546 / 754
うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
グレイ・ダージリン(126)
しおりを挟む
次の日の朝食の席。
「イブラヒーム陛下、刻印を受けられるのに都合の良い時間を教えて頂きたいのですけれど」
ラベンダー修道院から来て貰えるように手紙を書くから、と同席している皇帝イブラヒームに切り出すマリー。皇帝が修道院に行ってみたいと言ったので、「ではそのように手配しますわ」と返事をしている。
「マリー、食事が終わったら話があるんだけど」
マリーにそう切り出すと、彼女はこちらをぱっと振り向く。
「そうだわ、私もグレイに伝えておかなきゃいけない事があったの。実は夕べヤンからの手紙を受け取っていて――」
トラス語を教える教師を連れて来るから面接をすることになったという。それならその後で話をしよう、ということに。どうせ商会に連絡をしなければいけないことだし、ヤンに手紙を託すことにしよう。
そう思いながら喫茶室でヤン達を待っていたのだけれど。
「遅いわねぇ……」
「僕、手洗いに行きたいしちょっと様子を見てこようかな」
「分かったわ」
手洗いを済ませ、屋敷の玄関が見える窓から覗くとまだ誰も来ていないようだった。僕の話を先に済ませようかな、等と考えながら戻っている時、それは不意に響いて来た。
――きゃあああああ!
「……悲鳴?」
――うわっ、何だお前は! 怪しい奴!
――取り押さえろ!
――うわああ、すみませんすみません! だからそんな格好はどうかと言ったんだ!
「……今の、ヤンの声のような」
「僕もそんな風に聞こえましたねー。待望の語学教師が来たんだとは思うんですけどー」
何か様子がおかしい。
僕とカール、ナーテは三人で顔を見合わせる。考えていることは同じだろう。
「私、ちょっと見て参りますわ!」
侍女ナーテが駆け出して行き、僕達はとりあえず喫茶室へと戻る。
マリーに客人が来たみたいだよ、と話して四半刻程経過した頃――喫茶室の扉がやっとノックされた。
「ハム・ジャンボ!」
疲れたような表情のナーテと青褪めて謝罪の言葉を繰り返すヤン。
庶民用のドレスを身に纏った黒い肌の女性はナトゥラ大陸人だろう。語学教師なのはその隣に立っている男性? だと思うんだけれど――悪夢に見そうな不気味な仮面をして頭には鳥の羽飾りという極めて蛮ぞ……いや個性的な出で立ち。
――どえらいのが来た。
最初に僕が思ったのがそれだった。まさか、イエイツ以上の変人がこの世に居たなんて。
ロマン・アンシェルと名乗った語学教師が言うには、あの呪われそうな悪夢の仮面はマリーへのお土産だという。それしか差し出せるようなものがないからと。
僕は必死に反対だということを身振りで示したのだけれど、マリーは何とそれを受け取ってしまった。
『グレイ。彼は差別をしない貴重な人材よ。教師を引き受けて貰うのだし、関係は良好にしておきたい――それに何であれ、折角持って来てくれた心の籠った贈り物を断るのは、人としてどうかと思うわ』
そんな彼女のド正論が脳裏に木霊する。
それはそうだけどさ!
その仮面の場合、籠っているのは心なんて生易しいものじゃなさそうなんだけど!
絶対に部屋に置きたくない! と心の中で叫ぶ僕。普段は封印しておくから大丈夫よと言ったって、サリーナだって嫌がっているじゃないか!
何に使うのかと訊くと、色々とね……と誤魔化された。
でも僕には分かる。その表情を見る限り、絶対碌でもない目的に使う気だよね!
***
衝撃の面接が終わり、ヤンにロラン達を送ったらまたキャンディ伯爵家に戻るように言った後。
ひとまず僕は紅茶の香りで精神的疲労感を癒す。
「そう言えば、話があるって言ってたわよね」
言いながら、ティーカップを置いたマリーがこちらに体を向ける。僕は深呼吸を一つして切り出した。
「話は二つあるんだ。一つ目は夕べ、義父様とアールと僕で話し合ったんだけれど。イドゥリース達の婚約式の事、義父様はアヤスラニ帝国皇帝を納得させるだけの催しにしたいと仰っていて、それにはマリーの協力も不可欠なんだ」
「成程、実はある程度考えているの。幾つかは私達の結婚式でやったことをもう一度やれば良いわ。鳥達が踊ったり贈り物を落としたりするのは皇帝達は見たことがないだろうし。そういうのは私に任せておいて。
そうね……後はアヤスラニ帝国風の音楽かしら? 確か、天才音楽少年はまだ王宮に居るわよね」
「うん。あちこちの貴族から引っ張りだこになってるって聞いてる。でも、幾ら天才だからと言って彼に即興で作曲を頼むのは……」
「違うわよ。前世にアヤスラニ帝国と似た国があったから、それをイメージした曲を弾いて貰おうって事。楽譜は起こせるから、彼に演奏して貰えば良いわ」
他は聖女劇の時の劇団に、アヤスラニ帝国とトラス王国の衣装を着て貰って仲良く踊って貰う、とかかしら。アヤスラニ風のドレスは流行してたしね。
それでトラス王国・アヤスラニ帝国両国人の友好と婚約を祝福する演出になる、とマリーは言う。
良い考えだ。衣装も用意できるだろうし。
後は――
「料理はどうする?」
「そうねぇ……アヤスラニ帝国人にも楽しんで貰えるようにしましょうか。さっき言った前世の似た国のレシピを書き出すから、それで。トマト、クミン、タイムにオレガノ……基本手に入る調味料で作れるから安心して」
それなら安心だ。
そんな会話を交わしながらマリーの提案を書き出していく内、婚約式の内容がだんだん形になってきたと思う。
僕が準備するものも決まりそうだ。
皇帝の度肝を抜く為にサイモン様が考えていることを伝えると、マリーは「本当!? 楽しみだわ!」と嬉しそうにしている。
粗方纏まったところでヤンが帰って来たので、物資や手配する事を記した書付をジャン・バティストに渡すようにと託けた。
後はサイモン様に報告して……。
相談した内容の紙を畳んで懐に入れていると、マリーが小首を傾げる。
「そう言えばグレイ、もう一つの話って何かしら?」
「ああ、その事……」
僕は念のために人払いをお願いした。そうしてカレドニア王の印章付き指輪をマリーに見せる。
「どうしたの、その歴史ありそうな指輪」
「……実はこれ。キーマン商会、つまり父方から伝わった指輪なんだけれど――歴史の中で失われたカレドニア王の証の指輪だと騎士ドナルドに言われたんだ」
その相談なんだけど、と言うと。
「は?」
マリーは口をぽかんと開けて間抜けな顔をする。
淑女らしからぬ彼女の驚愕の叫び声が上がるのは――たっぷり呆けたその数十秒後。
「イブラヒーム陛下、刻印を受けられるのに都合の良い時間を教えて頂きたいのですけれど」
ラベンダー修道院から来て貰えるように手紙を書くから、と同席している皇帝イブラヒームに切り出すマリー。皇帝が修道院に行ってみたいと言ったので、「ではそのように手配しますわ」と返事をしている。
「マリー、食事が終わったら話があるんだけど」
マリーにそう切り出すと、彼女はこちらをぱっと振り向く。
「そうだわ、私もグレイに伝えておかなきゃいけない事があったの。実は夕べヤンからの手紙を受け取っていて――」
トラス語を教える教師を連れて来るから面接をすることになったという。それならその後で話をしよう、ということに。どうせ商会に連絡をしなければいけないことだし、ヤンに手紙を託すことにしよう。
そう思いながら喫茶室でヤン達を待っていたのだけれど。
「遅いわねぇ……」
「僕、手洗いに行きたいしちょっと様子を見てこようかな」
「分かったわ」
手洗いを済ませ、屋敷の玄関が見える窓から覗くとまだ誰も来ていないようだった。僕の話を先に済ませようかな、等と考えながら戻っている時、それは不意に響いて来た。
――きゃあああああ!
「……悲鳴?」
――うわっ、何だお前は! 怪しい奴!
――取り押さえろ!
――うわああ、すみませんすみません! だからそんな格好はどうかと言ったんだ!
「……今の、ヤンの声のような」
「僕もそんな風に聞こえましたねー。待望の語学教師が来たんだとは思うんですけどー」
何か様子がおかしい。
僕とカール、ナーテは三人で顔を見合わせる。考えていることは同じだろう。
「私、ちょっと見て参りますわ!」
侍女ナーテが駆け出して行き、僕達はとりあえず喫茶室へと戻る。
マリーに客人が来たみたいだよ、と話して四半刻程経過した頃――喫茶室の扉がやっとノックされた。
「ハム・ジャンボ!」
疲れたような表情のナーテと青褪めて謝罪の言葉を繰り返すヤン。
庶民用のドレスを身に纏った黒い肌の女性はナトゥラ大陸人だろう。語学教師なのはその隣に立っている男性? だと思うんだけれど――悪夢に見そうな不気味な仮面をして頭には鳥の羽飾りという極めて蛮ぞ……いや個性的な出で立ち。
――どえらいのが来た。
最初に僕が思ったのがそれだった。まさか、イエイツ以上の変人がこの世に居たなんて。
ロマン・アンシェルと名乗った語学教師が言うには、あの呪われそうな悪夢の仮面はマリーへのお土産だという。それしか差し出せるようなものがないからと。
僕は必死に反対だということを身振りで示したのだけれど、マリーは何とそれを受け取ってしまった。
『グレイ。彼は差別をしない貴重な人材よ。教師を引き受けて貰うのだし、関係は良好にしておきたい――それに何であれ、折角持って来てくれた心の籠った贈り物を断るのは、人としてどうかと思うわ』
そんな彼女のド正論が脳裏に木霊する。
それはそうだけどさ!
その仮面の場合、籠っているのは心なんて生易しいものじゃなさそうなんだけど!
絶対に部屋に置きたくない! と心の中で叫ぶ僕。普段は封印しておくから大丈夫よと言ったって、サリーナだって嫌がっているじゃないか!
何に使うのかと訊くと、色々とね……と誤魔化された。
でも僕には分かる。その表情を見る限り、絶対碌でもない目的に使う気だよね!
***
衝撃の面接が終わり、ヤンにロラン達を送ったらまたキャンディ伯爵家に戻るように言った後。
ひとまず僕は紅茶の香りで精神的疲労感を癒す。
「そう言えば、話があるって言ってたわよね」
言いながら、ティーカップを置いたマリーがこちらに体を向ける。僕は深呼吸を一つして切り出した。
「話は二つあるんだ。一つ目は夕べ、義父様とアールと僕で話し合ったんだけれど。イドゥリース達の婚約式の事、義父様はアヤスラニ帝国皇帝を納得させるだけの催しにしたいと仰っていて、それにはマリーの協力も不可欠なんだ」
「成程、実はある程度考えているの。幾つかは私達の結婚式でやったことをもう一度やれば良いわ。鳥達が踊ったり贈り物を落としたりするのは皇帝達は見たことがないだろうし。そういうのは私に任せておいて。
そうね……後はアヤスラニ帝国風の音楽かしら? 確か、天才音楽少年はまだ王宮に居るわよね」
「うん。あちこちの貴族から引っ張りだこになってるって聞いてる。でも、幾ら天才だからと言って彼に即興で作曲を頼むのは……」
「違うわよ。前世にアヤスラニ帝国と似た国があったから、それをイメージした曲を弾いて貰おうって事。楽譜は起こせるから、彼に演奏して貰えば良いわ」
他は聖女劇の時の劇団に、アヤスラニ帝国とトラス王国の衣装を着て貰って仲良く踊って貰う、とかかしら。アヤスラニ風のドレスは流行してたしね。
それでトラス王国・アヤスラニ帝国両国人の友好と婚約を祝福する演出になる、とマリーは言う。
良い考えだ。衣装も用意できるだろうし。
後は――
「料理はどうする?」
「そうねぇ……アヤスラニ帝国人にも楽しんで貰えるようにしましょうか。さっき言った前世の似た国のレシピを書き出すから、それで。トマト、クミン、タイムにオレガノ……基本手に入る調味料で作れるから安心して」
それなら安心だ。
そんな会話を交わしながらマリーの提案を書き出していく内、婚約式の内容がだんだん形になってきたと思う。
僕が準備するものも決まりそうだ。
皇帝の度肝を抜く為にサイモン様が考えていることを伝えると、マリーは「本当!? 楽しみだわ!」と嬉しそうにしている。
粗方纏まったところでヤンが帰って来たので、物資や手配する事を記した書付をジャン・バティストに渡すようにと託けた。
後はサイモン様に報告して……。
相談した内容の紙を畳んで懐に入れていると、マリーが小首を傾げる。
「そう言えばグレイ、もう一つの話って何かしら?」
「ああ、その事……」
僕は念のために人払いをお願いした。そうしてカレドニア王の印章付き指輪をマリーに見せる。
「どうしたの、その歴史ありそうな指輪」
「……実はこれ。キーマン商会、つまり父方から伝わった指輪なんだけれど――歴史の中で失われたカレドニア王の証の指輪だと騎士ドナルドに言われたんだ」
その相談なんだけど、と言うと。
「は?」
マリーは口をぽかんと開けて間抜けな顔をする。
淑女らしからぬ彼女の驚愕の叫び声が上がるのは――たっぷり呆けたその数十秒後。
260
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。