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外伝
外伝2−9.神様にも序列があるのね
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エルとアランの魔法は、今後のために魔術師に広めることとなった。今までお医者さんの役目は薬師が担当している。その部分を少し広げて、妊婦健診だけ薬師と魔術師が共同で作業するんですって。
「これで仕事も分業できます」
帝国を含めた多くの妊婦さんの相手をするのは、アランやエルには無理よ。普段だって治めている国の業務があるもの。今回は特別よね。
「僕はのんびり待つことにしました。ああ、折角なので少しばかりこの世界に貢献して帰ろうかと」
神様は、この世界が気に入ったとか。ゆっくり休暇を過ごすつもりで、大公国に入り浸る気みたい。一応本拠地はリディのところにしてもらったわ。
「安心いたせ、新婚の邪魔はさせぬ」
アゼスの力強く頼れる言葉に頷くけど、もういい加減新婚ではないと思うの。アリスが生まれて50年以上経つし……3歳の姿を見てもやっぱり新婚じゃないわよね。
「私はまだハネムーン気分ですよ」
アランがそう惚気たら、アゼスとリディの顔が分かりやすく歪んだ。私が言うのはいいけど、アランが言うと腹が立つ。そう呟いたのはエル。
「神様は、双子の神様のところにいなくていいの?」
どうせこの世界にいるなら、近くで見守ればいいのに。そう提案したら、首を横に振られた。
「僕が近くにいることで、半身に危険が及ぶ。少し離れていた方がいいのさ」
他の世界から干渉される可能性があると呟く神様だけど、それって私のそばにいたら私が危険って意味かしら? 眉を寄せて考え込む
「私に危険が及んでも、アランを始めとする聖獣達が助けてくれるから問題ないけど。子どもがいるから、危険は避けたいわ」
「そこは心配いらないよ。この世界の聖獣がいる場所に仕掛ける、異世界の神はいないから」
どう言う意味? 首を傾げた私に、アゼスが説明してくれた。聖獣達を生み出した女神様は、神々の中でも最上位にいるらしい。そのため聖獣の力は中級神に匹敵し、複数集まるこの場所は、他の世界より格段に安全なのだと。
「故にサラは何も心配せず、元気な子を産んでくれ」
「へぇ、女神様って凄い方だったのね」
神々にも序列があるなら、人間が序列を作るのは当然だわ。少しでも上にあがろうとするのは本能かも。貴族の権力争いや国同士の戦も、そういった意識からだとしたら。
「神様達が平和になれば、人間も平和になりそう」
「うん、そう思うよ。難しいけど」
神様に肯定されたことで、私も難しそうと感じた。力の差はどうしても生まれるし、当然強い者が弱い者の上に立つ。こればかりは仕方ないわ。
肩をすくめた私は、抱きついてきたアリスを受け止める。頬をすり寄せ、お腹の音を聞こうとするアリスの髪を撫でたところで、空から叫び声が聞こえた。
「ずるいわ! 私もこの世界に滞在する!!」
え? どちら様?!
「これで仕事も分業できます」
帝国を含めた多くの妊婦さんの相手をするのは、アランやエルには無理よ。普段だって治めている国の業務があるもの。今回は特別よね。
「僕はのんびり待つことにしました。ああ、折角なので少しばかりこの世界に貢献して帰ろうかと」
神様は、この世界が気に入ったとか。ゆっくり休暇を過ごすつもりで、大公国に入り浸る気みたい。一応本拠地はリディのところにしてもらったわ。
「安心いたせ、新婚の邪魔はさせぬ」
アゼスの力強く頼れる言葉に頷くけど、もういい加減新婚ではないと思うの。アリスが生まれて50年以上経つし……3歳の姿を見てもやっぱり新婚じゃないわよね。
「私はまだハネムーン気分ですよ」
アランがそう惚気たら、アゼスとリディの顔が分かりやすく歪んだ。私が言うのはいいけど、アランが言うと腹が立つ。そう呟いたのはエル。
「神様は、双子の神様のところにいなくていいの?」
どうせこの世界にいるなら、近くで見守ればいいのに。そう提案したら、首を横に振られた。
「僕が近くにいることで、半身に危険が及ぶ。少し離れていた方がいいのさ」
他の世界から干渉される可能性があると呟く神様だけど、それって私のそばにいたら私が危険って意味かしら? 眉を寄せて考え込む
「私に危険が及んでも、アランを始めとする聖獣達が助けてくれるから問題ないけど。子どもがいるから、危険は避けたいわ」
「そこは心配いらないよ。この世界の聖獣がいる場所に仕掛ける、異世界の神はいないから」
どう言う意味? 首を傾げた私に、アゼスが説明してくれた。聖獣達を生み出した女神様は、神々の中でも最上位にいるらしい。そのため聖獣の力は中級神に匹敵し、複数集まるこの場所は、他の世界より格段に安全なのだと。
「故にサラは何も心配せず、元気な子を産んでくれ」
「へぇ、女神様って凄い方だったのね」
神々にも序列があるなら、人間が序列を作るのは当然だわ。少しでも上にあがろうとするのは本能かも。貴族の権力争いや国同士の戦も、そういった意識からだとしたら。
「神様達が平和になれば、人間も平和になりそう」
「うん、そう思うよ。難しいけど」
神様に肯定されたことで、私も難しそうと感じた。力の差はどうしても生まれるし、当然強い者が弱い者の上に立つ。こればかりは仕方ないわ。
肩をすくめた私は、抱きついてきたアリスを受け止める。頬をすり寄せ、お腹の音を聞こうとするアリスの髪を撫でたところで、空から叫び声が聞こえた。
「ずるいわ! 私もこの世界に滞在する!!」
え? どちら様?!
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