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良かった。
一先ず安心だ。
しかし、ただ安堵しているだけではいけない。
かすみは、今からのことも考えなければいけないのだ。

先手必勝。
逃げるが勝ち。
それらはいずれも昔からある言葉だ。

今回はこれに倣うこととしよう。
行動に起こすかすみ。

「い、いやー、仲直りしてくれて良かったよ。じゃ、じゃあ私はそろそろお暇しよっかなー……。」
ふらふらと立ち上り、立ち去ろうとする。

「……待って。」

「そんな悲しいこと言わないでよ、ほら、私の隣に来なよ。」

「い、いや、私いたらお邪魔じゃないかな?あはは……。」

「……。」

「……。」

「あっ、はい、座ります。」
無言の圧力に負け、再度座るかすみ。

「さ?かすみ?」

「……どっちから女王様にする?」

「あ、あぁ……えっと……。」

「……ちなみに、今日は泊まってってくれて大丈夫だよ?」

悲報だ。
頃合いを見て帰ろうと考えていたものを潰されてしまった。

「私も良い?」

「……仕方がない。今日は戦友として受け入れよう。」
機嫌が良いせいか。
美咲の提案をすんなりと受け入れるゆかり。

「やった。」
喜ぶ美咲。
彼女も帰宅しないようだ。

どうやら今日は帰宅を許されないようだ。
苦笑いで二人を見るかすみであった。


「あぁー、疲れたなぁ……。」
ボソリ。
呟く。

女王様ゲーム。
昨晩、それをやり続けたかすみ。
その結果、彼女は文字通り気絶する形で寝てしまった。

後半の記憶がほとんどない。
しかし、きっと思い出さない方が良いだろう。

朝日が昇り、そろそろ起きなければならないような時間だ。
しかし、布団から起き上がることが出来ない。
そんな状況であるにも関わらず、不思議と嫌ではないかすみ。

まず、右隣を見る。
可愛らしい寝顔のゆかり。
続いて、左隣を見る。
穏やかな寝息の美咲。
どちらも彼女に手足を絡ませて密着している。

このままというのも、きっと悪くないだろう。
しかし、今の彼女はそんな悠長なことを言っている場合ではなかった。


「ど、どうしよう……トイレ行きたい……。」
抜け出せそうにない。
これは、彼女らを起こすしかないようだ。


「ふ、二人とも起きて?ねぇ、起きてほしいなぁ……?」

「……。」

「……。」

無音。
正確には、寝息だけが聞こえる。
駄目だ。
こんなものでは起きない。
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