18 / 131
018 謎の地下室に第二のコレクター④
しおりを挟む
「ここに到着したのは何時頃ですか?」
「夜八時を回ったくらいだったと思います。ここから歩いて十分程のパーキングに駐車していますので、それでおおよその証明になるかと思うのですが」
これには田代主任が回答する。
「御宅に車を停めなかったのは何故ですか? 駐車スペースもあるように思いますが」
「今は空いていますが当時は奥様の車がありましたし、先方の希望で周囲に気付かれぬよう目立たずに来訪するよう要望がありましたので」
「それは奥様の希望で?」
「いえ、遺言の方です。それで私どもは日が落ちてから参りまして、奥様が自由に確認して良いとおっしゃられましたので、書斎や収蔵室を見させていただいていましたが、まだ所蔵品の持ち出しは行っていません」
なるほど、と何の感情を受け取れないような様子で辻堂が頷き、手帳に目を通しながら質問を続けていく。
「この地下室のことは故人から聞いていましたか?」
「いいえ、二階の書斎のデスクを調べていた際に、我々宛の手紙がありまして、そこに書かれていました」
尾崎係長が西村課長に目配せをし、その手紙を刑事に渡す。
「あなた方がここに来たのは八時過ぎ。この地下室を発見して中に男性が倒れていたのに気付かれたのが九時半頃ですか?」
「そうです。すぐに階上にあがり、課長――西村が通報しました」
先程までの軽さは鳴りを潜め、池上もきちんと答えて行く。彼の真面目な姿を見ていると、本当に事件調査を受けているのだということが現実味を増してくる。今日は色んなことがありすぎて、頭がパンクしそうなのに。
「その時点で男性に息はありましたか?」
「意識確認をしても無反応でしたし、彼のでしょうか、血が随分と多く流れていたようなので······無理なのかと」
田代主任が後を引き継いで話し、その事を思い出したのか、また肩を落とした。
「あなた方がこの御宅に来てから、不審者や怪しい物音などは聞いていませんか?」
「辺りを見回ったりはしましたが、何も気付きませんでした」
全員で首を振る。あれだけ用心して周りを見ていたが、そんな気配はなかったように思う。
「あなた方はこの男性をご存知ということですが、この男性は佐山氏と親しかったのですか?」
「同好の士としては親しくしていたのかもしれませんが、私どもにとっては彼らはお客様ですので······。そこまで詳しくは存じません」
尾崎係長が言うことに私達も同意する。特に私はお顔を見たのは初めてなのだ。それも伝えておく。
「夜八時を回ったくらいだったと思います。ここから歩いて十分程のパーキングに駐車していますので、それでおおよその証明になるかと思うのですが」
これには田代主任が回答する。
「御宅に車を停めなかったのは何故ですか? 駐車スペースもあるように思いますが」
「今は空いていますが当時は奥様の車がありましたし、先方の希望で周囲に気付かれぬよう目立たずに来訪するよう要望がありましたので」
「それは奥様の希望で?」
「いえ、遺言の方です。それで私どもは日が落ちてから参りまして、奥様が自由に確認して良いとおっしゃられましたので、書斎や収蔵室を見させていただいていましたが、まだ所蔵品の持ち出しは行っていません」
なるほど、と何の感情を受け取れないような様子で辻堂が頷き、手帳に目を通しながら質問を続けていく。
「この地下室のことは故人から聞いていましたか?」
「いいえ、二階の書斎のデスクを調べていた際に、我々宛の手紙がありまして、そこに書かれていました」
尾崎係長が西村課長に目配せをし、その手紙を刑事に渡す。
「あなた方がここに来たのは八時過ぎ。この地下室を発見して中に男性が倒れていたのに気付かれたのが九時半頃ですか?」
「そうです。すぐに階上にあがり、課長――西村が通報しました」
先程までの軽さは鳴りを潜め、池上もきちんと答えて行く。彼の真面目な姿を見ていると、本当に事件調査を受けているのだということが現実味を増してくる。今日は色んなことがありすぎて、頭がパンクしそうなのに。
「その時点で男性に息はありましたか?」
「意識確認をしても無反応でしたし、彼のでしょうか、血が随分と多く流れていたようなので······無理なのかと」
田代主任が後を引き継いで話し、その事を思い出したのか、また肩を落とした。
「あなた方がこの御宅に来てから、不審者や怪しい物音などは聞いていませんか?」
「辺りを見回ったりはしましたが、何も気付きませんでした」
全員で首を振る。あれだけ用心して周りを見ていたが、そんな気配はなかったように思う。
「あなた方はこの男性をご存知ということですが、この男性は佐山氏と親しかったのですか?」
「同好の士としては親しくしていたのかもしれませんが、私どもにとっては彼らはお客様ですので······。そこまで詳しくは存じません」
尾崎係長が言うことに私達も同意する。特に私はお顔を見たのは初めてなのだ。それも伝えておく。
10
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる