311 / 321
309.幸せをたくさんもらったよ(最終話)
しおりを挟む
キスから始まる行為は、食事じゃないのだと知った。あれはお母さんに教えてもらったんだっけ? 揺られながらセティにしがみつく。背中にいっぱい傷を付けて、お風呂で沁みたりするのに嬉しそうなのはどうして? 僕はすごく幸せをたくさんもらった。
お父さんとお母さんは洞窟で、新しい卵を抱いている。また弟か妹が増えるの。ボリスが夢中になって、卵を温めてるよ。立派に飛べるようになったのに、卵の側から離れないんだって。
エルランドお兄さんとカイサお姉さんの子どもは女の子で、姪と呼ぶみたい。やっと外で遊べる大きさになって、先日から飛ぶ練習を始めた。落ちると危ないとエルランドお兄さんが心配してるけど、カイサお姉さんはドラゴンは丈夫だから平気と放置してるの。
フェリクスお兄さんは洞窟を引っ越した。お嫁さんになった黄色いドラゴンと暮らすには狭かったんだよ。今度は大きな洞窟にして、もうすぐ卵を産みそうなんだ。卵が出てきたら、一度挨拶に行くの。フェリクスお兄さんと約束したよ。
ルードルフお兄さんは同じ洞窟で、お父さんが拡張した大きな奥の部屋で暮らしてる。赤いドラゴンのお嫁さんに一生懸命、水晶を貢いでると聞いた。貢ぐの意味に首を傾げたら、たくさんプレゼントすることだって。水晶が好きなお嫁さんなら、亀のおじいさんのお腹の下は大好きかも。僕も紫の水晶を貰ったんだと教えてあげた。
ゲリュオンは神格を高めて、シェリアをお嫁さんに貰うの。今は原始神殿で泉の向こう側で暮らしてた。そうそう、入り口を守るガイアとトムの間に赤ちゃん猫が産まれたの! 僕とセティが遊びに行ったとき、お腹の大きなトムが突然産んだんだよ。慌てて僕とセティが受け止めて、ガイアを呼んだ。
大急ぎで走ってきたガイアが受け取って「何で猫?」と首を傾げたけど、猫のトムの子は猫だよね。変なことを気にするガイアだね。カイルが大笑いしてたよ。隣の大陸の土産話をしたら、カイルが興味を持ったみたい。向こうの神様達と仲良くしてるといいけど。
いろいろ考えちゃうのは、明日からみんなのところに顔を出すから。僕とセティは原始神殿と洞窟の神殿を交互に行き来してる。どちらも快適に住めるように直して、立派なベッドを入れた。天蓋という名前の布も付けてるから、仲良くしてても見えないの。僕のお気に入りだった。
「今日はもう寝るぞ。明日からみんなのところを回るんだろ?」
「うん」
呼ばれて抱き着く。両手を広げて待つセティはいつも同じで、いつも優しい。僕を大好きだって言って、抱っこしてくれるの。僕も大好きで、愛してるの意味が少し分かってきた。大好きをいっぱいいっぱい口にしても足りなくて、泣きそうなくらい好きを重ねた先にある気持ちだよ。
「セティ」
「どうした、イシス」
「あのね、僕、セティのこと大好きで、それじゃ足りなくて……愛してるの」
初めて使った言葉に、目を見開いたセティが嬉しそうに笑って僕と唇を重ねた。ん……気持ちよくなっちゃう。いっぱい貪って、舌を噛んだり吸ったりされて、息が苦しくて胸を叩いたら止まった。
「オレもだ、愛してる」
愛してる――この言葉だけで胸がじんとして涙が出ちゃう。僕ね、セティに会えてよかった。あの日、神殿でセティが見つけて連れて行ってくれたこと、すごく嬉しかったんだよ。今もこうして僕を愛してくれて、大切にしてくれてありがとう。
明日から大切な家族に会いに行く。僕は平らなお腹をするりと撫でた。いつか僕も、立派な卵を産めますように! くすくす笑うセティのキスを受けながら、新しいシーツの上に転がった。
THE END……?
お読みいただきありがとうございました。セティもイシスも幸せになったところで、終わりです_( _*´ ꒳ `*)_長く書いてきましたが、この子の無邪気さは微笑ましいですね。こういう可愛い子が欲しいです。また次の作品でお会いできれば幸いです。
似たような作品で【虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される】を公開しております。よろしければ、ご賞味ください(=´∇`=)
お父さんとお母さんは洞窟で、新しい卵を抱いている。また弟か妹が増えるの。ボリスが夢中になって、卵を温めてるよ。立派に飛べるようになったのに、卵の側から離れないんだって。
エルランドお兄さんとカイサお姉さんの子どもは女の子で、姪と呼ぶみたい。やっと外で遊べる大きさになって、先日から飛ぶ練習を始めた。落ちると危ないとエルランドお兄さんが心配してるけど、カイサお姉さんはドラゴンは丈夫だから平気と放置してるの。
フェリクスお兄さんは洞窟を引っ越した。お嫁さんになった黄色いドラゴンと暮らすには狭かったんだよ。今度は大きな洞窟にして、もうすぐ卵を産みそうなんだ。卵が出てきたら、一度挨拶に行くの。フェリクスお兄さんと約束したよ。
ルードルフお兄さんは同じ洞窟で、お父さんが拡張した大きな奥の部屋で暮らしてる。赤いドラゴンのお嫁さんに一生懸命、水晶を貢いでると聞いた。貢ぐの意味に首を傾げたら、たくさんプレゼントすることだって。水晶が好きなお嫁さんなら、亀のおじいさんのお腹の下は大好きかも。僕も紫の水晶を貰ったんだと教えてあげた。
ゲリュオンは神格を高めて、シェリアをお嫁さんに貰うの。今は原始神殿で泉の向こう側で暮らしてた。そうそう、入り口を守るガイアとトムの間に赤ちゃん猫が産まれたの! 僕とセティが遊びに行ったとき、お腹の大きなトムが突然産んだんだよ。慌てて僕とセティが受け止めて、ガイアを呼んだ。
大急ぎで走ってきたガイアが受け取って「何で猫?」と首を傾げたけど、猫のトムの子は猫だよね。変なことを気にするガイアだね。カイルが大笑いしてたよ。隣の大陸の土産話をしたら、カイルが興味を持ったみたい。向こうの神様達と仲良くしてるといいけど。
いろいろ考えちゃうのは、明日からみんなのところに顔を出すから。僕とセティは原始神殿と洞窟の神殿を交互に行き来してる。どちらも快適に住めるように直して、立派なベッドを入れた。天蓋という名前の布も付けてるから、仲良くしてても見えないの。僕のお気に入りだった。
「今日はもう寝るぞ。明日からみんなのところを回るんだろ?」
「うん」
呼ばれて抱き着く。両手を広げて待つセティはいつも同じで、いつも優しい。僕を大好きだって言って、抱っこしてくれるの。僕も大好きで、愛してるの意味が少し分かってきた。大好きをいっぱいいっぱい口にしても足りなくて、泣きそうなくらい好きを重ねた先にある気持ちだよ。
「セティ」
「どうした、イシス」
「あのね、僕、セティのこと大好きで、それじゃ足りなくて……愛してるの」
初めて使った言葉に、目を見開いたセティが嬉しそうに笑って僕と唇を重ねた。ん……気持ちよくなっちゃう。いっぱい貪って、舌を噛んだり吸ったりされて、息が苦しくて胸を叩いたら止まった。
「オレもだ、愛してる」
愛してる――この言葉だけで胸がじんとして涙が出ちゃう。僕ね、セティに会えてよかった。あの日、神殿でセティが見つけて連れて行ってくれたこと、すごく嬉しかったんだよ。今もこうして僕を愛してくれて、大切にしてくれてありがとう。
明日から大切な家族に会いに行く。僕は平らなお腹をするりと撫でた。いつか僕も、立派な卵を産めますように! くすくす笑うセティのキスを受けながら、新しいシーツの上に転がった。
THE END……?
お読みいただきありがとうございました。セティもイシスも幸せになったところで、終わりです_( _*´ ꒳ `*)_長く書いてきましたが、この子の無邪気さは微笑ましいですね。こういう可愛い子が欲しいです。また次の作品でお会いできれば幸いです。
似たような作品で【虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される】を公開しております。よろしければ、ご賞味ください(=´∇`=)
166
あなたにおすすめの小説
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
過労死転生した悪役令息Ωは、冷徹な隣国皇帝陛下の運命の番でした~婚約破棄と断罪からのざまぁ、そして始まる激甘な溺愛生活~
水凪しおん
BL
過労死した平凡な会社員が目を覚ますと、そこは愛読していたBL小説の世界。よりにもよって、義理の家族に虐げられ、最後は婚約者に断罪される「悪役令息」リオンに転生してしまった!
「出来損ないのΩ」と罵られ、食事もろくに与えられない絶望的な日々。破滅フラグしかない運命に抗うため、前世の知識を頼りに生き延びる決意をするリオン。
そんな彼の前に現れたのは、隣国から訪れた「冷徹皇帝」カイゼル。誰もが恐れる圧倒的カリスマを持つ彼に、なぜかリオンは助けられてしまう。カイゼルに触れられた瞬間、走る甘い痺れ。それは、αとΩを引き合わせる「運命の番」の兆しだった。
「お前がいいんだ、リオン」――まっすぐな求婚、惜しみない溺愛。
孤独だった悪役令息が、運命の番である皇帝に見出され、破滅の運命を覆していく。巧妙な罠、仕組まれた断罪劇、そして華麗なるざまぁ。絶望の淵から始まる、極上の逆転シンデレラストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる