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018 謎の地下室に第二のコレクター④

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「ここに到着したのは何時頃ですか?」
「夜八時を回ったくらいだったと思います。ここから歩いて十分程のパーキングに駐車していますので、それでおおよその証明になるかと思うのですが」

 これには田代主任が回答する。

「御宅に車を停めなかったのは何故ですか? 駐車スペースもあるように思いますが」
「今は空いていますが当時は奥様の車がありましたし、先方の希望で周囲に気付かれぬよう目立たずに来訪するよう要望がありましたので」
「それは奥様の希望で?」
「いえ、遺言の方です。それで私どもは日が落ちてから参りまして、奥様が自由に確認して良いとおっしゃられましたので、書斎や収蔵室を見させていただいていましたが、まだ所蔵品の持ち出しは行っていません」

 なるほど、と何の感情を受け取れないような様子で辻堂が頷き、手帳に目を通しながら質問を続けていく。

「この地下室のことは故人から聞いていましたか?」
「いいえ、二階の書斎のデスクを調べていた際に、我々宛の手紙がありまして、そこに書かれていました」

 尾崎係長が西村課長に目配せをし、その手紙を刑事に渡す。

「あなた方がここに来たのは八時過ぎ。この地下室を発見して中に男性が倒れていたのに気付かれたのが九時半頃ですか?」
「そうです。すぐに階上にあがり、課長――西村が通報しました」

 先程までの軽さは鳴りを潜め、池上もきちんと答えて行く。彼の真面目な姿を見ていると、本当に事件調査を受けているのだということが現実味を増してくる。今日は色んなことがありすぎて、頭がパンクしそうなのに。

「その時点で男性に息はありましたか?」
「意識確認をしても無反応でしたし、彼のでしょうか、血が随分と多く流れていたようなので······無理なのかと」

 田代主任が後を引き継いで話し、その事を思い出したのか、また肩を落とした。

「あなた方がこの御宅に来てから、不審者や怪しい物音などは聞いていませんか?」
「辺りを見回ったりはしましたが、何も気付きませんでした」

 全員で首を振る。あれだけ用心して周りを見ていたが、そんな気配はなかったように思う。

「あなた方はこの男性をご存知ということですが、この男性は佐山氏と親しかったのですか?」
「同好の士としては親しくしていたのかもしれませんが、私どもにとっては彼らはお客様ですので······。そこまで詳しくは存じません」

 尾崎係長が言うことに私達も同意する。特に私はお顔を見たのは初めてなのだ。それも伝えておく。

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