僕の番が怖すぎる。

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三章 遂に禍の神にまで昇華される

僕の母の…その二つ名は『【青】の宝石』…瑠璃。

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 ご覧頂きありがとうございます。
 今回まで百合の告白話です。
 *少しカニバリズム的表現があります。
 ───────────


 ここからの話は幾ら酔いの回った僕でも口が重くなる。 
 少し語る速度を落とし、目の前を見るとこいつの杯が空いているので尋ねる。

「お前も飲んでる?注ごうか?」
「構わん。俺は適当にする。酌も今日は要らん。」

 断られたが酒瓶を手に取り、酒杯に注いでやる。
 こいつは酔わないけれど、僕の話を聞いているだけじゃあ飽きるだろう。

「それ、飲まないなら僕が飲むけど?」

 少しおどけて尋ねてみる。

「全くお前は…頂こう。」

 呆れられたが、僕がさっきまでの重い雰囲気にちょっと耐えられなかった。

 睫毛を少しばかり伏せたこいつが酒杯を手に取り口許に持っていく。
 その仕草は自然でどことなく艶っぽい。

 (こいつの一挙手一投足なんでこんなにエロいの?やんなるなぁ。)

 杯に口を付けて飲み干し、ぺろりと唇を舐めて雫を拭う。
 ちらりと見えた牙に欲情する。

 僕の視線に気づいたのか

「なんだ?物欲しそうな目をしている。」

 などと言われる。

 軽く笑んで「こっちに来い」と言われたが「まだ話したいからいい」と断る。

 本題に入る前に確認する。
 ここからの主人公は父と母たちだ。

「父の事はどれくらい知っている?」
藍青ランセイは有名だ。当代随一の頭脳を持つ切れ者…」

 話す途中で少し目を泳がせるこいつに僕は笑いそうになる。

「……けど、αとは思えないくらいに滅茶苦茶に弱い?」

 父はなんというか本当に情けないくらいなよっちい。
 それで【赤】の当主に馬鹿にされるくらい酷い。
 角は立派で背丈も結構高いんだけど、ヒョロヒョロで筋肉も付きにくいらしい。
 寧ろガリガリの部類だ。
 姉や僕は割とがっしりとした体格で母似だ。
 というか僕ら姉弟で父に似ているのはひとりもいない。
 僕と姉の絶世と言われる顔も母似だし。

 ついでに言うと異母弟は後添えに似ていて父の要素は皆無だ。

 異母弟を入れても僕らの中で一番ひょろくて弱い。それが父だ。

 その代わりと言ってはなんだけれど、物凄く頭が良くて訳がわからないくらいに賢い。
 色んな知恵者が集まっても父の意味不明で理解不能な頭の良さは飛び抜けている。
 なんのことかはわからないけど、姉や菖蒲アヤメ兄様曰く、『知力極振りステ』らしい。

 でも、物凄くクズい。

「まぁ…そうだな。それに少し…Ωメス臭さがあった。初めて会った際に驚いた。」 
「ファッ?!いつの事!」

 そんなのは初耳だが、こいつのメス臭いはちょっと嫌な予感がする。

 (まさかツナみたいなことはないよね?
 いや、でも母様は『小僧、可愛がってやろう。』って言ってたらしいし…
 教えて姉様!どうしよう?!)

「まだ俺が七十を超えたくらいの頃だ。その時にお前の母も見た。
あんなにも美しく強い稀なを見たのはあれが初めてだったな。」
「お前ッ!母様に惚れたのか?!」

 思わず慌ててこいつの襟元を掴む。
 何故か最近はこんなふうにこいつを取り巻くもの全てに嫉妬している。

「ひとのものには興味がない。
以前は番持ちを抱いてはいたが、あれらは罪人で既に伴侶をなくしたものばかりだった。」

 穏やかな声を崩さず、いつもと変わらない泰然とした様子で話すこいつ。
 
「また僕の嫌な事を平然とお前は言うんだから!」
「許せ。それにお前よりも美しいは見たことがないと言っている。」
「はぁ…仕方ないなぁ。」

 掴んでいた手を放すが色々ともやもやする。
 もう昔のことは掘り返さないと決めてるのに、さっきから妙に気になって仕方がない。

 (本当に最近の僕はどうしたんだろうか?
 こんなに嫉妬深い束縛野郎じゃあだめだろう…)

 そんな僕の様子をこいつがじっと見ていたことなど僕は気づいていなかった。

「それで母様はお前から見てどんなひと・・だった?」
「一度だけ、それも遠目にしか見ていないが、お前の父を引きずって歩いているのを宴で見た。」

 引きずって、という表現に引っかかるがこいつの言うことだ本当だろう。
 姉の言うようにどうやらかなり恐妻家であったようだ。

「あの当時【青】の双璧はお前の母と姉だった。
特に母親はその【名】から取られた二つ名がよく知られていた。」
「僕の母の…その二つ名は『【青】の宝石』…」
 
 そして今では皆が口を重くして、決して上ることのないその名前。

瑠璃ルリ。」

 僕は小さく呟いた。
 重宝される宝石と同じ母の名前。

「そうだ。紫を帯びた深い深い青。
尊き宝石と同じ【名】だ。
お前の母は美しくとても強かった。
あれが亡くなったなど俺は今でも信じられぬ。」

 僕を悩ませている問題は父からの誘いで実家に黒が遊びに行った事が原因だった。
 そのことで色々と思い出したり、僕の中に黒いドロドロとしたものが湧き上がって来たのだ。
 さっきからの嫉妬やイライラなぜだかわからない。

 ふと、こちらを見つめるこいつが何かを僕に向けてしたがなんだろうか?
 
 (少し、気持ちが楽になった。これなら話も続けられそうだ。)


 ───実家では僕が生まれたときに植えた庭白百合が毎年このくらいに咲く。

 今年も開花したので、せっかくだから来てはどうかって、そんな文を父からもらったんだ。

 お前も見たかった?
 うーん、今の状態だと難しいかなぁ。
 僕の顕現させたので我慢してくれ。

 はぁ?!そういうことを言うのは睦合っている時だけにしろよな!
 あんまり言うようだとクロの教育にも悪いんだからな!!

 お前も知ってると思うけれど、父は昔から筆まめで文はしょっちゅう送ってくる。
 それにいつも手に入りにくい僕の好きなお菓子を持ってきてくれる。
『お妃様、お加減はどうでございますか?』といつも妙に他人行儀だけど。
【域】で軟禁状態の僕のことをいつも心配してくれていた。

 会うときはいつも居心地悪そうに、僕を見ると辛そうにしていてイライラするけど。

 母は父と会うまでΩとして成熟せず、番になってからも猛烈にオスを誘ったらしい。

 うん、そう、今の僕やお義母様と同じ。

 心配した父は母を僕の様に軟禁して、それはもう大切に大切にしていたらしい。
 姉によると『我はそんな阿呆共など蹴散らすわ!』と母は物凄く嫌がっていたらしいけど。

 そんな色々と怖い母に父は骨抜きで物凄く弱かったらしい。元々弱いけど。
 姉によるとどちらが夫で妻かわからなかったとも言っていたよ。

 僕が物心ついた頃にはもう母はいなくて、姉などから聞いた熱心に母に愛を乞い願い、やっとのことでそれを得て、父が婿入りしたという話を信じられなかった。

 だって後添えと異母弟がいたからね!

 絶世の美貌を持つが、どう見てもオスにしか見えず、可愛らしさに欠け、Ωらしくなかったところ良くなかったんだろうか?

 そう言われてたんだよ、ずっとあの後添えさんに!
 あのクソみたいな異母弟に!!

 …それに祖父母も僕のことが苦手か嫌いだったみたいだし。
 
 母の身分が彼らよりも滅茶苦茶高いから、その生まれからか知らないけど、僕の事をずっと様付きで呼ぶんだよ?

百合ユリ様それはなりませぬ!』とかね。
 もうやりにくいし、なんていうのか大事にはされているんだけど…家族ではなかったなぁ。

 父はそうではなかったけど、気まずいのか別邸…異母弟と後添のとこだけど、そこに行って逃げてたし。
 あの父は見た目によらず物凄く心の弱いひとだから、母や姉の様な気性に惹かれたと聞いたのに。
 あいつらとは全然性格とか何から父の好みから外れるはずなんだけれど。
 やっぱり番にしちゃった罪悪感や義務からなのかなぁ…

 やつらが散々馬鹿にしてくれた母に瓜二つな美貌。
 お前が肯定して喜ぶ、成長した僕のΩっぽさとはかけ離れた姿。
 
 うん…今は僕も気に入っているよ。

 けれど母の苦労や父たちの裏切りによるその悲しみと最期を思うと僕は胸が痛くなる。
『弱く、儚く、美しい』気にしないと決めたけど、まだまだそれに悩まされている。


 父は『発情した薫りに中てられ噛んだ。その時に孕ませた。』と申し訳なさそうに僕に言っていた。

 その時の政敵の策略によるものだったらしいが…

 母が亡くなった理由。
 それは父の裏切りだった。


『発情期のΩメスの薫りにαオスは抗えない。』父は悲しそうにそう言った。


 望まない契りを結び縁付くこともある。

 父や祖父母が僕を家に閉じ込め育てた理由の一つがこれだった。
 絶世の美貌と猛烈なメスの薫りを放つ母に瓜二つなことから、問題を起こさないようにする為にそうしたらしい。

 え?あぁ、お義父様にその一派は粛清されたんだよね。
 母に懸想していた【緑】の跡取りだったΩの男と、父に対抗意識を燃やしていた【赤】のαの男に、【青】の婿になれなかった奴らが手を組んで仕組んだって聞いた。

 後添えと異母弟は一応被害者にあたるから粛清対象から外れたらしいけど…
 あいつらがきっと一番に黒い。
 それは確信している。

 簡潔に言いたいけど、話が飛んだり詰まるかもしれない。その時はごめん。

 うん、ありがとうな。

 それで起こったことだけど… 

 母が僕を身籠っている時に父は後添えと関係を持ってしまった。
 そのうえ噛んで番にまでしていた。
 子供まで作った。

 うん。ちょっとありえないよね…
 なんかね、やつらがさ…妻が妊娠中にそういうことなんて良くあるから許せとか
 こちらの方が魅力的だったとか、まぁ…滅茶苦茶色々と言ってくれててね。

 特に第二子の時はままあるとか、それはもう色々と吹き込んできたんだ。

 それに悔しいけど、異母弟は僕と違いΩらしい可愛さもちゃんとある。
 後添えもΩらしいΩ。

 母や僕とは全然違う。

 ん、やつらの評判などは全然聞いていない?

 そりゃあね。
 ちょっとの良いやつがたらわかるくらいに、彼らはふたり共とても歪で穢れた魂。
 あんなのに惹かれるとかありえないくらいに汚い。
 匂いだって年中発情期みたいに臭っさいの。

 そういえばさっき帰ってきた黒が渋っーい顔をして『あれは臭いです!ありえません!!醜い!!!』とバッサリ切り捨ててたよ。

 え?あぁ、言ってなかったね。

 僕の異母弟が黒の妃になりたいとかほざいたの。

 ありえないよね?

【四家】の候補者で【青】からは乳兄弟で妃候補として既に教育中のクリも居るのに。
 異母弟はΩで発情期近くなのに近づき、やたら積極的だったらしいよ。

 切ってやりたくなる!

 ん?なんでお前がビクッてするんだよ。

 家出の際に一度帰った実家だけど、その時に驚いたのが父があいつを後妻として娶り、そのうえ僕よりも一歳程歳下のクソみたいな『弟』も実家に居たことだった。

 元々、小さな頃にその存在について知らされていたし、たまーに会うこともあった。
 普段は別邸に住んでいるんだけれど、妙に僕に絡んできて僕が虐げたとかいじめるとか言うアホだよ。
 勝手に僕の部屋に入ってきて、僕のお気に入りのものを強引に奪い取って行くんだよ?
 自分は読めもしない本とかあるのに。
 ホントに頭もお花畑かってくらいに湧いているんだ。

 それを姉が咎めてそれでも反抗するから、僕のものには姉が秘印ルーンを刻む様になっちゃったね。

 あいつは当時大学寮に通っていたから、そこで僕が虐めたとかそんな事を吹聴したけど、僕が実家に軟禁の後、お前に嫁いでいたのは有名だから、誰も相手にしていなかったらしいね。

 学生たちはお前の粛清が怖いからって窘められて『皆から怒られたのはあんたのせい』だとか喚いて逆にキレてるし。

 ちょうどその頃は家出で実家に帰ったときだったから、異母弟は『なんで学校に通わないワケ!バカなの!アンタがいないと始まらないのに!!』とかも言って罵倒してくれたんだけれど、
 僕はそんな所に通わなくても大体の教育は茨木イバラキとお義母様によって終わっていたし…
 そもそも僕は十二の夏にお前に嫁いだしね…
 子供も産んだ妃が学校に通うなんてありえないからね?

 あいつは、アホでそのことを知らなかったみたいなんだよね…
 黒を連れてるのを見て『やっぱりビッチだ!あはは…父親とかわかんないでしょ?』とかわけわかんないうえに失礼でムカつくこと言うし。
 僕がお前の妃だって知っても滅茶苦茶無礼な態度は変わらないし、マジに僕の従者に始末されないか不安になったよ……僕が。

 でも、以前僕の部屋から持ち出したものが、学校で呪いの媒体になったりしたらしくて、僕がやったとか言われたんだ。

 ん?誰が聞いても無茶のある論法で自滅してたよ。

 一応、刑部おさかべ省の方からゲンジが来たけど、僕を一目見るなり『姫様ではありませんね』で終わったし。

 異母弟はなんかギャーギャー言っていたけれど。

 ん?僕はお前に嫁ぐまでの呪詛は知らなかった。

 僕は耳長エルフ魔術セイズには詳しい。
 姉が詳しいのも元は母から教わったからだと思う。

 秘印ルーンはそれほど得意ではないけど、それによる占いと予知は出来るよ。
 でも、一番得意なのは【 呪いガンド [gandr]】。
 これは才能があったみたいで、小さい頃はお前の【しゅ】みたいに癇癪でたくさん乱発していた。
 姉に叱られて腹が立つときは『手をあげて指を差すなら、代わりに殴りなさい』って言われた。
 だから僕が喧嘩っ早くて手が出るのはそのせい。
 なんでそんなふうに躾けられたのか不思議だけれどそうなった。

 異母弟から何度も『アンタは復讐に燃える呪詛姫。そのはずなのになんで?!』とか訳がわかんないことを何度も言われてたからそれ対策だったのかも。

 そうなんだよ…異母弟は父の子とは思えないくらいに頭が悪いし、湧いてるよね?

 でも、本当にの呪詛は知らなかったんだ。
 お前やお義母様に教えてもらうまで。
 逆に知らなさ過ぎて吃驚されたよ、お義母様に。

 あぁ、【指切りげんまん】は【 呪いガンド [gandr]】だよ。
 ちょっと鬼の呪詛とは違うから驚いた?
 あれは僕やお前の意識がなくて寝てても履行されるんだ。
 前にしたのは【血吸ちすい】でボコるから僕が元気じゃないと無理だけど。
 
 それから異母弟は何でもひとのもの、というか僕のものを欲しがる。
 父の愛、それからきっとお前や黒も。
 だから注意してくれ。

 うん。信じているけど怖いんだよ。

 それにしてもさ…孫の妃に僕の弟、母親の異母弟をすすめるとかありえないだろう!
 何考えてんだ!!

 どうやら黒はαで確定ということはそれで分かったけど、やっぱり許せない。

 あの子はさ、孫に対してそんな事をする息子を擁護し、無礼な振る舞いをする妻も放置する祖父に呆れてしまい、何も言えなくなったそうだよ。
 そんな祖父たちに早々に見切りをつけたって、さっき帰ってきてすぐに僕に言った。

『あれでは近々、父上に処分されるでしょうね。
もしくはお祖父様が動くかもしれません。』って。

 (まだまだ甘えん坊なところはあるが、それは厳しくスメラギになる為の教育をしっかりとされている。)

『それとも…私にそれをさせるのかもしれませんね。』とも言っていたよ。

 うん、あの子はしっかりと育っている。
 次期皇として安心できるよ。
 でも僕はそんなのまだ先で良かったのになぁって思っている。

 僕はあの子にそんなことをさせたくない。
 既にお前が狩りに連れて出ているし、罪人の処刑なども経験済だけど…

 (こいつの様に兄弟などの身内を裁くことはまだしていない。)

 お前はもっと幼い頃からやっていた?
 確かにお前はそうだろうけど…あの子はすごく強いけどまだ『ヒト』だし、幼いし…

 (強い意志の宿った金色の瞳は義父と同じく、あの恐ろしく怖い支配する者の目になっていた。)
 
 (甘えるのも泣いたりするのも僕とこいつの前くらいで、普段は我慢強く意地っ張りだ。
 外面が良く体裁を保つところも僕に良く似ている。
 家出の時は父たちにも懐いていたから悲しく思う。)
 
 ん、ああ、母の話なのに話が飛んでごめん。

 そんなに嫌ならやめるか?
 いや、どこかで話して理解してもらわないといけなかったことだから。

 うん、よし…

 あのさ…母が亡くなったのは気を病んだから。

 番に捨てられたΩって結構な割合でそうなるよね?
 そう、お前が後宮で囲って抱いてた奴らにもいたと思う。

 うん…そうだね可哀想なことになる。
【血の伴侶】の【華】の枯れた奴らも本当にそうだよな…

 母は後添えが身籠ったのが分かってすぐくらいからおかしくなった。
 異母弟は僕より半年程年下。
 僕はよく生まれたなぁ…って感じでなんとか生まれたよ。

 父親の精が足らなくてね…
 母が同衾を拒んだかららしいし、絶食もしちゃって本当に危なかったらしいよ。
 産み月の一月ほど前だったから、まぁ…なんとかなったみたいだけど。

 でさ、気が触れた母は自分のお腹を裂いて…胎、子供を宿して育てるそれを引きずり出して……


『要らぬ!』


 って叫んだらしいよ…

 もう壮絶で物凄い惨状だったんだって……

 狂気としか言えない顔で笑って、それでさ……

 引きずり出した自分のそれを喰らっていって、それで…………

 止めようとするも母の力に気圧されてみんな動けなかったって。

 今僕がここにいるからわかる様に、なんとか僕は回収出来たらしいんだけど……………


 溢れ出てきた母の赤い血と臓物、それに長い銀色の髪が凄絶なまでに美しかったとも言われたけど……

 そんなことよりも生きてる母の姿を知りたかったよ。

 母の気位の高さは良く知られていたけど、その最期の時まで変わらなかった。

 そう、母はもうすぐで至るくらいの資格もあって、完全な不老不死も目前だったけど、父の精神の脆さが心配で【血の伴侶】も結んで無かった。
 それもいろいろと言われた事だよ。
『我と共に歩むにはあれは脆すぎる』ってずっと姉に言ってたらしいし。
 父は未だに後添えとは結んでいないから、良かったとは思うけど複雑だな。

 長く長く生きて、随分熱心に頼みこまれて【青】に来てくれたのに。
 父と出会わなければΩとして成熟することも、その性を受け入れ認めることもなかったのに…
 漸く出会った『運命』に裏切られて激昂して………
 
 後はまぁ…誰も教えてくれなかったけれどなんとなく想像はつくよ。

 結局、全ての事が終わって父が駆けつけたときにはもう母は亡くなっていて、生まれたばかりの僕だけだった。   
 母の召使いや従者たちは血の海に卒倒していたり、事切れていて未だに語られるくらいの凄さだったらしいね。
 姉も当時はアルフヘイムにずっといたから駆けつけたのも母がアルフヘイムに帰る時…
 アルフヘイムから母の妹達が母を引き取りに来てしまったから、お墓とかもこっちにはない。

 なんとなく触れてはいけないことみたいで、未だにお墓も母の話もそんなに聞いたことないから

 姉がたまにしてくれる話とあいつらの言う事からしかよく知らないんだ。

 僕の【名】付け?誰がしたのかは知らないな。
 お義母様ではないって前に言われたし…

 母のはずはないからね…僕を拒んだから。
 ほんと、誰が付けてくれたんだろうね?
 母並みに強い力の持ち主でないと無理なはずだから、お義母様以外には思い当たらないんだけどなぁ…

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