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307.飴を食べた僕は甘いのかも
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神族はもう成長しないと言われた。だから僕はボリスより大きくなれないの。お父さんみたいに大きくなりたかったと言ったら、じゃあ抱っこ出来なくなるぞとセティが笑う。僕がお父さんの大きさになったら、セティより大きいから潰しちゃうかも。
「僕、やっぱり小さくていい」
「そうしてくれると助かる」
セティに抱っこされるのは幸せだ。胸がぽかぽかする。ずっと一緒にいたい。そのために僕は今の大きさじゃないとね。
「おやおや、うちの子は甘えん坊ばかりだよ」
お母さんが笑う。僕はセティに抱っこされてるし、ボリスもお母さんに突進して舐めてもらった。僕もう食べてもらったから、子どもでいいの。こうやってセティと居られたら嬉しい。
「お? やっと起きたのか」
ゲリュオンの声に飛び上がる。びっくりしすぎてセティとぶつかった。お母さんの尻尾の間から覗くと、ゲリュオンが大きな魚を手に近づいてくる。すぐ後ろにシェリアもいた。セティの腕をとんとんと叩いて合図し、一緒にお母さんの鱗を滑り降りる。
「イシス、げんき?」
「うん。お土産あるの」
収納からセティが出してくれたリボンを、シェリアに渡す。キラキラした銀のリボンだよ。嬉しそうに笑ったシェリアと手を繋いで回る。すぐ疲れちゃった。ぺたんと座ったら、後ろからセティが僕を抱き上げた。
「まだ体力が戻ってない。はしゃぐと疲れるぞ」
飴の瓶を手渡されて、僕はシェリアに赤いのを渡す。ゲリュオンは食べないんだって。ボリスもお母さんも飲み込んじゃったみたい。僕も口に入れた。セティはいつも飴は食べなくて、飴を食べた僕を食べるからいいと言う。自分では分からないけど、飴を食べた僕は甘いのかも。
ゲリュオンにも、革のお土産を渡した。すぐに腕に巻いて嬉しそう。シェリアもリボンを髪に結んでもらった後、ボリスやお母さんのリボンとお揃いだと喜んだ。お土産、選んで買うのも楽しいけど、渡す時も幸せですごく嬉しい。
からころと飴を転がしながら、セティを見上げる。僕が起きてからずっと、神様の姿のままだ。黒髪も足元まで長いし、頬や首筋に模様が出ていた。赤と青が混じる色がすごく綺麗。
「お前も神族になってるぞ」
僕も? 慌てて自分を確認するけど、よく分からない。原始神殿の泉は神様の姿を元に戻したり、傷ついた神様を癒す効果があると教えてもらった。何かあって痛いときは、あの泉に浸せば治る。ちゃんと覚えておくね。
「まあ、オレがいれば何とかしてやるけどな」
セティはそう言いながら僕を抱き締める。少しだけ声がいつもと違う気がした。凄く心配させたのかも。僕が起きてて、セティが30日も起きなかったら……きっと僕は泣いてばかりだと思う。ごめんね、それと僕を笑顔で迎えてくれてありがとう。
「僕、やっぱり小さくていい」
「そうしてくれると助かる」
セティに抱っこされるのは幸せだ。胸がぽかぽかする。ずっと一緒にいたい。そのために僕は今の大きさじゃないとね。
「おやおや、うちの子は甘えん坊ばかりだよ」
お母さんが笑う。僕はセティに抱っこされてるし、ボリスもお母さんに突進して舐めてもらった。僕もう食べてもらったから、子どもでいいの。こうやってセティと居られたら嬉しい。
「お? やっと起きたのか」
ゲリュオンの声に飛び上がる。びっくりしすぎてセティとぶつかった。お母さんの尻尾の間から覗くと、ゲリュオンが大きな魚を手に近づいてくる。すぐ後ろにシェリアもいた。セティの腕をとんとんと叩いて合図し、一緒にお母さんの鱗を滑り降りる。
「イシス、げんき?」
「うん。お土産あるの」
収納からセティが出してくれたリボンを、シェリアに渡す。キラキラした銀のリボンだよ。嬉しそうに笑ったシェリアと手を繋いで回る。すぐ疲れちゃった。ぺたんと座ったら、後ろからセティが僕を抱き上げた。
「まだ体力が戻ってない。はしゃぐと疲れるぞ」
飴の瓶を手渡されて、僕はシェリアに赤いのを渡す。ゲリュオンは食べないんだって。ボリスもお母さんも飲み込んじゃったみたい。僕も口に入れた。セティはいつも飴は食べなくて、飴を食べた僕を食べるからいいと言う。自分では分からないけど、飴を食べた僕は甘いのかも。
ゲリュオンにも、革のお土産を渡した。すぐに腕に巻いて嬉しそう。シェリアもリボンを髪に結んでもらった後、ボリスやお母さんのリボンとお揃いだと喜んだ。お土産、選んで買うのも楽しいけど、渡す時も幸せですごく嬉しい。
からころと飴を転がしながら、セティを見上げる。僕が起きてからずっと、神様の姿のままだ。黒髪も足元まで長いし、頬や首筋に模様が出ていた。赤と青が混じる色がすごく綺麗。
「お前も神族になってるぞ」
僕も? 慌てて自分を確認するけど、よく分からない。原始神殿の泉は神様の姿を元に戻したり、傷ついた神様を癒す効果があると教えてもらった。何かあって痛いときは、あの泉に浸せば治る。ちゃんと覚えておくね。
「まあ、オレがいれば何とかしてやるけどな」
セティはそう言いながら僕を抱き締める。少しだけ声がいつもと違う気がした。凄く心配させたのかも。僕が起きてて、セティが30日も起きなかったら……きっと僕は泣いてばかりだと思う。ごめんね、それと僕を笑顔で迎えてくれてありがとう。
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