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174.赤い痕は仲直りの証
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赤い鱗は、火に強い証拠だと教えてもらった。フェリクスお兄さんは、鳥を焼いて捕まえるんだって。見たいと言ったら、目の前で焼いて見せてくれた。
煙がたくさん出て、僕とお兄さんは叱られちゃったけど。お母さんやお父さんが奥でバサバサしてくれたから、風で焦げ臭さはなくなった。鼻がつんとして、シェリアと笑い合う。涙が溢れて止まらなくなったところに、お母さんが水をたくさん用意してくれた。
「風呂か」
久しぶりにお風呂? 床がぼこっと穴開いて、そこにお母さんが溜めた水が入ってる。フェリクスお兄さんが炎で温めたら、あっという間に湯気が出た。これは煙と違って臭くないし、涙も出ない。
『詫びだ』
ぶっきらぼうなフェリクスお兄さんにお礼を言って、僕は服を脱ぎ始めた。首の下に並んだボタンを2つ取れば、あとは上に脱がしてもらう。上手に外せたボタンを見せて、両手を上にあげた。いつもはこれで脱がしてもらうんだけど……セティが「少し待て」ってタオルを用意し始めた。
そっか、タオルがないと出た後で乾かすのに困るね。足元にも絨毯を敷いて、その上に乗った。ばさっと脱がされた直後、一瞬でタオルが巻かれる。
「お風呂入るんだよ?」
「そうだ。肌は見せちゃダメだ」
見せちゃいけないの? いつもは裸で入るのに。セティは腰のところしか巻かない。でも僕は胸のところから膝のあたりまで巻かれてた。
「今日は浸かるだけだ」
洗う場所ないし、僕にもそれは分かる。でもタオルつけて入るのは初めてだった。
「ゲリュオンとシェリアも来るから、もっと端だぞ」
「うん!」
みんなで入るのも初めて。喜んでいると、外からボリスが手を突っ込んだ。体が大きいから、一番最後に入るってお母さんが言ってた。お父さんとお母さん、お兄さんは入れない大きさだから、ボリスだけね。一人だと可哀想だから、僕ももう一度入ろうかな。
ゲリュオンもタオルを腰に巻いてるので、大人は腰に巻くんだと納得した。僕と同じようにシェリアも胸から大きいタオルで隠してる。子供は肌を見せちゃダメなんだね。怖がるシェリアを抱っこして入れたゲリュオンが、膝の上に乗せた。
「セティ、僕も」
「あ? ああ、そうだな」
僕も膝に乗りたい。両手を広げてお願いすると、すぐに抱き寄せてくれた。お風呂の外側に寄りかかったセティの足の間に座る。羨ましい気持ちがすとんと落ち着いた。ウロウロしてるボリスが、僕の首にある赤い痕に気づいて騒ぐ。お母さんが『あれはいいの』と言い聞かせた。
僕に何かついてるの? 首を傾げた途端、今度はシェリアが指さした。
「赤い、痛いのある」
「痛くないよ」
痛くないけど、赤いの? 見ようとしたけど、自分の首の横は見えなくて、場所は耳の下みたい。
「セティ、僕……赤いケガしてる?」
「ケガじゃないが、赤い。これは仲直りの証だぞ」
「え、そうなの?」
だったら嬉しい。ちゃんとセティと仲良しになった証拠だ。自慢したくなって、シェリアに見せたら……ゲリュオンが困ったような顔になった。もしかして2人はケンカして仲直りしてないのかも。後でシェリアに仲直りの方法を教えてあげなくちゃ。
煙がたくさん出て、僕とお兄さんは叱られちゃったけど。お母さんやお父さんが奥でバサバサしてくれたから、風で焦げ臭さはなくなった。鼻がつんとして、シェリアと笑い合う。涙が溢れて止まらなくなったところに、お母さんが水をたくさん用意してくれた。
「風呂か」
久しぶりにお風呂? 床がぼこっと穴開いて、そこにお母さんが溜めた水が入ってる。フェリクスお兄さんが炎で温めたら、あっという間に湯気が出た。これは煙と違って臭くないし、涙も出ない。
『詫びだ』
ぶっきらぼうなフェリクスお兄さんにお礼を言って、僕は服を脱ぎ始めた。首の下に並んだボタンを2つ取れば、あとは上に脱がしてもらう。上手に外せたボタンを見せて、両手を上にあげた。いつもはこれで脱がしてもらうんだけど……セティが「少し待て」ってタオルを用意し始めた。
そっか、タオルがないと出た後で乾かすのに困るね。足元にも絨毯を敷いて、その上に乗った。ばさっと脱がされた直後、一瞬でタオルが巻かれる。
「お風呂入るんだよ?」
「そうだ。肌は見せちゃダメだ」
見せちゃいけないの? いつもは裸で入るのに。セティは腰のところしか巻かない。でも僕は胸のところから膝のあたりまで巻かれてた。
「今日は浸かるだけだ」
洗う場所ないし、僕にもそれは分かる。でもタオルつけて入るのは初めてだった。
「ゲリュオンとシェリアも来るから、もっと端だぞ」
「うん!」
みんなで入るのも初めて。喜んでいると、外からボリスが手を突っ込んだ。体が大きいから、一番最後に入るってお母さんが言ってた。お父さんとお母さん、お兄さんは入れない大きさだから、ボリスだけね。一人だと可哀想だから、僕ももう一度入ろうかな。
ゲリュオンもタオルを腰に巻いてるので、大人は腰に巻くんだと納得した。僕と同じようにシェリアも胸から大きいタオルで隠してる。子供は肌を見せちゃダメなんだね。怖がるシェリアを抱っこして入れたゲリュオンが、膝の上に乗せた。
「セティ、僕も」
「あ? ああ、そうだな」
僕も膝に乗りたい。両手を広げてお願いすると、すぐに抱き寄せてくれた。お風呂の外側に寄りかかったセティの足の間に座る。羨ましい気持ちがすとんと落ち着いた。ウロウロしてるボリスが、僕の首にある赤い痕に気づいて騒ぐ。お母さんが『あれはいいの』と言い聞かせた。
僕に何かついてるの? 首を傾げた途端、今度はシェリアが指さした。
「赤い、痛いのある」
「痛くないよ」
痛くないけど、赤いの? 見ようとしたけど、自分の首の横は見えなくて、場所は耳の下みたい。
「セティ、僕……赤いケガしてる?」
「ケガじゃないが、赤い。これは仲直りの証だぞ」
「え、そうなの?」
だったら嬉しい。ちゃんとセティと仲良しになった証拠だ。自慢したくなって、シェリアに見せたら……ゲリュオンが困ったような顔になった。もしかして2人はケンカして仲直りしてないのかも。後でシェリアに仲直りの方法を教えてあげなくちゃ。
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