【完結】間違えたなら謝ってよね！ ～悔しいので羨ましがられるほど幸せになります～

外伝

外伝2−8.当たった場合どうなるの？

「え？　早くない！？」

　今出ていったばかりじゃない。そう叫んだ私に、エルの説明は納得できるものだった。

　辺境に着いてすぐ、近くの村人に健康診断の話を伝える。近くの家に伝えながら村長のところへ向かった男性を見送った。近い家の妊婦がすぐに顔を出す。調べたら、その子で当たりだったとか。

「そういえば、当たりの場合どうなるのかしら。まさか異世界に連れ帰るんじゃないわよね」

　眉を寄せたリディが、妊婦から赤子を奪うなら神をも倒すと豪語する。気合いの入った彼女の言葉に、その危険性もあったことに気づいた。そうよ、片割れを連れ帰ると言われたら困るわ。急いで立ち上がろうとした私を、リディとエルが叱る。

「ダメよ、妊婦でしょ」

「こうなると思ったんだ。ほら、座って」

　中途半端に腰を浮かせた私は、言われるまま座り直した。

「神様が言うには、この世界での寿命が尽きる頃、改めて迎えに来るってさ」

「それでいいの？」

「百年少しの寿命だろって、からから笑ってたよ」

　大公国の人は人間だから、百数十年しか生きない。私とは違うわ。聖獣に囲まれて生きてるから、感覚が狂っていたと苦笑いが浮かんだ。それにあの神様、時間のズレを「まだ１万年も経ってない」とか言ってたし。

　人間の寿命が尽きるのを待つくらい、大したことじゃないのかも。安心した私に、リディが果物を勧める。美味しそうなこれ、ライチに似てるわ。ぷるんと皮を剥いて中の白い果実を頬張る。真ん中の種を齧らないように出した。

「もうすぐ神様とアランも戻るね。なんでも、神様の加護を与えて、寿命以外で死なないようにするんだって」

　運命を捻じ曲げて魂が奪われたら、二度と神の座に戻れなくなる。その辺の事情は複雑そうなので、聞き流しちゃった。私が関わることはなさそうだもの。

「ただいま戻りました」

「ぱぱ！」

　アランが神様の腕を掴んで戻ってきた。さきほど大袈裟に送り出したから、少し恥ずかしいわ。でも、当初の目的は果たしたから帰ってきてくれたのよね。早く帰るの約束通りだわ。

「お帰りなさい、アラン」

　少し照れながら迎えると、アリスを抱き上げたアランに頬へのキスをもらった。

「すぐに片付きましたが、まだ妊婦の健診が途中です。夕飯までには戻りますから」

「分かったわ、気をつけてね」

　そうよね、神様が見つかったからって終わりにする理由はないわ。この健診は好評だし、帝国でも広めたらいいのよ。にこにこと考える私に、アランは苦笑いした。

「妊娠中のサラから離れたくないんですけどね」









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※*※新作※*※　ファンタジー系、逆転劇

【要らない悪役令嬢や悪女、我が国で引き取りますわ　～優秀なご令嬢を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ？～】
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