310 / 321
308.覚悟しろよ(SIDEセティ) ※微
しおりを挟む
*****SIDE セティ
あれから何年経ったのか。ピンクの卵から産まれた姪っ子を可愛がるイシスは、あの頃と何も変わらない。まるでオレの願いを体現したように、純粋なままだった。誰かに攫われても、うっかり逸れても、いつも必死にオレを呼んだ。
応えるたびに心が穏やかになっていく。破壊神と呼ばれ荒れて周囲を蹴散らした過去が嘘のように、オレはイシスに相応しくあろうと努力した。一緒にいることでイシスが悪く言われないよう気を遣う。それだけで他の神々との関係は改善された。
「セティは僕の神様だから」
そう言って笑うが、お前の方がよほど神に相応しい。醜い欲はなく、澄んだ泉そのものだった。神格が高いイシスの体にいくつか模様が増えたが、白い肌を彩る入れ墨に似た模様は紫色ばかりだ。本人の意向が自然と働いているらしい。セティの目の色だと喜ぶイシスを抱き寄せた。
「キス?」
「食べたいな」
「うん。美味しく食べて」
とろりと甘い笑みを浮かべてキスを強請る。目を閉じたイシスの色気に誘われ、口付けて貪った。するりと青い服を脱がせていく。白い肌に浮かぶ蔦に似た模様を指でなぞり、胸をゆっくり手のひらで辿った。少し呼吸を乱しながら、イシスが体を揺らす。
いつもそうだ。堪えきれないと無邪気に強請る。オレみたいに酷い男にそんなことしたら、奥まで貪られてまた起きられなくなるぞ。くすくす笑いながらキスを繰り返し、膝の上に座らせた。向かい合わせに座って抱くと、セティの顔が見えるから気持ちいいと言われたら断れない。
「ん……セテ……ぃ。そこっ、や」
もじもじと恥じらうイシスは前で達するより、後ろでイカされる方が好きだ。何度抱いても、何回食っても足りなかった。またすぐに欲しくなる。素肌を晒したイシスを乗せて身を沈めた。締め付けるイシスの声が甘くなる。
紫の瞳が潤んで輝き、首に回した手が背中に傷を作る。その痛みが愛おしく、さらに激しく貫いた。果てるまで付き合わせ、イシスは「もうだめ」としなだれかかっている。数えきれないほど抱いたのに、いつも胸の中で不安を訴えてくる。
誰も知らない奥まで許し、心もすべて開いたまま。美しい天使はこの手に堕ちてきた。繋がるたびに「離れたくない」「このまま死ねたらいいのに」と切なく願う子ども。見た目は17歳前後まで成長させたのに、中身は出会った頃と変わらぬ幼さを保っていた。
「もう一度だ」
「うん……っ、あ、そこ……やぁ……っ!」
奥の奥まで暴いて、余計なことを考える隙間を奪う。意識が遠のくまで激しく揺らし、貪ってそれでも腹の底から満足は出来ない。可愛いイシス――ずっとこうして繋がっていたら、お前はオレのことしか考えられないのにな。
家族となった竜帝一家にも、ゲリュオンやガイアに対しても優しいお前。それがイシスだと理解しているし、無理に捻じ曲げたくない。それと同じくらい、オレ以外を見る目や心を縛りたかった。
「愛してるよ、イシス」
奥に注いで愛情で満たして、いつかオレしか見えなくしてやる。覚悟しろよ。
あれから何年経ったのか。ピンクの卵から産まれた姪っ子を可愛がるイシスは、あの頃と何も変わらない。まるでオレの願いを体現したように、純粋なままだった。誰かに攫われても、うっかり逸れても、いつも必死にオレを呼んだ。
応えるたびに心が穏やかになっていく。破壊神と呼ばれ荒れて周囲を蹴散らした過去が嘘のように、オレはイシスに相応しくあろうと努力した。一緒にいることでイシスが悪く言われないよう気を遣う。それだけで他の神々との関係は改善された。
「セティは僕の神様だから」
そう言って笑うが、お前の方がよほど神に相応しい。醜い欲はなく、澄んだ泉そのものだった。神格が高いイシスの体にいくつか模様が増えたが、白い肌を彩る入れ墨に似た模様は紫色ばかりだ。本人の意向が自然と働いているらしい。セティの目の色だと喜ぶイシスを抱き寄せた。
「キス?」
「食べたいな」
「うん。美味しく食べて」
とろりと甘い笑みを浮かべてキスを強請る。目を閉じたイシスの色気に誘われ、口付けて貪った。するりと青い服を脱がせていく。白い肌に浮かぶ蔦に似た模様を指でなぞり、胸をゆっくり手のひらで辿った。少し呼吸を乱しながら、イシスが体を揺らす。
いつもそうだ。堪えきれないと無邪気に強請る。オレみたいに酷い男にそんなことしたら、奥まで貪られてまた起きられなくなるぞ。くすくす笑いながらキスを繰り返し、膝の上に座らせた。向かい合わせに座って抱くと、セティの顔が見えるから気持ちいいと言われたら断れない。
「ん……セテ……ぃ。そこっ、や」
もじもじと恥じらうイシスは前で達するより、後ろでイカされる方が好きだ。何度抱いても、何回食っても足りなかった。またすぐに欲しくなる。素肌を晒したイシスを乗せて身を沈めた。締め付けるイシスの声が甘くなる。
紫の瞳が潤んで輝き、首に回した手が背中に傷を作る。その痛みが愛おしく、さらに激しく貫いた。果てるまで付き合わせ、イシスは「もうだめ」としなだれかかっている。数えきれないほど抱いたのに、いつも胸の中で不安を訴えてくる。
誰も知らない奥まで許し、心もすべて開いたまま。美しい天使はこの手に堕ちてきた。繋がるたびに「離れたくない」「このまま死ねたらいいのに」と切なく願う子ども。見た目は17歳前後まで成長させたのに、中身は出会った頃と変わらぬ幼さを保っていた。
「もう一度だ」
「うん……っ、あ、そこ……やぁ……っ!」
奥の奥まで暴いて、余計なことを考える隙間を奪う。意識が遠のくまで激しく揺らし、貪ってそれでも腹の底から満足は出来ない。可愛いイシス――ずっとこうして繋がっていたら、お前はオレのことしか考えられないのにな。
家族となった竜帝一家にも、ゲリュオンやガイアに対しても優しいお前。それがイシスだと理解しているし、無理に捻じ曲げたくない。それと同じくらい、オレ以外を見る目や心を縛りたかった。
「愛してるよ、イシス」
奥に注いで愛情で満たして、いつかオレしか見えなくしてやる。覚悟しろよ。
31
お気に入りに追加
1,205
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
きみと運命の糸で繋がっている
くるむ
BL
魔物と元人間の魔物が織りなす和風ファンタジー。
誰にも渡さない、自分だけが彼を守ってやれる。 その気持ちは、愛情なのか恋情なのか。
執着にも似た強い思いと様々な思惑が交差して、思いもよらない事態を引き起こしていく。 クール系過保護×甘えん坊
※受け(藤)が攻め(朔也)以外に、襲われるシーンがあります。
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる