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019 謎の地下室に第二のコレクター⑤
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「では最後に。この方々に何かトラブルがあったと聞いたことはありますか? また男性の遺体には下半身に刃物による損壊痕が見受けられます。あの地下室以外に血痕を見た場所はありますか?」
全員が息を呑んだ。先に質問を受けていた西村課長も驚いているので初めて知ったのだろう。
損壊ということは他殺なのか?
暫し誰も口を開くことが出来ずにいたが、西村課長が絞り出すようにして答えた。
「トラブル······は、分かりかねます。それと、血痕は見ていますが、······損壊、ですか?」
「ええ。鋭利な刃物で男性器が切り取られております。気づきませんでしたか?」
さらにグッと喉が絞まる。
切除されている?
生きている時なのか亡くなった後なのか?
とにかく残酷なことが起きた場所に居るのだと、今はっきり理解した。
「······出血がひどいとは思いましたが、彼の腕に隠れてその部分は見えていませんでした」
「はい、私も気付きませんでした」
最後に敢えて衝撃的なことをぶつけるのは常套手段なのだろう。辛そうな顔をする調査資料課のメンバーは辻堂の放つ言葉に一様にショックを受けていた。
比江島氏は作業台にもたれ掛かって座っているような格好からずり落ちて、右の方から床に崩れていった形で倒れていた。その箇所にも左腕が覆いかかっていたので、よほど近くに行かなければ切除など分からなかっただろう。
辻堂刑事は、手帳を仕舞うと席を立った。
「ではご家族がいらしたら、またよろしくお願いします」
全員が息を呑んだ。先に質問を受けていた西村課長も驚いているので初めて知ったのだろう。
損壊ということは他殺なのか?
暫し誰も口を開くことが出来ずにいたが、西村課長が絞り出すようにして答えた。
「トラブル······は、分かりかねます。それと、血痕は見ていますが、······損壊、ですか?」
「ええ。鋭利な刃物で男性器が切り取られております。気づきませんでしたか?」
さらにグッと喉が絞まる。
切除されている?
生きている時なのか亡くなった後なのか?
とにかく残酷なことが起きた場所に居るのだと、今はっきり理解した。
「······出血がひどいとは思いましたが、彼の腕に隠れてその部分は見えていませんでした」
「はい、私も気付きませんでした」
最後に敢えて衝撃的なことをぶつけるのは常套手段なのだろう。辛そうな顔をする調査資料課のメンバーは辻堂の放つ言葉に一様にショックを受けていた。
比江島氏は作業台にもたれ掛かって座っているような格好からずり落ちて、右の方から床に崩れていった形で倒れていた。その箇所にも左腕が覆いかかっていたので、よほど近くに行かなければ切除など分からなかっただろう。
辻堂刑事は、手帳を仕舞うと席を立った。
「ではご家族がいらしたら、またよろしくお願いします」
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