映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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052  カルト映画と殺人③

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「来客があるから、別の部屋で待っててって言ったでしょう?」
「お前さんはいつも嘘をつくから今回もコレクションルームに入れたくないからだと思ったんだ。すまないね、お嬢さん」
「あれ、資料館の新人さん。どうしてここに?」
「あ、じゃあ、『ひびの・けい』ってこの子?」

 自分のことを言われていると思い、何とか目を開けて挨拶をする。
 二人の男達だ。太った男と背の高い猿マスクの男。
 マスク? ずいぶん精巧な、本物の猿みたいなものを着けている。

「そうよ、親しくなったの! 女の子同士の会に乱入して来ないでほしいわ! でも彼女はもう帰るから、話なら後にして。そして招かれざる客のあなた達も早く帰ってよ!」
「言うなあ。せっかく来てやったっていうのに」

 太った男がニヤニヤと八頭女史のワンピースを眺めている。何となく不躾な目線に嫌悪感を覚える。

「おい、君、具合が悪いのか?」

 かと思えば、猿マスクの男が心配そうな声で話しかけてくる。

「······ち、がいます。少し酔ってしまって、ごめんなさい、眠たくなってしまって······」
「それなら早く帰ることだな。こんなオバさんのところじゃあよく眠れないだろう」
「うるさいわね! 今は配車してもらってるんだから」

 太った男と八頭女史の言い争いを聞きながら、普通ではないほどの眠気に襲われる。

 ああ、また瞼が開けていられない。
 グラグラと頭が揺れる。 
 酩酊しなから倒れ込み、意識が遠のいてゆく。




 気がつくと見知らぬ部屋で寝ていた。布団の上に寝ているので、誰かがここまで運んでくれたのだろうか。

 私のカバンはどこだろう?
 八頭女史達は?

 部屋を出て少し大きな声を出してみるが誰もいない。ここは和室の造りだ。おそらく奥の平屋ゾーンなのだろう。それなら先程の洋館ゾーンに戻らなければ。
 ウロウロしているうちに長い廊下を通っていると、ようやく使用人らしき女性を見つけた。いつの間にか別棟の彼らの家まで入ってしまったことを恐縮する。

「電車もないですし、このままお泊まりになったらよろしいですよ」

 年配の彼女は、先程案内をしていた男の妻だという。夫婦で八頭女史のお世話をしているんだとか。

「すみませんが帰ります。私が持ってきたカバンはどこでしょうか?」
「お嬢様はもうお休みですが、先程まで日比野様がおられたコレクションルームだと思いますわ」

 一人では到底辿り着けないので、無理を言ってあの怪しげな祭壇のあるコレクションルームに送ってもらう。
 そこでは――八頭女史が亡くなっていた。



  
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