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番外編
リリーの初恋
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「アリシア義姉様?ちゃんと聞いてくださってますか?協力していただいてこんなことは言いたくはないのですが、アリシア義姉様にそのような対応はされたくはないのですが?」
可愛らしい唇を尖らせてアリシアに抗議の声を上げているのは、オルフェウスとの結婚により義妹となったリリーである。
リリーがアリシアとオルフェウスの婚約解消事件の時にいたオルフェウスの護衛騎士に一目惚れをしたのは事件の帰り、彼がリリーをエスコートして馬車に乗せた時だった。
差し出された手に自分の手を重ね、お礼を言おうと彼を見た瞬間、リリーの中に雷のような衝撃が走った。
夜闇色の髪に銀色の瞳の凛々しくも逞しい騎士様はご令嬢たちの憧れの的で、リリーもまた例外ではなかったというわけだ。
以来、王城での王女教育の度に彼を目で追う日々。
だけど彼は騎士、リリーは育ちや表向きの肩書きはともかく、実際は国王の血を分けた王女。
身分的な問題は火を見るより明らかで、だけどそう簡単に諦めることもできず、それならせめて気軽に会話ができる程度の仲になれればとアリシアを通してオルフェウスから情報をもらい、作戦を練っては恥ずかしさや照れに負けて実行できず、結局見つめるだけの日々を送っていた。
そして現在。
リリーの意中の彼、クロードがオルフェウスに最近やたらと視線を感じると言っていたという情報を得て、蒼白になりながらあーでもないこーでもないとアリシア相手に必死に弁解をしているのだが…
アリシアにしてみれば「自分に弁解されてもねー?」なので適当に相槌をうちつつ今日も今日とて呆れたようにリリーの相手をしていた。
が、リリーとてアリシアとオルフェウスのいろいろを知らない訳ではない。
むしろ自分のお陰で今の仲睦まじいアリシアとオルフェウスがあるといっても過言ではないと思っている。
なのでリリーは呆れ顔で適当に自分の相手をしているアリシアに文句を並べ立てているという訳だ。
が、そんなリリーにアリシアは
「はいはい、その節は大変お世話になり、今も心よりありがたくは思ってますよ?ただ私がどんなに協力しても、あなたがあまりにも長い間見ているだけなのでつい」
と言って大きくなったお腹を撫でながらホホホとお上品に微笑んだ。
既に臨月に入ろうとしているそのお腹は見てるだけでも実に重そうだ。
そう、現在、アリシアは第一子を妊娠中なのである。
リリーはそんなアリシアを微笑ましく、だけどどこか羨ましそうにしながら「でも」「だって」と言い訳を並べ、アリシアはそんなリリーに可笑しそうに、でも優しく微笑んでいた。
そして数十分後、少し離れたところから声が聞こえてオルフェウスがアリシアのお迎えに登場する。
そしてそのオルフェウスにはもちろんリリーの想い人が付き従っているわけで…
リリーはハッとしたように今まで尖らせていた唇を元に戻し、ポッと頬を染めて俯きつつもクロードに見つからないように視界の端で一生懸命その姿を脳裏に焼き付けるのであった。
可愛らしい唇を尖らせてアリシアに抗議の声を上げているのは、オルフェウスとの結婚により義妹となったリリーである。
リリーがアリシアとオルフェウスの婚約解消事件の時にいたオルフェウスの護衛騎士に一目惚れをしたのは事件の帰り、彼がリリーをエスコートして馬車に乗せた時だった。
差し出された手に自分の手を重ね、お礼を言おうと彼を見た瞬間、リリーの中に雷のような衝撃が走った。
夜闇色の髪に銀色の瞳の凛々しくも逞しい騎士様はご令嬢たちの憧れの的で、リリーもまた例外ではなかったというわけだ。
以来、王城での王女教育の度に彼を目で追う日々。
だけど彼は騎士、リリーは育ちや表向きの肩書きはともかく、実際は国王の血を分けた王女。
身分的な問題は火を見るより明らかで、だけどそう簡単に諦めることもできず、それならせめて気軽に会話ができる程度の仲になれればとアリシアを通してオルフェウスから情報をもらい、作戦を練っては恥ずかしさや照れに負けて実行できず、結局見つめるだけの日々を送っていた。
そして現在。
リリーの意中の彼、クロードがオルフェウスに最近やたらと視線を感じると言っていたという情報を得て、蒼白になりながらあーでもないこーでもないとアリシア相手に必死に弁解をしているのだが…
アリシアにしてみれば「自分に弁解されてもねー?」なので適当に相槌をうちつつ今日も今日とて呆れたようにリリーの相手をしていた。
が、リリーとてアリシアとオルフェウスのいろいろを知らない訳ではない。
むしろ自分のお陰で今の仲睦まじいアリシアとオルフェウスがあるといっても過言ではないと思っている。
なのでリリーは呆れ顔で適当に自分の相手をしているアリシアに文句を並べ立てているという訳だ。
が、そんなリリーにアリシアは
「はいはい、その節は大変お世話になり、今も心よりありがたくは思ってますよ?ただ私がどんなに協力しても、あなたがあまりにも長い間見ているだけなのでつい」
と言って大きくなったお腹を撫でながらホホホとお上品に微笑んだ。
既に臨月に入ろうとしているそのお腹は見てるだけでも実に重そうだ。
そう、現在、アリシアは第一子を妊娠中なのである。
リリーはそんなアリシアを微笑ましく、だけどどこか羨ましそうにしながら「でも」「だって」と言い訳を並べ、アリシアはそんなリリーに可笑しそうに、でも優しく微笑んでいた。
そして数十分後、少し離れたところから声が聞こえてオルフェウスがアリシアのお迎えに登場する。
そしてそのオルフェウスにはもちろんリリーの想い人が付き従っているわけで…
リリーはハッとしたように今まで尖らせていた唇を元に戻し、ポッと頬を染めて俯きつつもクロードに見つからないように視界の端で一生懸命その姿を脳裏に焼き付けるのであった。
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