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#8〜コミュニケーションに暗雲‼︎ 上司がギャルでした〜

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 僕はRUIさんに先導され、エレベーターに乗り、3階にある部屋の前にいた。

 「『人事部』?」

「えぇ。私が部長を拝命している組織です。安達さんにはここに所属して頂きます」

 え、と言う事は? RUIさんのお膝元で仕事をすると言う事? え、何それ? これってRUIさんとの社恋フラグ立ってる? RUIさんルート入っちゃってるの? 何それラッキー‼︎

「では参りましょう」

 RUIさんが禁断の扉を開け、中に入る。僕も後に続き、そそくさと中に入った。

 部屋の広さは、めっちゃ広い。ちょっとした体育館だ。その中でそれぞれ作業する机があり(ざっと見ただけだが100名分くらい)、机スペースと仕切られた所に丸机(多分ミーティングスペースかな?)がある。

「皆様‼︎ お仕事中に失礼します‼︎ こちらにご注目頂けますでしょうか‼︎」

 100程の人間が一斉にこちらを見る。言わなくても読者様には理解して頂いておるとは思うが、念の為に言っておく。この状況、無理だ。僕は今から死ぬ。死因、過度な注目視線を浴びた為の注目死。

「本日より、この部署に配属となった『安達勇』さんです。皆様よろしくお願い致します。では、安達さんからも一言」

 はぁ~⁉︎ 無理です無理です無理ですよ⁉︎ こんな人数の前で話すだなんて、到底無理な話ですよ‼︎ 女神様‼︎ ちょっと女神様⁉︎ ネットの掲示板に上げても良いですか⁉︎ 300字以上書きますから‼︎ お願いします‼︎ 助けて下さい‼︎

「頑張って下さい」

 女神からの耳打ちが入る。顔が近くなり、余計無理になった。息が耳にかかる程近い。やり過ぎっす女神様‼︎ ご褒美っすか⁉︎ 何もしていませんがご褒美っすか⁉︎ いいです‼︎ わかりました言いますよ‼︎ さぁ、全員見るがいい‼︎ これが僕の全力だ‼︎

「よよよよよ、よよよ、よろしきおねマス‼︎」

 部屋の全員が拍手で迎えてくれる。どうやら僕は生きている様だ。

「よく頑張りました」

 女神から笑顔で拍手を頂き、さり気なく僕に耳打ちする。今まで生きていた僕は、今死んだ。

「では、安達さんの研修を……キラさん‼︎ お願い致します」

 え? killerさん? 殺し屋?

「うっそ~‼︎ ガビーん‼︎ マジあっしっすか⁉︎」

 まさかのギャルだ。立ち上がった彼女は、髪が金髪、肌はこんがりと焼けており、目はアイシャドウこそ塗りたくってはいないが、まつ毛が長い。服装も黒とヒョウ柄が目に入る。僕が一番話せないタイプの人が、研修係になってしまった。正に勇killer。

「はい。キラさん、よろしくお願い致します」

 よろしくお願いしないで下さい。チェンジして下さい。RUIさん、入社初日で見捨てないで下さい。靴でも何でも舐めますから。

「ルイルイのお願いならしゃーねー。とりま、よろしく頼むっすわ。えと、自己紹介した方が良さげ?」

「はい。ちょまちめんでぃでもよろしくお願いします」

 は? 途中外国語の様なものが聞こえて来たが……

「ルイルイのギャル語とか、マジバイブス上がるわ‼︎ チョマチメンディって程でも無いけど、とりまこしょうかいしとくわ。あっし、『斎藤 季楽里サイトウ キラリ』っつーんだけど、キラとか、キラリンとか、エフェクトとか呼ばれてっから、テキトーに呼んで」

 エフェクト⁉︎ 地味にジワる。しかしまー言葉が半分以上わからんかった。とりあえず僕は

「よ、よろしくお願いします」

 とだけ答えて、不安な気持ちにいっぱいになりながら、案内された自分の席に座った。

 元々話すのが絶望的に苦手な僕にとって、天国から地獄へ、落とされた気分だった。
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