あなたにかざすてのひらを

あさまる

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「あ、あぁ……。」
間違いなく誤解された。
どのような言い訳をすれば良いのだろう?

昨日、エルに意地悪なことをしてしまった。
そして、今日はこの仕打ちだ。
彼女には今度改めて何かをしてあげなければならないだろう。

「……さ、続きしよっか?」

「は、はい……。」
無抵抗。
これ以上、何をしても無駄だろう。
心の中で白旗を上げるかすみ。

「……ふふふ、潔いね、そういうとこ好きだよ。……じゃあ、遠慮なく……いただきます。」

「その……お手柔らかに……お願いします……。」
小さく弱々しい声。
小動物のような震える身体。

「……ふふふ、努力するけど確約は出来ない。……かすみちゃんが可愛過ぎたら箍が外れちゃうかも……。」
ニヤニヤ。
今にも彼女に襲いかかりそうな欲望垂れ流しのゆかり。

「あ、あぁ……。」

まさに、その時であった。
爆発音。
内臓に直接振動が来たと錯覚してしまうほどの衝撃。

「良かった……まだ無事だったみたいだね、かすみ。」

「……野蛮。」

「え?え?な、なに?」

砂煙越しに見えるシルエットがかすみに話しかける。
それに対し、かすみを庇うように咄嗟に前に出たゆかりが睨み付ける。

「……かすみちゃんが万が一怪我したらどう責任取るつもりだったの?」

「そうなったら一生かけて償うつもりよ?もちろん、かすみには一生私の側にいてもらうけど……。まさにウィンウィンな関係ね。」

「……あんたが得するだけ。かすみちゃんはそんなの望んでない。」

話の中心であるはずのかすみを置いて、話している二人。
前のめり。
今にも互いに襲いかかりそうな臨戦態勢だ。

「ふ、二人とも止めて!」

「……。」

「……。」

ジリジリ……。
詰め寄る。
駄目だ。
取っ組み合いになるのも時間の問題だ。

どうする?
人間ではない彼女らが本気で争ったらどうなるか?
想像もつかない。
どんな惨劇が繰り広げられるか分かったものではないのだ。

言ったら後悔する。
しかし、それを言わなければ酷いことになる。
覚悟するかすみ。

「い、今すぐ喧嘩を止めてくれた方と、また女王様ゲームをやるよ!」

「こんな非生産的なことは今すぐに止めよう。」

「……調度今、同じことを言おうと思ってた。」

ガッチリ。
握手をする両者。
張り詰めた空気が一転した。
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