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308.覚悟しろよ(SIDEセティ) ※微

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*****SIDE セティ



 あれから何年経ったのか。ピンクの卵から産まれた姪っ子を可愛がるイシスは、あの頃と何も変わらない。まるでオレの願いを体現したように、純粋なままだった。誰かに攫われても、うっかり逸れても、いつも必死にオレを呼んだ。

 応えるたびに心が穏やかになっていく。破壊神と呼ばれ荒れて周囲を蹴散らした過去が嘘のように、オレはイシスに相応しくあろうと努力した。一緒にいることでイシスが悪く言われないよう気を遣う。それだけで他の神々との関係は改善された。

「セティは僕の神様だから」

 そう言って笑うが、お前の方がよほど神に相応しい。醜い欲はなく、澄んだ泉そのものだった。神格が高いイシスの体にいくつか模様が増えたが、白い肌を彩る入れ墨に似た模様は紫色ばかりだ。本人の意向が自然と働いているらしい。セティの目の色だと喜ぶイシスを抱き寄せた。

「キス?」

「食べたいな」

「うん。美味しく食べて」

 とろりと甘い笑みを浮かべてキスを強請る。目を閉じたイシスの色気に誘われ、口付けて貪った。するりと青い服を脱がせていく。白い肌に浮かぶ蔦に似た模様を指でなぞり、胸をゆっくり手のひらで辿った。少し呼吸を乱しながら、イシスが体を揺らす。

 いつもそうだ。堪えきれないと無邪気に強請る。オレみたいに酷い男にそんなことしたら、奥まで貪られてまた起きられなくなるぞ。くすくす笑いながらキスを繰り返し、膝の上に座らせた。向かい合わせに座って抱くと、セティの顔が見えるから気持ちいいと言われたら断れない。

「ん……セテ……ぃ。そこっ、や」

 もじもじと恥じらうイシスは前で達するより、後ろでイカされる方が好きだ。何度抱いても、何回食っても足りなかった。またすぐに欲しくなる。素肌を晒したイシスを乗せて身を沈めた。締め付けるイシスの声が甘くなる。

 紫の瞳が潤んで輝き、首に回した手が背中に傷を作る。その痛みが愛おしく、さらに激しく貫いた。果てるまで付き合わせ、イシスは「もうだめ」としなだれかかっている。数えきれないほど抱いたのに、いつも胸の中で不安を訴えてくる。

 誰も知らない奥まで許し、心もすべて開いたまま。美しい天使はこの手に堕ちてきた。繋がるたびに「離れたくない」「このまま死ねたらいいのに」と切なく願う子ども。見た目は17歳前後まで成長させたのに、中身は出会った頃と変わらぬ幼さを保っていた。

「もう一度だ」

「うん……っ、あ、そこ……やぁ……っ!」

 奥の奥まで暴いて、余計なことを考える隙間を奪う。意識が遠のくまで激しく揺らし、貪ってそれでも腹の底から満足は出来ない。可愛いイシス――ずっとこうして繋がっていたら、お前はオレのことしか考えられないのにな。

 家族となった竜帝一家にも、ゲリュオンやガイアに対しても優しいお前。それがイシスだと理解しているし、無理に捻じ曲げたくない。それと同じくらい、オレ以外を見る目や心を縛りたかった。

「愛してるよ、イシス」

 奥に注いで愛情で満たして、いつかオレしか見えなくしてやる。覚悟しろよ。
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