下でふるえる心臓は愛をもたらす息吹いぶきとなり、何度でもよみがえると。リヒトの父親が精霊と愛しあった最初の人間で、半獣属の始祖だった場合、彼の血を受け継ぐ者は、現在どうしているのか、亮介は気になった。


(まるで、おとぎ話みたいだ。……精霊も半獣も、人間と恋をするんだね。種族に関係なく、気持ちが通じ合えるのは、奇蹟かもしれない。キールやノネコさん、それにコリスくんに、もっと感謝しなきゃ。僕なんかと仲良くしてくれて、ありがとうって……。それにしても、リヒトが秘密を知りたがってた池は、たぶん、水の精霊ミュオンさんが消えた場所だよね。……まだ、森のどこかにその池があるとしたら、行ってみたいかも。あとでハイロさんに聞いてみよう!)


 少しずつあきらかになってゆく謎を亮介なりに解釈すると、心なしか靄が薄くなった。視界がひらけると、ハイロの歩く速度は変化し、亮介もミュオンの無事を信じて先を急いだ。

(ハァ、ハァッ、……ミュオンさん、あなたはいったい、何者なにものなの? 消滅と再生をくり返すことができるなら、あなたは、ずっと昔、赤ちゃんを産んだ、あの、、精霊さんと同一人物なの!? ……これだけは言える。ハイロさんの先祖は、ミュオンさんと愛しあった人間だ。ミュオンさんには、人間と半獣属の血が流れている。だから今、からだの中で、なにかが進化を遂げようとして、眠っているのかもしれない……!!)

 幼虫から成虫に移る直前、さなぎになって静止状態となり、完全変態をおこなう昆虫がいるように、新たな形態に変わる段階へミュオンが移行しているのではと考えた亮介は、にわかに感情が高ぶった。


★つづく
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