映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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080 『夜を殺めた姉妹』特別観覧②

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 階段で一足先に戻ってきた私は、会議室の明かりをつけ、軽くテーブルを拭いてからグラスと冷やしておいたドリンクを置いていく。そして各席には沢本清彦著『わが映画美術理論』別冊から、本作のことが書かれた箇所を抜き出したコピーを配布した。
 ふう、と一息つくとエレベーターの開く音がしたので、さり気なく会議室の前に立ち、本日のお客様方を誘導していく。

 佐山家の由紀子夫人、美千代さん、華子さん、牧田氏、江藤弁護士。比江島和志氏。八頭家の龍司氏、景子夫人、龍正氏。それから東原警察署の辻堂刑事。この10名をなるべく上座側に迎え、館長と西村課長、尾崎係長、田代主任は反対側に着席。陪席に館長秘書と池上、私が座った。

「本日は観覧のご調整ありがとうございました。いやあ前作も観ていないので何と言ったらいいのか······ですが、なかなか興味深く拝見いたしました」
「捜査の足がかりとなりましたでしょうかな、辻堂刑事」
「ご遺族の前で申し上げるのも恐縮ですが、八頭早苗さんの部屋にあったあの祭壇は、やはりこの映画のものと同じですね?」

 にこやかに感想を言い合うだけでは終わらないだろうとは思っていたが、初っ端からもう事件の方に引っ張られてしまった。

「ええ。刑事さんのおっしゃるように、妹の部屋のものと違わぬものに見えました。そして西村課長方がいらした後に確認をしたのですが、やはり1989年にアメリカのビリーズ美術館と売買契約を結びまして、沢本清彦氏が譲渡した冨樫甲児監督関連美術品を当家が購入しております」

 八頭龍正氏が手持ちのファイルに目を通しながらすぐに応じる。

「1989年。日本はバブル崩壊前ですな。アメリカはまだ登り調子だったはずですが、何故そのような売買が成立したのでしょう? いやなに、一個人として取りまとめるのは大変だったのではと思いましたもので」

 館長が穏やかにではあるが、鋭い質問を重ねて行く。暗に『何故当館を通さずに?』との不満が感じられる。それに気付く風も見せずに飄々とした調子で父・八頭龍司氏が話を続ける。

「ええ。でも切っ掛けはひょんな事からだったのですよ。ビリーズ美術館のすぐ近くにある地域にハリケーンが来た、というね。
 当時はまだ日本は好景気で浮かれていまして、当家も海外出店を目論んで市場調査をしていたのですが、その際に知り合った方からビリーズが自国の収蔵品だけに縮小しようとしているという噂を聞きまして。要はハリケーンで収蔵庫が一部損壊し、やむなく優先順位の低いものから移譲しようと」

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