僕の番が怖すぎる。

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三章 遂に禍の神にまで昇華される

朱と瑠璃と紫

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 ご覧頂きありがとうございます。
 朱点視点、朱点が百合に襲われます。
 ───────────


 (やられた…)

 悪態をつきたくなる忌々しさだ。 

「僕の【名】付け?誰がしたのかは知らないな。
 お義母様ではないって前に言われたし…」

 俺からの質問に悩み考え込むお姫様。
 腕を組み顎に手を当て頭を傾げ「うーん」などと呟いている。

 その顔はかなり酔いが回ったのか赤くなり、重い話をしたあとにも関わらずニコニコと笑っている。

 (カラ元気なのかもしれんな。)

 こいつはなかなか本心を語ろうとしない。自分の弱い面を見せたがらない。
 そこは俺とも似ているが、違うのはそれを守らなければ壊れてしまいそうなほどに脆いところがある。

「母のはずはないからね…僕を拒んだから。
ほんと、誰が付けてくれたんだろうね?」

 笑顔から一転して悲しそうに目を伏せ俯く。
 普段は無邪気で明るく生意気なこいつが弱る時、俺はどうすれば良いかわからなくなる。
 抱擁して口づけたり、抱いて蕩かす他に話題を反らしてやったりする。

 だが今は、先程思い出したばかりのことを追求したくなった。

「本当に誰からも聞いていないのか?
通常は魂の名である【真名まな】を知る者は母親か、母上やお前の様な地位にいる者のみだ。」

 (俺を欺くほどだから他にも色々と仕込んでいそうだが…)

「僕の母並みに強い力の持ち主でないと無理なはずだから、お義母様以外には思い当たらないんだけどなぁ…」

 (やはりあれの手のひらの上で踊らされているのか?腹立たしい。)

「………そうか。」

 俺の杯に再び酒が注がれる。

「もっと飲むだろ?」

 注がれた琥珀色の蜜酒。
 黄金にも似た色合いのこれは自分の片目や息子、父の瞳にも似た色合いをしている。

 (渡されたこの蜜酒ミィオードに仕掛けられでもしたのか?
 あの時どこまで未来さきていた?)

 酒杯を傾け飲み干す。

酒呑童子シュテンドウジ】の名を得てから少しは味もわかるようになったが…

 やはり殆どわからない。

 (それともお姫様と俺がこの話題をしたことが鍵となったのか?
 俺を欺き魔術を掛けるなどやってくれる。)

 ニコニコと機嫌を良さそうにしながら、酒瓶を抱えたお姫様が俺の胡座の上に乗り、首に腕も絡めてきた。

「なぁ、朱天シュテン……可愛がってくれる?」
 
 可愛らしく微笑み俺のモノの上に尻を押しつけ腰を揺らし淫らに誘う。

 (いつもの様に興に乗ってきたな…)

「俺のお姫様、その望みのままに。」

 最愛の腰に手を回し、右手に抱えている酒瓶を取り上げる。

 (こいつは酒ぐせが悪く、なぜか最後には俺を抱きたがる。
 これ以上飲ませたらあとが大変だ。)

「ヤダ!まだ飲みたいのに!!」
「お前は…可愛がらなくて良いのか?」

 (今は発情期でもないし、最近の俺は不思議とそんな気にならんので勘弁だ。)

「それもヤダ…このイジワルさんめ!」

 俺に向かい軽く指差し呪いガンドを「メッ!」っと飛ばすので弾く。

 (これも酔ったこいつの厄介な癖だな…)

 頬を膨らませ子どもの様に拗ねる姿にはじめて会ったその日の記憶が蘇る。

「代わりに俺の血をやるから我慢しろ。」
「うん!お前のやつが一番好きだ。ねぇ、朱天…」

 ニコニコと機嫌良く笑い嬉しいことを言う最愛。
 酒を諦めたお姫様が俺の耳元で囁く。

「お前のでっかいちんちんが僕は欲しくて仕方がないんだ…可愛がって……」
「構わん。運ぶぞ。」

 お姫様を抱え、褥まで運びながら先程からより鮮明になってきたそれを思い出す。


 ◆◆◆


 ───それはいつもの狩りの帰りの時だった。

 以前見かけた気高く尊い、紫を帯びた深い深い青の魂が消え逝こうするのがえた。

 それに俺を呼ぶ弱く小さな声もこえた。
 
「……お前たち先に戻れ。」

 従者たちに帰還を勧める。

 普段なら気にも止めず欲求と飢えを治める為に、そのまま囲っているやつらのところへ行くか、自分の部屋へ帰っていたはずだった。
 
「若?」「「「「どちらへ?」」」」

 気になりはじめたそれ・・に意識を向けた俺はやつらに返答などしない。

「「「「「…御意に。」」」」」

 そう述べて去っていく従者たちを気にも止めず、それ・・の元へ急いだ。


 遠くから聞こえてきた鳴き声。

 ──そこへ跳ぶ。

 死の気配の濃い血の香り。

 ──そこに駆けた。

 辿り着いたそこで………


 血の海に蹲る銀色の塊を見つけた。


 どうやらここは【青】の家の庭先のようだ。
 起こった惨劇と使用人や召使い、眷属の姿が見えぬ事に違和感を覚える。

 (──の家だな。そういえばあいつは伯母上のところに行って以来帰ってこないな。)


 ───この世界では産褥などで亡くなる者も、生後すぐ死ぬ赤子も無数にいる。
 鬼の親子では少ないが人の子も獣などでもそんなものは掃いて捨てるほどにある。

 ただ、その時は失くしてはならない、かけがえのない何かがこぼれ落ちる…そんな焦燥感が芽生えていた───


 落ち着かない心のままにそれ・・の元へと急ぐ。

 それ・・に近づき、その周囲を見回す。

 赤い池の周りにはそれ・・の母親の従者などが多数、事切れ死んでいた。
 主人が命を断ってしまい眷属の呪いが解かれ不死でなくなった為だろう。

 それ・・の声に気を取られ足が何かを蹴った事に気づく。

 牡丹の【華】母親の心臓が転がっていた。

【華】を捨てたうえに命を断った故に、駆けつける者などがおらず異様に静かな事に納得した。

 (まだ事切れていないところを見ると至りかけているのかもしれんな)

 その【華】は宿っていた主の血の海に根付き、そこからさらに咲こうとさえしている。
 だが、主の体から離れたことにより既に呪いの力は失われているようだ。

 老化し骨さえ残らず塵となったもの、虫の息で耐えているものなどもいるが…
 もう間もなくそれも失われるだろう。

 銀色の塊が抱えるあまりにも小さすぎるそれ・・
「ほぎゃあ…」と弱く泣く声に胸が張り裂ける様なそんな気持ちになる。

 弱々しいそれ・・は今にも失われそうだった。

 産まれてすぐに与えられる母親の血や【名】すらも与えられていないそれ・・

 (俺の血を与えればいけるか?)

「腹が減っているのか?」

 子を持たぬ俺には赤子の欲するものはわからない。
 幼い頃から他と違うものばかり欲した俺はそれしか知らない。

 産まれたばかりの赤子は未だに浄められず、母親との繋がりも断ち切られておらず、産声だけを弱々しくあげている。

 赤い池に広がる銀の髪と臓物。
 歩を進めるたびにピチャッと跳ねる赤い飛沫を気にせず俺はそれに近づいた。
 決して離そうとしない銀の塊から、赤子を救いあげようとした。

「…【ならぬ】。」
 
 銀色の殻を纏った…尊き紫の帯びた青の魂は、掠れ弱々しいが恐ろしく強い力の籠もった声で、俺に言った。

「これは生きていてはならぬ…辛い思いばかりし、酷い運命しかない。
我は母としてこれと共に逝く。」

 絞り出される強い決意に満ちた苦しい言葉。
 俺にはよく理解できず衝撃的な言葉だった。

 今まで母というものは、他とは違いすぎるこんな自分でも受け止め、思い切り甘やかす自分の母。
 主人の子であるが、自分をしばしば襲い貪る様な化け物でも慈しんでくれた茨木イバラキの母。
 四童子の妻たちも授かった子を大変可愛がっている。

 俺が知る者は少ないがそんな子を慈しむものしか周りにいなかった。

 鬼はとても子が出来にくい。
 だからこそ生まれた子を大事に大事にする。
 それは他者の子であったとしてもだ。

「垣間た未来…それに我は耐えれなんだ。」

 間もなく命の灯火が消えそうな母親は苦しそうに語る。

 だが、もう既に俺は見つけたその命を失うことなど考えられなかった。

「俺も相当に酷いものを背負っているそうだが、母は諦めなかった。
父も愛してくれた。
他にも愛を与えるものがいる。
俺が愛を与える『運命』もどこかにいる。
…きっとその赤子にもいるだろう。」

 当時の俺は未だに見つからぬ『運命の番俺だけのお姫様』を諦めていた。
 そのはずなのに何故かそんなことが口から出てきた。

 俺の言葉に驚愕する尊き魂。
 己の血と臓物に塗れ虫の息のそれは悲痛な声で話す。

「この子に愛を与えるものがいる…?
これは全てに嫌われ憎まれ全てを呪う…そんなものになる。
我は…この子をそんなものにしたくない…」

 既に限界を迎え今にも消えそうな尊き青の魂は俺に答えた。
 青に近い紫色の瞳から涙が溢れていた。
 抱え込まれた小さな命。

 母親からの強い…締められる様な抱擁に苦しいのか「ほぎゃあほぎゃあ」と泣く。
 生まれたばかりのそれは、俺が生きてきた中でも屈指の美しさを持つ、気高く貴いを持っていた。

 とても誰からも嫌われ、憎まれるようなものになるはずもない魂。

 それに触れたい…
 それを手に入れたい…


「お前が与えぬのなら、俺が今与えてやる。」


 (母親がそれを見捨てるのならば俺が拾い上げてやる)

 不意に口から出た言葉。
 思いもしなかったその欲求。

 抱え込まれた赤子の額に手を翳した。

「な…に、を?!」

 静止する声も耳に入らず、それをじっくりと定める。

 目の前にはくしゃくしゃの顔で血や汚物に塗れたままの赤子。
 だが、俺には何故かとても愛しく思えた。
 いつも俺を蝕む耐え難い飢えも渇きもその時は消え去っていた……
 
 言祝ぎを赤子に与えるために言葉を紡ぐ。

 ──アカの名のもとにその名を与える。──


 (お前に相応しく美しい【名】を…)


 中指の先を赤子の額に付け、【祝福】を与える。


 (俺の感性は酷い…だが、お前にはこの名しか思い浮かばん。)


 ──『ムラサキ』──


 その小さく清らかな魂に愛を与えた。
 とても稀などれにも属さない、二つの色を綺麗に等しく同じだけ持つ魂。

 【紫】が産まれた。

 俺を見て驚いている母親たる尊き青の魂。


「この子の名は『ムラサキ』だ。
もう既に俺が愛を与えたぞ。
母からは二度とするなと言われていたのを違えたが。」

 母の仕置きは父のものよりもえぐい。
 後に血や肉を与え甘やかしてもらえるが、最中は辛くて堪らないものだ。

 これがバレれば茨木イバラキに授けた時の何倍もの辛い仕置きをされそうだ。
 土下座をさせられ『アカ…お前はねぇ…こんの、アホッ!』と叱られる。
 そんなふうに怒る姿が目に浮かぶ。

「これはやられた…ははは、あははは」

 母親は狂ったかのように笑い出した。

「何がおかしい?」

 相当におかしな状態であるが母親からは先程までの悲痛なものは消えた。

「この子の未来さきは変わった!
意図せず本来の時より早うに生まれたことで【華】も変えた。
【名】も【華】も…もう【黒百合クロユリ】ではない……
それにお前はこの子の……ふふふふ、あは、ははははははは…」

「なんだとうとう狂ったのか?」

 あまりにもおかしな態度に俺は思わず尋ねるが、帰ってきたのは拍子抜けするようなこと。

「いや…良い。だが、もう我もこの子も限界だ。
せっかく【名】を与えてもろうたのにすまぬな。
しかし、腹が減った…あぁ、つらいのぅ…もうすぐで我は死ぬなぁ…」

 全くそんな事など思っていない様な、俺がこれからそれを与えるのが当たり前かの様な、催促する様なそんな調子で呟く。

 血もかなり流れ心臓も失い瀕死の状態。
 だが、先程までの親子で心中しようとしていたそのような気配はもうない。

【名】を与える前に癒やしてやろうとしていたことを忘れていた。
 この様に何かに夢中になりそれを忘れてしまったり、没頭することなど俺はほぼない。
 常にはない自分のおかしさに驚きながらも親子を救うために動く。
 手首を噛み切り母親の口許にやる。

「すまんな、忘れていた。ほれ俺をやる。好きなだけ持ってけ。」
「皇子の血を貰うなど畏れ多いな…」
「そうなどとは微塵も思っていなさそうだが?」
「ははは…言うな、小童こわっぱ。」

 俺は自らが渇き飢えるまで母親と赤子に血を与えた。
 生まれたばかりの『紫』も赤子とは思えぬほど俺を欲しがった。
 それを見ていた母親はにんまりとしていた気がする。
 
「ここまでされたのなら我は死ねぬ。紫もな。
感謝する月の君の子。
また会う時には恩を返そう。」

「構わん。子を大事にしてやれ。」

「そうじゃのう!大事に大事に育てんとならんな。のう紫?」
「もう無茶をするな。家人を呼ぶぞ?」
「これはとても美しく育つぞ。きっとお前好みだ。」
「そうか俺は腹も減ったし帰る。」

 腹も限界になった俺は足早にその場から立ち去ろうとした。

「なぁ婿殿よ?」
「なんの事だ『【青】の宝石』殿?」

 ───やつは口角を上げ笑い、俺に向かい指を指して何かを描き、秘印ルーンの魔術を使った。

『【 イス[停滞]】!…この出会いは【時期が来るまでは忘れていろ】。』


 次に気づいたときには囲っているやつらのところで。
 渇き飢えた俺はやつらを抱いてその身を貪り、喰らい、その後自分の部屋に戻って寝た。

 (ずっとそれを忘れていた…)

 その出来事を先程思い出した。

 (全くあの義母はやってくれる!)

 歳を経た者の悪質さに俺は悪態をつきたくなった。


 ◆◆◆


「ならん!」
「もう!可愛がっても欲しいけど、お前も可愛がってやりたいの!!」

 しがみついていた手が離れたかと思うと、強引に俺を床に押し倒した。

「ふふふ…朱天くーん、僕が可愛がってあげます!」

 上から俺を見下ろす鍛えられ程よく筋肉のついた身体。

 (大きく成長したお前はΩの中ではかなり大きく、オスっぽさまである。
 それは俺がそう願ったからだろう。)

「お前も発情期じゃないし、いきなりは苦しいだろうから先にこっちから可愛がってやるよ。」

 (俺のその時の熱を鎮めるのはお前にしか許さない。
 お前の嫌うΩの美徳なんて俺には意味がない。)

 (だがな…俺が可愛がってやるはずだったんだが、どうしてこうなった?)

 切れ長の銀色の目。
 サラリと落ちてくる銀の髪。

 (虹色の煌めきを放つこれが俺は好きだ。)

 銀色に輝く俺の片目と同じ色の目に俺が映る。

 (それを見るのがどんなに嬉しいかお前にわかるだろうか?)

 少し、メスの気持ちになるこの瞬間もあの時は分からなかった。

 胸の中心にある【庭白百合】は今日も俺の【青薔薇】と絡み咲いている。

 (これが元は【黒百合】になるはずだったとは…)

 中身も気高く近寄り難いほどに美しいが、容姿容れものも負けす劣らず素晴らしい。

 厚みのある唇を俺の【華】に口づけてから、俺のお姫様は大好きな俺のモノを扱き、舐める。
 俺を扱きながら好きなように弄ぶ。

 色のある視線を寄越し、相変わらず生意気な言葉を俺に放つ。
 
朱天シュテン。僕の運命、僕の番。
どうして欲しい?お前の好きなようにしてやるよ。」
 
 そう言うとまた俺のモノを舐めだした。
 上半身を起こして、俺のモノを弄ぶお姫様の髪を漉き、頭を撫でる。

 近くで薫る、最愛の俺のお姫様の香り。
 それがさらに俺を昂ぶらせる。

 (どんな姿でも良い、ただ側にいてくれれば。
 それだけで俺はこんなにも歓びに溢れる。
 あの時お前に愛を与えたことを俺は今まで忘れていた。)

 鈴口を舐め、さらに扱き玉袋もそこに浮かぶ筋などもじれったく舐めあげていく

「あ、んん、佳い…」
「ぅん、僕はえっろいお姫様だからこれが大好きなんだよ…」

 ソレから口を離して嫣然と笑う。

「出来れば俺のモノとお前のモノを合わせて扱き、果てるのが良いが?」
「お前が散々可愛がってくれたから、それは僕には快感が強すぎて苦手だからダメッ!」

 硬く大きく勃ち上がった俺のモノを扱きながら不安そうな顔をしている俺の最愛。

「お前を可愛がろうと思ったけど、見てたら我慢出来なくなってきた…
このでっかいやつは気持ちいいから困る。
無理かもしれない…いや、出来るか?」 

 お姫様はこう呟いた。

「それなら俺が可愛がってやろう。」
「ちゃんと慣らして、ほぐしてから挿れて来いよ。
お前は性急に求めてくれるから、いつも最初は滅茶苦茶痛んだぞ。」
「それも好きだろう?」
「僕を変態みたいに言うな!」

 怒るがすぐに笑い、抱きついてきた。
 俺の【華】に鼻を寄せその薫りを嗅いでいる。

「あぁ、芳醇な薔薇の匂いだ…」
「俺にはお前の清らかな【庭白百合】の甘く、濃厚なその薫りも好い。
それはどんな美酒よりも俺を酔わせ狂わせる。」
「あいつらとおんなじならイヤだ……」

 ポロポロと涙を流して情緒が安定しない。

 背中に手を回し撫でて慰めてやりながら
 押し倒した俺のうえに乗り抱きついて、未だ心臓に鼻を寄せているお姫様に伺いをたてる。

 (お姫様の一番に好むのは組伏せ、俺の【しるし】から血を飲むこと。
 偶に耳を噛んでやると悦び達する。)

「お姫様、可愛がってやる。前からか?後ろからか?どちらが良い?」
「う…うしろから…それから噛んで。それで飲んで…」
 
 体勢を入れ替え解すのもそこそこにナカに挿れていく。

「はうぅ…ァあ、あ、ん…ンン…」

 すっかり俺の形を覚えたそれは蜜を溢し簡単に俺を受け入れる。
 数度ナカを撫でる様にしてから抽挿をはじめる。

「ァあ、ん、…あああ…、ソコもっと…きて、でっ…かいの、で、かわい、んん、がってぇェッ!!」

 身を捩り俺を咥えこんで離さない熱く濡れそぼったナカ。
 腰から尻にかけてのまろい線を軽く撫でてやる。

「ふ、ぁああ…ん、ん……もっとぉ…」

 まだまだ物足りなさそうなのでこれが嫌がるが身体は悦ぶ陰茎を扱いてやる。
 鈴口をなぞり汁を零す可愛らしいそれを奥を突きながら可愛がる。
 次第に耐えられず精を吐き出そうとするところを根元を締めてやり止めてやる。

「ゃ、やぁ…ゃめぇてぇ…!イ、かせて、ッ!もう、む、り。…ダメぇ…」

 組伏せた身体を大きく反らせ啼き声をあげる俺の最愛。
 ナカを強く締め付けなかなかに佳い。
 ひくついたナカはより昂ぶった俺の形にも馴染んでいる。

 (こんなにも求めるのに貞淑で俺しか知らない。)

 淫らに乱れ、その入り口は俺を受け入れているのに、まだ蜜を溢して足りないと誘う。

 これの望む場所付近を軽く咬んでやる。

 一番の場所へはお強請りをしてからと決めている。

「牙、き、……ばッ!噛んで噛んで噛んでかんでかんでかんでかんでかんで!!!」

 今日は乱れるのがはやく、正直にその望みを叫ぶ。

 そんなお姫様の背中や項に口づけを落とし、緩く食み噛んでやる。

「ん、ぅん…あッ、もっとぉ!」

 自らも腰を振ったりしてさらに俺を誘う。

「はやく!噛んで!かんで、かんでぇ…かんでッ!!」
 
 その求めに応じて啼き声をあげる真っ白な首に牙を突き立て…

「ゔあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 俺のつけた【しるし】から吸い上げ、ナカを緩く突いてやる。
 そこからは俺の匂いも混ざり、それが堪らなく愛しい気持ちにさせる。
 想いが溢れ気ままにその血を慾り啜ってしまう。
 お姫様の体をさらに慾り、その後も何度か果てさせ

「俺のお姫様、俺の子を孕み産んでくれ。」

 限界の近くなった俺は最近また息子から強請られるそれを尋ねてしまった。
 その言葉と同時に俺も達する。

 しまったと思ったが遅かった。

「ふぁッ?!お、まえは…さっき言ったことでわからなかったのか?!」
「すまん。つい箍が外れて言ってしまった。
クロの望みを叶えてやるのはまだ先になるな。」
「……………ゴメンな。」

 とても申し訳なさそうに話すお姫様に俺のほうが申し訳なくなる。

「お前の心が落ち着くまで待つ。いくらでもその時間はあるからな。」
「うん。ありがとう。」
「最低でも六人、でもお前の子なら何人でも欲しい。」

『アレ』との対決の為と鬼族の未来の為に、六色の魂の子は必ず必要だ。

「うぇッ?!そんなにぽんぽん産めるか!!」
「許せ、だが役目の事もある。苦しいなら引き受けるぞ。」
「だからそれも困るんだって!!!」
 
 あの時はこんな仲になるとは思わなかった。
 なんだかんだであの義母に俺もこいつも嵌められたんだろう。

 気は進まぬがこれから先に起こることを俺もる必要が出てきたんだろうか?

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