映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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113 告白⑤

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 映画は無事に公開となったが、富樫っちゃんはまだ悪夢を見ているようだった。
 そんなある日、美術セットや小道具を仕舞っている倉庫に行くと、おかしな事に気付いた。あの石が倒れていて、底が僅かに抉れているのだ。
 これは富樫っちゃんの私物なので、壊してしまったかと思って底をよく拭いてみた。すると、赤い変な塗料が剥げた部分が黄金に輝いているのだ。びっくりしてベンジンを付けてさらに拭いてみた。
 この石は金塊にしか見えないような黄金の輝きを取り戻した。

 小生は富樫っちゃんのところに行った。この石は金塊かもしれんと。しかもこの怪しい紋様からして、どこかの部族の呪術的な祭祀品なのではないか、と。
 富樫っちゃんは震えていた。アメリカの露天で買ったと言うが、そんなもの売っていい訳がない。本当に金塊なのだとしたら、組織的な犯罪に関与する品なのかもしれない。うっかり密輸の足にされたのだとしたら家族に何をされるか分からない。

 富樫っちゃん、これ、今のうちに形を変えてしまおうよ。と小生は言った。
 ちょうどこの頃は国内外でデスマスクを作るムーブメントが起きていた。生きているうちに富樫っちゃんのデスマスクの型を作り、地金をこの石を溶かしたものにする。
 小生はこれでも美術監督なのだ。その上から薄くブロンズの膜を貼ってバレないように作ってやるよと。

 生きているうちに富樫っちゃんの顔に油粘土と石膏を塗り、マスクの型を作る。それをさらに加工して出来た黄金マスクはブロンズに見せるように塗装をして小生が隠し持っておく。

 富樫っちゃんは明らかにホッとした顔をしていた。あの心臓の紋様に何故あんなに囚われていたのか不思議だと言って、ようやく笑顔も向けられるようになった。

 良かった。とそう思ったのだが、違ったのだ。

 
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